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『デルモンテ平山の「ゴミビデオ」大全』読みました。

デルモンテ平山の「ゴミビデオ」大全

著者:平山夢明


内容紹介
デルモンテ平山による、モラル無し・センス無し・ヤル気なし!の三無しゴミビデオ批評集。


週間プレイボーイで、ジャック・ニコルソンやスピルバーグのきちんとした映画のビデオ紹介をしていたデルモンテ平山こと平山夢明。
ある日、『殺人豚』というヒドイ映画を紹介したら受けてしまい、編集の人から、
「平山。おまえはもうマトモなビデオは観なくてよろしい」
というわけで始まった映画評のようです。

ゴミビデオと銘打たれているのはかわいそうだけど、タイトルだけを聞いたらホントに存在しているのか疑わしいようなモノばかりだ。
例えば、

『仁義なきニンジャ 香港代理戦争』
『デブコップ』
『死刑執行ウルトラクイズおだぶつTV』
『首だけ女の恐怖』
『セックス発電男女100人絶頂物語』
『先生はムショ帰り』
『連続モデル大量殺人事件 惨殺の乳房』
『風俗探検刑事』
『フライパン殺人事件』
『死霊の二日酔い』
『ダンボール刑事』
『グルメホラー 血まみれ海岸・人喰いクラブ 地獄のシオマネキ・カニ味噌のしたたり』

等々。(最後のはなんでもタモリ倶楽部で命名された邦題のようだ。)

確かに何本か知っている映画も交ざっていたり、『吸盤男オクトマン』とかDVDを持っているのも何本かあったりするし、『死刑執行ウルトラクイズおだぶつTV』みたいに存在を知っている映画もあるけれど、その存在すら疑いたくなるような映画が無数に存在したとは、まだまだ世界はおもしろいです。

ゴミビデオ評なので同時にこの本もゴミが積もり積もったゴミ本。

とは言えない。
評は評でおもしろい。

けちょんけちょんなビデオ評なのは確かだけど、その表現がいちいち酸味の効いた表現で、
例えば
『このビデオを観た人はみんな”脳味噌デロリン”にんらずにはおれません!』
『観ているこっちも頭フニャフニャです』
『ポルノを作ろうと思ったら、腐ったエログロ・ホラーになってしまいました』

等々。
特に『アリゲーター2』の評。
アリゲーター2ということは前作があるわけで、前作は劇場で観たときに感じた事で、

『あのときは、みんなが下水に捨てたアリゲーターが大きくなったという、スタッフの”早く終わることだけを考えて仕事しました”という職人気質がよく出ていた作品でした』

これには声を出して笑ってしまった。

劇場公開はされずにDVDスルー、最近では動画配信スルーされたなかにもこの本に載りうるような作品があるのかと思うと夢が広がります。
あの大沢在昌氏も認めたビデオ評は確かなものでした。

ホラー作家の平山夢明氏のもう一つの一面です。
そしてホラー作家らしく、読み終えてみて、どの映画の内容もからっきし記憶にないのは本当に恐怖でした。ペケポン。




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