個人事業主として開業してからの経験を書いておく10(見積もりについて)
今回は、お客様に対して提示する見積もりについてお話したいと思います。
1.ついに見積もりの依頼が来た
私は2018年6月1日に個人事業主として開業しましたが、ほぼ同じタイミングであるメールが届きました。
メールのお相手は前職時代一緒に仕事をしたことのある、某キャリア系列会社(X社とします)のAさんからでした。
X社は、某大炎上案件を一緒に乗り越えてくれたとても優秀な技術者集団でした。とりわけAさんは私が出会った中でも5本の指に入る「超優秀」な技術者で、彼がいなかったら、炎上案件は乗り切れなかったと思います。
Aさんのメールによると、どうも私と一緒に仕事をしたいらしく、案件を任せたり若手を育成する、といったことを望まれていたようでした。
そこでまずは基本契約とNDAを締結した上で、ある案件のサポートのための見積もりがほしいとのこと。
タカハマプロジェクトとして、初めての見積もり依頼となりました。
さて、見積書はどのようにして作成すればよいのでしょうか。
2.見積書の作成
見積書とは、依頼された作業に対してどれだけの金額がかかるのか、お客様にわかるよう記載したものを言います。
見積書の作成は、ネットを探せばテンプレートがいっぱいあります。
私の場合は、クラウド会計ソフトFreeeで見積書を作成してくれる機能があるのでそれを使っています。
見積書には以下のような項目が必要です。
・見積もり提出先の会社名と依頼者名
・自分の会社名と住所、社印
・見積小計額、消費税額、合計額
・見積もり内訳
・特記事項(見積もりの前提や条件、除外事項)
全部重要な項目なのですが、特記事項は結構大事です。
相手は見積もりにある金額で判断しますので、どんな前提条件でこの金額なのかを明確にする必要があります。
例えば、土日対応や時間外対応、深夜対応の場合には標準単価よりも割高に対応する必要があるので、単価xxxx円で実働分加算される、といったことを記載しておく必要があります。
また、見積もりの有効期限も記載したほうがよいでしょう。通常は、見積作成日から1か月が一般的ですかね。
Freeeの見積書のサンプル画面は以下のような感じです。レイアウトはいくつか用意されていて、自分の好きな書式で印刷が可能です。
3.見積もりの内訳の書き方
見積もりでは、具体的に何の作業でどれだけかかるのか、お客様に納得できるように内訳を記載する必要があります。
例えば、3か月の間に「プロジェクトマネジメント支援」と「トレーニング」の2つの依頼があったとします。
見積もり上では、3か月まるまる拘束されるので
作業一式 3か月
というように一式で見積もりを出すことができればいいのですが、場合によってはそれぞれの作業でどれだけの工数がかかるのかの内訳を求められる場合あります。
このような場合、なにか自分の中で根拠を用意しておく必要があります。
まずはトレーニングに必要な工数を考えてみましょう。
ここでは2時間のトレーニングを5回実施するとします。
この場合、単純に考えたら
2時間 x 5回 = 10時間
が工数として必要となりますが、トレーニングを実施するには資料作成などの準備期間が必要です。
各回の開催前の準備に2日(16時間)必要だとすると、トレーニングのために必要な期間は、
16時間 x 5回 = 90時間
がさらに必要となり、トータル100時間が必要となります。
プロジェクトマネジメント支援の工数については、トレーニング以外の時間はすべて該当するとすれば、
8時間 x 20日 x 3か月 = 480時間
から100時間を差し引いた380時間がプロジェクトマネジメント支援分ということになります。
このようにして、各項目で必要な時間に根拠を作っていくのです。
3.意外と落とし穴、交通費の確認
どこかへ定期的に出向く必要があるならば、報酬とは別に交通費を支給してもらえるか。
サラリーマンや派遣契約、アルバイトの場合交通費が支給されるのは当たり前だと思いますが、個人事業主として仕事を受ける場合、私の経験では契約形態によっては支給されない場合がありました。
準委任契約の場合は支給してもらえますが、請負契約の場合には交通費という形での支給はありません。それもひっくるめて報酬の中から賄う必要が出てくると思います。
ただし、請負契約であっても、想定していない場所への出張は別途支払いしてもらうことが可能です。このあたりは、最終的に契約書や注文書の中できっちり明文化しておいたほうが良いです。
それからとても重要なことなのですが、交通費は内税なんですね。
つまり、いつも支払っている運賃は、消費税込みの金額を支払っているのです。
私が使っているクラウド会計ソフトのFreeeで見積書を作成する際、最終合計に対して外税か内税かという計算しかできないようで、外税/内税の項目を混在できないっぽいんです。(考えてみたら当たり前か)
なので、見積もりの中に交通費を追加する場合には、見積もりの合計から消費税額を割り出すような計算方式になっている場合には交通費から消費税分を引いて記載する必要があります。
そうしないと消費税の二重取りになってしまいますのでご注意を。
4.単価を下げて値引きするな
ある方から受けたアドバイスで、私のような個人のスキルを売りにして仕事をする場合に心がけなければいけないのは、
「自分の単価を下げてはいけない」
ということでした。
金額の折り合いをつけるという事はどんなビジネスでもある事だと思います。
値引きのやり方として単価そのものを下げてしまうと、以降その単価がベースになってしまいます。
一度下げた単価は、よほどの理由が付かない限りなかなか上げにくいんですよね。
ですので、私は値引きのために単価を下げるという形は行わないようにしています。
5.今回のまとめ
見積書は自分の価値を相手に示すための大切なツールです。メールベースで金額を伝えてOKという場合もありますが、書面が必要な場合には、テンプレートなどを用意しておいたほうがよいです。
そして、個人事業主は、後ろ盾がありません。その担保は、自分が稼ぐお金で見出していくしかありません。
だからこそ、まずは自分が自分の価値を安く見てはいけないと思います。
私自身、営業の経験がないこともあり、価格交渉は正直苦手です。
それでも、自分にこれだけの価値がある、と自分で信じた金額を提示しているので、折り合わなければそこまでだったと割り切っています。
仕事がないと、どうしても不安になって自分を安売りしてとにかく案件をもらう、という風になりがちです。
それを否定はしませんが、その場合には後に報酬を上げるように対応をしていくべきだと思います。
それではまた!
日々感謝 m(_ _)m
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