帰宅困難
夜遅く帰ってると、マンションの1階エレベーターの扉の真ん中あたりにミドル級のカマキリがぺたっと張り付いていました。ちょっと茶色がかっていてかなり強面です。
カマキリを払う勇気はないので、エレベーターに乗れません。しかし階段を登って帰るには、もう体力が残っていません。早く帰りたいのに…。
カマキリも暇じゃないだろうし、しばらくしたら餌とか探しにどっか行くんじゃないかな。
誰か来ないかな、カマキリが平気な男の人とか。
時間つぶしにエントランスをぐるぐるうろつき、誰か来ないかと入り口の方を何度も振り返りながらしばらく待ってみました。
この日うちのマンションで事件が起きていたら、防犯カメラの映像から私が真っ先に疑われたことでしょう。
そんな怪しい動きを繰り返しながら、けっこう待ったのですが、カマキリも暇なようでどこにも行かないし、カマキリが平気な人どころか誰も来ません。
泣きそうになっていたところで、ふとある考えが浮かびました。
いや待てよ。このままエレベーターの「▲」ボタンを押すと扉が開いて、驚いたカマキリはどこかへ飛んでいくに違いない。
なんで、こんなことに気が付かなかったんだろう!私は、小躍りしながらボタンを押しました。
同時に扉が開き、カマキリはバタバタと羽をバタつかせて飛び立ちました。
やった!
しかし、カマキリは見事にエレベーターの中へ着地。そして静かに閉まっていく扉。
あきらめよう… 8階まで階段で帰りました。
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