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博士課程のうわさとほんと

1. 博士課程にまつわる噂

私は現在博士課程に在籍している現役の学生です。博士課程は2つの意味で「難しい」と考えられています。ひとつは、頑張っても博士を取れないことがあること(称して「博士取れない問題」)。もうひとつは「博士を取っても職が無い」(称して、「職が無い問題)。どちらもあり得なくはないために、一般的な噂として広まっているものではありますが、今現在博士課程で過ごしている私からすると、かなりネガティブな妄想でしかありません。

本記事では、なぜこの2つの問題が単なるうわさでしかないのかを、現役博士のリアルな実情をもとにお伝えしたいと思います。

2.博士取れない問題

2.1 博士号を取ることの難しさ

まず言われているのは、「頑張っても博士が取れない」という難しさ。もちろん、死ぬほど難しいのは事実です。
私が在籍する研究科で博士号を取るには、①学内で博士論文の概要を提出し、審査に合格すること、②学内外で公開されている論文集などに博士論文の一部を2回以上載せること、③論文が公開されたうえで、博士論文全体を大学に提出し、2回審査を受けて合格すること、が必要です。だいたいどこの大学もこんな感じでしょう。①はそこまで難しくはありませんが、②がハード。そして、②をクリアしないと③まで辿り着けません。②では他の大学の先生が何人かでその人の論文を読んで、学問的な価値があるかを判断したうえで、論文集に載せる載せないが決まります。毎回厳しく審査をするのでそう簡単には載りません。③も相当厳しく審査されます。その博士論文のテーマに関連する知見を十分踏まえているか、理論をきちんと使ったうえで、その人なりの新しい独自の視点が語られているか、その博士論文の問いや結論は学問的な価値を生み出すものか、、、、等細かく見られ、そこが全部OKにならないといけません。

2.2 博士を取るためのサポート体制

と、ここまで読んで、「え、じゃあ結論博士取るって無理なの?」と思われるかもしれません。正面から行くと間違いなく茨の道です。しかし、

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