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LA式熟成肉を作ったら、業界トップシェフと繋がれた話。

私たちは、LAでの熟成研修内容を踏まえ、ホルスタイン(乳牛)を60日間熟成することに成功し、なんと業界トップシェフにその熟成肉のチェックをしてもらうことができました。今回はそんなお話です。

入手困難な骨付き肉(ホルスタイン)の仕入れ

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ホルスタインは、黒と白のよくみる乳牛です。


まずは、LAの師匠から教わった通りに、ホルスタインの骨付き肉を調達するところからスタートです。

結論として、注文をお願いしてから42日間かかりました。日本では、乳牛として育てられるため、今回のような食肉用としてはあまり流通していません。師匠曰くステーキに適した上質なホルスタイン(乳牛)の確保は困難なので、無理してホルスタインに拘らなくてもよいとアドバイス受けましたが、LAで食べたホルスタイン熟成肉ステーキが最高だったので、ホルスタインを探すことにしました。私たちにとっても初となる仕入れでしたので、手探りでの調達でした。正直言って値段の相場観も把握できていませんでした。滋賀県は伊賀で精肉業を営む知人に、下記の通り依頼しました。

①ホルスタイン(可能であれば経産がありがたいです!)
➁リブロース
➂骨付き 

*LINEの原文そのまま抜粋
*経産とは、お産を経験した牛のことを呼びます。

注文の仕方も四苦八苦で、サイズは、写真イメージで伝えました。

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*上記の写真をイメージ写真として先方さんに送りました。

私たちの熟成庫のサイズから逆算して、骨付きホルスタインのカットサイズを決めました。知人の精肉屋さんでは普段ホルスタインを取り扱っていないので、かなり協力して頂きました。最低ロットである半頭分を購入することになりました。当たり前の話ですが、家庭用で最低ロットの半頭分を購入することはまずないでしょう。値段は3,800円/Kgでホルスタインのリブアイ半頭分が商品代引き価格(配送料込)で72,317円でした。ざっくり19Kg分を購入しました。重量には骨の重さも含まれます。

熟成時の菌について

私たちは熟成するときに特定の菌を使用していません。その土地の風土に委ねるスタイルです。いわゆる無菌熟成です。*菌は空気中に存在するので厳密には無菌ではありませんが、特定の菌を使わないという意味で。
温度帯は、0℃~3℃を目標に、下から扇風機で風を当てて、熟成庫内を循環させ、肉の水分を飛ばします。

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熟成肉を、業界トップシェフにチェックしてもらう。

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私たちは、仕入れた骨付きホルスタインの60日熟成肉を、熟成肉業界のトップシェフにチェック&試食して頂きました。レストランの仕込み時間である昼間に、熟成肉を直接持ち込み、目の前でシェフに焼いて頂きました。

先ずは骨を外します。

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骨を外した後のリブアイです。骨を外すだけでも大変な作業です。。。

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火力は中火程度で、途中で寝かさず一気に両面を焼き上げて頂きました。

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焼き加減は、肉の味がわかりやすくなるということで、ウェルダンに近いかたちで仕上げて頂きました。

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当たり前ですが、盛り付け方やお皿もかっこいいです。写真からは伝わりづらいですが、今回和牛ではない、ホルスタインですが、適度なサシが入っていました。

シェフの太鼓判&ホルスタインの市場価格の確認

前述の通り、私たちは特定の菌を付着しない手法でしたが、シェフからは菌を使えばもっと良くなるとアドバイスを受けました。とはいえ、それにしても美味しいと太鼓判を頂きました!また、シェフからは必要に応じて菌も譲渡することも可能とまで言って頂きました。大変有り難いお話です。また、そのときに教えてもらったのですが、ホルスタインも値上がりが凄いそうです。ただでさえステーキに適したホルスタインは出回る数が少ないので、かなり安くても3,500円/Kg程度とのことです。3,800円/Kgは相当頑張って頂いたということが分かりました。「レストランがいくらで仕入れているか?」こういった生のマーケット情報は、なかなか入ってこない部分ですので、大変有意義なお話が聞けました。また今回仕入れさせて頂いた精肉屋さんに改めて感謝します。


どうやって熟成肉業界のトップシェフと繋がれたのか?

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少し疑問の方もいるかもしれませんが、

「どうやって業界のトップシェフと知り合えたの?」

という疑問点。これは何ら偶然でもなく、実は、私たちの戦略の一つとして、熟成肉業界のトップシェフへアプローチしていました。料理人でも生産者でもない私たちがシェフと繋がりをもつための基本的なアプローチ方法。
私たちは自分たちが面白いと信じているので、対面トークさえさせてもらえば何とかなると考えています。ポイントとして、対面トークさせてもらうときの環境を、よりよくする準備が重要だと考えています。この方法でアメリカのトップシェフとも繋がりを築いたので効果はあるはずです。具体的に説明します。

6つのステップによるアプローチ方法

①熱意
②SNSフォロー
③書籍
④レストラン訪問
⑤イベント参加 *有料イベント
⑥対面トークさせてもらう時間を確保
→ 仕込み時間での試食会に繋がった

①熱意
先ずは何と言ってもこれにつきます。これがないと対面トークしたときに面白いヤツだなぁと思ってもらえません。

②SNSフォロー
ツイッター、インスタグラム、フェイスブックですが、シェフ関係はインスタグラムやフェイスブックが相性が良いと感じています。結局のところプロダクトが名刺代わりになるので、プロダクトを伝えやすい媒体が優れていると考えています。SNSのコメント内容を確認することで本人の考え方等を垣間見ることができます。対面トークで非常に役立ちます。

③書籍
出版されているようであれば、是非購入してください。相手の趣味趣向が詰まっている本なので、普段どんなことを考えているのか等も、事前に勉強することができます。そして、少し打算的ですが、その本を、敢えてお会いするときに持っていきサインもらったりするのがミソだったりします。。。

④レストラン訪問
営業時間内は他のお客さんもいます。営業時間内に個別の仕事の話を持ち込むのは適切ではないと考えているので、基本的には料理を楽しむことに注力します。シェフと別の機会で対面トークさせてもらうときに、「以前、行かせて頂きました」と言えることが大切です。

⑤イベント参加(有料イベントが好ましい)
シェフが行う有料イベントがある場合は是非参加してみることをお勧めします。有料イベントですので、ある程度シェフとの距離が近く、対面トークできる時間が確保しやすいです。

⑥対面トークさせてもらう時間を確保。
営業時間前は、仕込み時間なので、シェフは忙しいケースがほとんどです。仕込み時間にいきなり駆け込むのではなく、お店に通う中で、仕込み時間内で空いている時間をもらえるよう調整するか、イベント等に参加して直接お話できる時間を確保します。

私たちは上記のようなステップを実行しました。そして、シェフ主催の有料イベントに参加し、イベント終了後の自由時間ですべてをぶつけました。料理教室だったのですが、私たち以外の参加者は全員が女性でした。そんな空気の中、誰よりも肉の焼き方や、熟成の質問をし、「私たちは熟成肉を作っています、アメリカまで勉強しにいきました。ぜひアドバイス下さい!(こっそり本を忍ばせながら)」となれば、何もなくアドバイスクレクレよりも、かなり好意的に受け止めて頂けます。少し営業ノウハウっぽくなってしまいましたが、会いたい人に会って前進させるには、なぜその人か?どうやって会うか?会って何をどのように伝えるか?を考えて実行することが王道だと思います。

次回は、太鼓判頂いた熟成肉を使って、業界向け、肉好き向けのお披露目ホームパーティを実施しましたので、その時の様子をUPします。

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熟成兄弟





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