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生理のことについて考える

ぼくは男なので女性の生理について、その辛さなどを身体で感じることはできません。
しかし、話を聞き、その辛さや面倒な部分、痛みを想像し、苦労を推し量ることはできると考えています。

▼そんなこと?って何だ?

ついこの間・・・ある日の午後、
打合せ後に入った喫茶店で煙草を吸っておりました。
喫茶店の喫煙室は今は電子タバコが主流なのでしょうか…紙巻きタバコが吸えないところが多くなりました。

ぼくの隣の席に男女が座りました。
男は紙巻きタバコが吸えない事に苛立っていたようですが…電子タバコを取り出し、プカリとやり始めました。

しばらくして、二人がオーダーした飲み物が届き、男が口を開き始めました。
「この1週間、全然進んでないじゃん。何やってたの?」
と。

聞き耳を立てていると、営業の業種でお客様先への訪問や売り上げに関して上司と思われる男が、部下であろう女性にお小言を言っている感じでした。

その中で女性が重たい口を開きました。
「その…生理がちょっときつくて、思うように行動できませんでした」

その言葉を聞いて、男が言った言葉が衝撃的でした。
「そんなこと聞いてんじゃねーんだよ。」

▼自分で経験できないことはわからないのか?

ぼくはその男の口ぶりと声が気に食わない、というのもありましたが……この女性が理由を言っているのにも関わらず、「そんなこと聞いてない」と言い切るこの神経が信じられない、という思いでいっぱいになりました。

確かに。
ぼくも男ですから、生理の辛さやどれくらい身体が動かなくなるか、などは実際のところわかりません。

しかし、見えないから、自分では経験できないこと、経験した事がない部分がまったく関係ないか、と言えばそうではないと考えています。

この男は”他人と仕事をする”という事さえ難しいと感じてしまいました。
確かに仕事は大事です。しかしながら、その成果が現れない原因が想像できない事、自分では経験できない事を「そんなこと」と切り捨てるのは人としてどうかと思いますし、自分が母親から生まれてきたのを忘れているのか、童貞かと思ってしまう感じでした。

▼体調管理ではない

その男はこうも言ってました。
体調管理も仕事のうちだ
と。

ぼくの認識が正しければ…女性の生理周期やその重さや辛さは管理が難しいと捉えています。

つまり、体調管理の範疇ではないのではないでしょうか。
もちろん、ある程度の予想や、女性の身体をより楽にするための方策は出来るかもしれませんが、風邪をひかないようにというものと次元の違う話だと思っています。

確かに体調管理は仕事をする上で大切です。
しかしながら、生理というのは病気ではありませんし、それをこの一言で片づけるのは……ぼくは隣の席でクエスチョンマークを禿げた頭に光らせながら聞き耳を立てておりました。

▼わからんものはわからん

と言いつつも……ぼく自身、女性の生理の辛さや苦労を全て知っているわけではありませんし、仕事上や仲間などが調子が悪そうだと、「風邪か?」「どっか具合がわるいのか?」とか「やる気がないのか?」と思ってしまうことはあります。

しかし、根性ややる気のある/なしでは全くないことがある、と恥ずかしながら…忘れてしまう事があります。

仕事をしている上だったり、仲間に無神経な言葉を投げかけてしまう時もありましたし、若い頃は実際に苦労や大変さをわかろうとしませんでした。

わからないものはわからないのですが……
ただ、やっぱり。わからんもんはわからん、と捨て置くのではなく、
必要であるから生理の周期があるわけで……男が、女が、ということではなく、やはり大事なこと、身体のこと、健康のことというのは性別を超えてもっと知っていくべきだ、と強く感じています。

▼見えないからこそ大事なこと

今回、喫茶店でたまたま隣の席の会話に聞き耳を立ててしまいましたが…
女性の生理はもちろんのこと、ぼくには知らない事がたくさんあり、知らない事、経験してないこと、経験できないことがたくさんあります。

だからこそ、想像力をもっともっと働かせて、察する目や耳を持っていきたいなぁと思っています。

ぼくはすぐに忘れてしまう事が多いので、
きっとまた、『生理』のこと自体を考えずに他の人に無神経な事を言ってしまう事があるとは思います。
しかし。やっぱり。
思い込みで決めつけず、気付いたら、考えを変えていく事、
女性と男性の身体の仕組みが違う事を”思い出せる”
ようにしていきたいです。

こうした生きる事、性のことは非常に大事であると同時に見えない事の方が多いとぼくは感じています。
だからこそ。見えない部分があるから大事なことだと再認識して、目と耳と頭を育てていきます。





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