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フォトグラフ・パズル・ストーリー

「ユー・マスト・ビルド・ア・ボート」というゲームがある。

3マッチパズル+RPGという、それだけ書くとよくあるようなゲームなのだが、リアルタイムでパネルをスライドさせてマッチさせる難しさ、マッチさせた時の小気味いい音、繰り返しステージを走ってクエストを消化し、「ボート」をアップグレードしていく(その度に装備強化等、施設が追加される)というゲームの楽しいところを詰め込んだようなゲームで、大変楽しくプレイした。
このゲームの前にも、「10000000」というこれまた楽しいゲームを作っている。システムは双方とも似通っているが、それでも楽しいのだ。
ちなみにリンクはiPhone向けであるが、他の媒体でもリリースされている模様なので、興味を持った方は探してみてほしい。

そして、2年ほど前。
このゲームをリリースしたEighty Eight Gamesが「ストーリー+パズル」のゲームを開発中という情報を得た。
中毒性の高いパズルを作ったこの会社(ユニット的なものかもしれないが便宜上会社とさせてほしい)がパズルとストーリーを組み合わせる。それだけでもワクワクした。
さらに私のワクワク感を煽ったのは添えられていたスクリーンショットだ。
温かみのある、美しいドットのグラフィック。
それだけで、私は「リリースされたら必ず買おう」と、心に決めていた。

そして先月、「あのゲームどうなったかな」と検索をかけてみた。
すると、App Storeで予約中というではないか!
しかもリリース日も近い。
私は迷わず予約した。

前置きが長くなってしまったが、ここからが本題だ。
「フォトグラフ・パズル・ストーリー」。それが、そのゲームの名だ。
SteamでもWindows向けに販売されている。)

このゲームは、5つの異なる物語からなる。
ひとつ辺り30分ほどで、それぞれ違ったパズルを解きながらゲームを進めていくことになる。

物語を進めていくと、風景が少しずつ変化していく。
家が建て増しされたり、家具や小物が増えたりする。
そこに描かれたものから、物語が感じられるようになっている。


また、このゲームでは風景内の「写真」を撮るシーケンスが存在する。
撮影→パズル→写真の表示と語り
といった形で物語は進行していく。

写真とともに語られる言葉は多くはない。
だが、描かれる風景から何があったのかを感じ取ることができる。
さらに、パズルパートにも物語を表現する仕掛けが仕込まれている。
これらの要素によって、プレイヤーは物語を体験的に味わうことができるのだ。

この、ゲーム全ての仕掛けを通して物語を構築し、体験させるというのは私がまさにゲームに対して求めているものであり、このゲームとともに過ごした数時間は私にとってとても豊かな時間となった。

つまり、砕けて言うならめちゃくちゃ面白かったし、いい体験をさせてもらった。

しかしながら難点がいくつか。

まず、日本語訳のおぼつかなさ。
基本的には意味が通っているのだが、時々能動と受動が入れ替わっていたり、「見つけた」→「見つけった」「掃除夫」→「掃除婦」などのミスが多い。
英語のナレーションが入るので意味を取るのは難しくないが、大事なところで変なミスがあって混乱することがあるので、ちょっとそこが残念である。

つぎに、エンディング回収の煩雑さ。
このゲームはマルチエンディングなのだが、分岐部分に到達するには、その度に最終章をクリアしなければならない。
何回も同じストーリー、同じパズルを繰り返すのはやはりつまらない。
分岐直前からやり直せるようになっていて欲しかった……

また、エンディングまで行くと全ての章を再プレイできるのだが、エンディングを見た直後に続けてプレイすると文字が一切表示されなくなってしまう。
その上一度アプリを落として起動し直したら最終章から始まってしまって辟易した。再現性はなかったようではあるが、こういったバグは興を削がれてしまうのでぜひ改善してほしい。
ちなみにこれはiOS版での話である。

いくつか難点をあげたものの、今後アップデートで改善される可能性はあるし、ゲーム自体はとても素晴らしいので、興味があったら是非、この写真とパズルの物語の世界に飛び込んでみてほしい。

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