アザラシ

東洋大学大学院文学研究科→某大学図書館職員。専門は古代ギリシア史、特に黒海北岸の植民市…

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東洋大学大学院文学研究科→某大学図書館職員。専門は古代ギリシア史、特に黒海北岸の植民市の農業・漁業。幌筵泊地やブレストで提督業やってます。

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言語論的転回以降の歴史学関連図書100選

 昨日、とあるインターネットミームに乗っかる形で、上記ツイートを投稿しました。「読書の秋」に読んでおきたい図書を100冊厳選する、というのが元々の趣旨だったようで、せっかくなので自分もやってみようと最近の歴史学(主に文化史、感情史、転回以降の歴史学の動向)に関わる本100冊を選んだ次第です。  ただ、よくよく見返してみると、画像一枚あたり25点の図書とタイトルを書き込んでしまった都合上、文字がかなり小さく、画像も不鮮明です。また『史学概論』『ルイ14世』といった、これとは他に

    • 書評・古代学協会(編)『角田文衞の古代学(3) ヨーロッパ古代史の再構成』

       2021年の上半期は、岸本廣大『古代ギリシアの連邦』、南川高志・井上文則(編)『生き方と感情の歴史学』、中井義明・堀井優(編)『記憶と慣行の西洋古代史』、堀賀貴(編)『古代ローマ人の危機管理』といった研究書や論文集が続々と刊行されました。日本語で書かれた西洋古代史関連書籍が例年以上に豊富に世に出ているように思われます。  こうした中、5月末に吉川弘文館より『角田文衞の古代学(3) ヨーロッパ古代史の再構成』という図書が刊行されました。これは、今は亡き古代史の大家である角田文

      • 青木健『ペルシア帝国』(講談社現代新書 2020年)の諸問題

        「ひどいよドクロちゃん。何がひどいって全部ひどい」  (OVA「撲殺天使ドクロちゃん」第2期4話より)  この記事ですが、タイトルに掲げました通り、青木健『ペルシア帝国』(講談社現代新書 2020年)を読んでの感想や批評、および古代ギリシア史を学んだ人間からのツッコミです。  『ペルシア帝国』がお手元にあって、なおかつどんな問題点があるかを把握したいという人向きの記事ですので、「面白ければヨシ!」という方にはオススメしません。  また、私の専門分野の都合上、本書全体の4分の

        • 電子書籍で読める近世ヨーロッパ文学・哲学書

           前回の記事(https://note.com/yskmas_k_66/n/n07771dd0c0bb)では、電子書籍で読める古代オリエント・古代ギリシア・古代ローマ・中世ヨーロッパの文献を紹介しました。今回の記事は、その第二弾、電子書籍で読める近世ヨーロッパの文学書・哲学書です。時代的には1453年から1789年くらい ¹⁾までの、地域的にはブリテン島・アイルランド島・イベリア半島およびスペイン語圏・イタリア半島・フランスやドイツなどヨーロッパの西〜中央部で書かれた本が対象

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        言語論的転回以降の歴史学関連図書100選

          電子書籍で読める西洋古典

           以前Twitterで、「#こういうときこそ本を読もう」というタグをつけて、電子書籍で購入可能なギリシア・ローマの古典文献をスレッドでまとめる形でつぶやきました(https://twitter.com/yskmas_k_66/status/1251843120049696768)。  ですがこの投稿、ちょっと心残りがありまして。まず、Twitterの文字制限の都合もあり、訳者が誰なのか書誌情報を書けませんでした。また、フィロストラトスがリスト内にいないといった抜けがありますし

          電子書籍で読める西洋古典

          西洋古代史オンライン史料集

           現在、COVID-19の影響で、休業・閉館している書店や図書館が多く、またAmazonでは洋書の多くが入荷時期未定の状態にあり、古代史を勉強する上で必要となる古典史料を入手したり閲覧したりが困難になっています。  この記事は、ご自宅にいながら閲覧可能な古典文献・碑文・パピルス史料・古銭のデータベースを紹介するものです。皆様の興味・関心にあわせて色々試してみてください。 【古典文献】 Perseus http://www.perseus.tufts.edu/hopper/

          西洋古代史オンライン史料集

          西洋古代史お助けブックガイド②: 入門書

           前回のブックガイド作成時、絶版だったり古書価格が高いなどの理由で選ばなかったもの、「一番最初に手に取るならコレ」とは言い難いけれど、多くの人に読まれてほしい本をピックアップしました。  前回同様、オススメの本には☆印をつけています。独習に向かなかったり、古かったり、あるいはやや専門的なものには△をつけています。(著者名あいうえお順) ・アマダジ=グッゾ, M.-G.『カルタゴの歴史』文庫クセジュ 2009年  フェニキア人による植民から、ローマによる破壊に至るカルタゴの歴

          西洋古代史お助けブックガイド②: 入門書

          西洋古代史お助けブックガイド

           本稿はネオ高等遊民さん(https://twitter.com/MNeeton)への、匿名メッセージ質問&回答サービス「マシュマロ」における質問と、その回答・呼びかけを受けて作成したブックガイドを、文章化・転載・一部を書き改めたものです。 (4月4日、「技術・軍制」を追記。一部の誤字を修正) はじめに・経緯説明  まず経緯から説明しましょう。今年の2月末、哲学系YouTuberのネオ高等遊民さんのもとに、西洋古代史の通史的な本はありますか? という質問が寄せられました。

          西洋古代史お助けブックガイド

          【音食紀行仙台公演】古代ギリシアの食文化紹介 ―古代のスパルタから『うたえ!エーリンナ』まで―

           本稿は2018年7月16日(月)に行われた、音食紀行仙台公演「魅惑の古代ギリシア」(https://eventon.jp/13692/)でのトーク原稿に手を入れたものです。 主催:音食紀行(代表 遠藤雅司)http://onshokukiko.com/wpd1/ 日時:2018年7月16日(月) 12:30〜15:00 会場:レンタルキッチン「RAKUGAKITCHEN」 宮城県仙台市青葉区国分町3-3-30 仙台協立第8ビル 6階 トーク:増井洋介「古代ギリシアの食文化

          【音食紀行仙台公演】古代ギリシアの食文化紹介 ―古代のスパルタから『うたえ!エーリンナ』まで―