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絶妙人間ドック

先週、人間ドックを受診した。

心電図と腹囲の計測室に呼ばれると、計測スタッフが娘の同級生のお母さんだった。名札と声で気づいたのだが、親しいというほどでもなく、全く知らないわけでもない。一番リアクションに困る絶妙な知人である。

気まずい…。こういう場所で挨拶するのは、お互い気まずすぎる。知らん顔しておこう。

カルテで名前と生年月日を確認される。

私の名前は珍しいというほどでもないが、そんなにありふれた名前でもない。絶妙に特定しやすい名前である。ここで絶対、気づいたはず。しかし、あちらはお仕事なので、あえて気づかないふりをしてくれているらしい。

よし、私も気づかないふりを貫こう。

腹を露出して腹囲を計測。分かりやすくポッチャリでもないが、もちろん、スリムなわけでもない。おばはん特有の絶妙なぶりーん。

メジャーで腹囲を計測中は、腹筋に全集中で極限まで引っ込めていたのだが「こいつ、必死やな。」と思われるのも嫌なので、少し余裕の笑みを浮かべてみたのだが、よく考えたら、マスクをしているうえにあちらはメジャーしか見てなかった。

胸に心電図の吸盤をペタペタ貼られる間は目を合わせたくないので、軽く目を擦りながら「ちょっと眠いんだけど感」を醸し出す絶妙な小芝居を挟み、そのまま検査中はずっと目を閉じておくことにした。

ドキドキして心拍数が上がらないように「鈴木福くんって今年いくつなんだっけ?」とか「セスキ炭酸ソーダのセスキってなんだろう?」とか、絶妙を通り越して、本当にどうでもいいこと考えて乗り切った。

無事、検査は終わったが、めちゃくちゃ恥ずかしい思いをしたわけでもなく、絶妙にゾワっとした恥ずかしさが残った。

すべての検査が終了し、帰りに当日分かる簡単な検査結果だけ説明されたのだが、体重が去年より若干増。その他の結果も、悪いわけではないが良くもないという絶妙な数値。


う~ん、絶妙。すべてにおいて絶妙。



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