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夢みるキッチン

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暮らしの中で感じたことを少しづつ書いています。
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#cakesコンテスト2020

春眠暁を覚えず

春眠暁を覚えず

春眠暁を覚えず。孟浩然の"春暁"の一節だ。
中学の国語の授業ではじめて目にした漢文。先生の解説を聞いて「春の眠気、わかるなぁ」とクラス一同うなづいたのをよく覚えている。
漢字が規則正しく並ぶ字面の美しさ、レ点や返り点を使ってまるでパズルのように読み解いていく面白さにすっかり夢中になった。

そのあと教科書は "春望(杜甫)" "黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る(李白)" と続く。
"春暁"では春

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喫茶Tにまつわる回想

喫茶Tにまつわる回想

記憶の中にあるいちばん古い喫茶店について思い出してみる。

駅前にある大きなスーパー、その横の細い路地のちょうど真ん中辺りに、喫茶Tへと続く階段がある。看板はぼんやり光る緑色。路地と階段の間、ちょうど何の邪魔にもならない絶妙なポジションを陣取っていた。

入り口のドアにはレースのカーテン。ドアの窓をふんわりと覆うように内側から取り付けてある。
カラカラと軽い音のベルと共に店内に入ると、銀の

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