子育てと部下育成は似ている、主に学習の視点から

5歳児の勉強を教えていると

私は男の子が1人いて知育教育を2歳からやっています。
と言っても2歳や3歳のうちは、少し知的な要素を取り入れたお遊戯という感じで、勉強をしているという雰囲気は全くありません。
4歳くらいから徐々に勉強の要素が増えてきて、図形の認識や数の概念の理解、物語を聞いて理解するなど学校の勉強より手前の基礎学力を身につけるようなものが増えてきました。
これは、その教室が学校の勉強は学校に行ってからで、その前の基礎学力が幼児期に必要という考えからきているようです。
これに加えて自宅でも学研のドリルなどを中心に文字や数字、パズル、迷路などをやっています。
迷路などは得意なのですか、計算やひらがなを書くことなどは、やり始めた頃はあっさり間違えていました。
計算ミスで言えば、ある程度は一桁の計算ができるようになってからドリルを始めたのですが、二桁になると途端にミスが激増し、さらに引き算の問題は足し算を繰り返し、それでも本人は出来たつもりになっていました。
最近は、そこまで苦労することはあまりなくなりましたが、最初のうちは同じ間違いを繰り返すので何でこれが分からないんだろう、と心の中で疑問に思っていました。
とは言え、それを口に出してしまえばやる気がなくなってしまうので、出来た問題があれば褒めてあげて、苦戦した問題があったらどこが難しかったのか質問をして、あきらめてしまった問題は難しかったね、と言ってもう少し基本的な問題をやったりと根気を持って取り組んでいます。
そういうことを繰り返していくうちに、ふと気がついたのが、大人にとっては当然のルールでも子供には当然ではないということです。
考えてみれば当たり前なのですが、文字には書き順があって、その順番に書くということを大人は当たり前に知っていますが、子供はそういうルールがあるということを知りません。
数字が2つ並んでいれば二桁の数字で左側が10の位、右側が1の位ということを知っているから、数字を読むことは簡単なのですが、やはり子供はそれを知りません。
その他にも様々なルールがありますが、基本的なルールほど大人には染み付いているので、そこから理解しなくてはいけないことを忘れがちでした。
そして、そこを飛ばして行くから、理解できないということが起きるていました。
そして、これは部下育成なども、似たようなものだな、と思いました。

人材育成は汎用スキル

上司と部下の関係でも、子供の勉強と同じことは言えるかな、と思います。
最近、社会が複雑化しているため専門分野では部下の方が知識が豊富で、上司はそれをもう少し広い視点でマネジメントするということも増えているとは思います。
そういう場合は別にして、上司も部下も同じ分野で仕事をしている場合には、一般的には上司の方が知識も経験も上でしょう。
そして、特定の分野に精通しているほど、専門性が高まっていくほど、その分野の常識にとらわれがちになっていきます。
ですから一般的に通用する知識ではなくても、こんなことは知っているだろうという認識の違いが生じやすいのではないかと思います。
そして、様々な専門知識を知っているという前提で話を進めると部下は置いてきぼりで、結局何の話をしているか分からない、指示が理解できない、というが起きてしまいます。
ですがら、部下と接するときには、相手が持っている知識、技術の程度を理解して、それに応じた指示や指導が必要になってきます。
また、課題の設定と結果のフィードバックも似たようなところはあると思います。
例え、大人や上司から見れば大したことではなくても、課題が克服できたらしっかりと褒める。
課題が難しくて解決できないときは、答えを教えるのではなく答えを導く手助けをする。
そして、課題が難しすぎた場合には、設定をやり直して簡単な課題を与える。
こうやって見ると、結局子育てと部下育成は同じような部分が大きいと思います。
もちろん、細かいことを言えば本人の性格や習得させるスキルの内容によってやり方をアレンジする必要はあるでしょうけど、人を育てるというのは子供であれ、大人であれある程度は汎用スキルだと思います。
本人の実力に応じた適切な課題を設定して、その取り組みに向けてのサポートを行い、失敗をすればサポートをして、成功すれば褒める。
それを根気よく続けることが肝心です。

自走していくために

子供を育てていくにしろ、部下を育てていくにしろ、本人のスキルや適切な課題設定をしていくというのは労力が必要です。
組織論では1つの集団では部下の人数が5、6人くらいが適切と言うの聞きますが、肌感覚としてもそのくらいかな、と思います。
ですが、その5、6人にしっかり手間をかけていくとなると、なかなか大変です。
部下の仕事を現状把握し、課題があれば修正して、時には具体的に補助をしたりとやり始めると自分の仕事をする時間が、どんどんと削られていく一方です。
そうならないためには、ある程度は自分で課題を考えて、解決策を見つけて、難しければ一歩戻ってということができるようになる、つまり自走できるようにすることが必要です。
そして、自走してくれるようになるためには、試行錯誤をした上での成功体験が必要だと思います。
簡単すぎる課題では工夫をしませんし、難しすぎる課題をサポートしてもらって解決しても自分でやった気にはなれません。
適度な難易度で課題を与えて、自分で試行錯誤して、解決することで成長の循環に気がつけるようになれば、伴走から自走していくのを見守っていくスタイルに変更できると思います。
そこまでやっていくには、ある程度は時間をかけていかなくては難しいですから、大きな組織で人の入れ替わりが多いと難しいでしょう。
せっかく育って、自分で考えて動けるようになったら手元から離れていくということもありがちです。
一方で、どうせいなくなるなら育てない、ということになると組織としては不健全ですし、人材育成が汎用性のあるスキルなら、多くの部下を成長させた方が自分自身も成長できる、そう思って取り組むことも必要だと思います。

そういう意味では、子育てというのは人間が、様々な課題に対して、どのように克服していくのか、あるいは時には挫折もしますが、それを見ていくことのできる貴重な経験だと思います。
全ての人ができるわけではないですが、可能な限り積極的に関わっていくと面白いですし、人間力も身につくように思います。

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