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もうフィルムなんかで撮らないなんて、言わないよ絶対。

最近、30年ぶりくらいにフィルムカメラを再開しました(「写ルンです」を除く。「写ルンです」もほとんど使ってないけど)。フィルムネイティブ世代からしても、最近のフィルムっていいよねと思って始めてる世代からしても、いろんな意味で今更感満載ではありますが、再開しました。(二度目)

ということで、僕のフィルムに至るまでの過程と、今ではすっかりフィルムに嵌っている理由なんかを、誰も興味ないと思いますが、綴ってみたいと思います。

では、ちょっとフィルムの話をする前に、簡単にカメラ遍歴から書いていきます(すぐ終わります)。

結構最近始めた写真。だから、デジカメ。

写真自体、それこそフィルムで撮ってた30年くらい前の小学校を最後に、安いコンデジやスマホで撮るのを除けば、ずっと、ちゃんとしたカメラで撮ってなかったのですが、写真関係の仕事をし出して、周りに写真家の方とかカメラマンとか増え、お付き合いするにつれて、自分も撮りたいな、という気持ちがふつふつと湧いてきて、”ちゃんとした”カメラを買ったのが2018年5月頃。この時は、いつでも持ち歩けて、ちょっといい感じに撮れるカメラがあるといいな、くらいの軽い気持ちでしたので、”ちょっといい”コンデジ、ということで、キヤノンのPowershot G1 X markIIIを購入しました。

これ、めちゃくちゃいいカメラで、小さくて、一眼感のあるダイヤル操作だったり、なにしろめちゃくちゃ小さいのにAPS-Cのセンサー積んでて、なかなかいい画が撮れました。

が、しかし、先程もお伝えしたように写真関連の仕事をしているので、これ持って会社にいくと「ふーん」みたいな感じで、相手にされない感じが、どうにも嫌になってきたのと、それよりもなによりも、もっとこんな画が撮りたい!けど、撮れない!という葛藤が日増しに増して行ったため、約半年で売却し(思ったより売れてなくて(キヤノンさんすみません…)買取価格下がりそうだったし…)、ソニーのα7IIIに買い替えました。これが2018年11月。たまたま行ったキタムラで、なぜか185,000円という破格の値段で販売されており(今より安い…)、下取りなど入れると、結構な格安になることが判明。その日は買うつもりもなかったのに、CMの安田顕さんばりに「これください!」と買ってしまったのでした。

ほんと、リンクはる必要もないほどの人気機種、かつ、名機ですね。ほんとコスパ最高。α、大好き。

同時に購入したレンズは、これまた最高のSEL55F18Z。

この組み合わせを買ってしまったばっかりに、すっかり写真に嵌ってしまいました。

そこから、レンズを買い足したり、オールドレンズに行ったりなんかして、すっかり沼に向こう脛ぐらいまでは浸かっています。

で、フィルムです。(ようやく)

そして、フィルムへ。

α7IIIの写りにすっかり嵌り、デジタル一眼の素晴らしさを満喫していたので、当時の(今もですが)若い人が逆にフィルムで撮ってる、みたいなムーブメントに、フィルムネイティブのおじさんからすると「なんやねん、デジタルの方がええやんけ、現像めんどくさいし、すぐに見れんし、そもそもフィルムどこで売っとんねん!」という(関西人です)、若いリア充カメラ男女に混じれない僻みが大半を占める反発心を持って斜に構えて見ていたわけです。

ただ、一方で、オールドレンズなんかに惹かれていく自分もいて、「これってもしやフィルムの時の写りを求めているのかしら・・・」という気持ちも隠しきれなくなっていることに気づくのでした。

そして、オールドレンズ漁りの中で(といっても2本しかもってないけど)、ライカのElmar 3.5cm F3.5のレンズ(下の写真のもの)を買ったのですが、製造年を調べると、なんと母親の産まれた年と同じということで、なんだかエモくなってしまい、両親に思いを馳せたり(ゴリゴリ健在)、子どもの頃の思い出を振り返っているうちに、「そういえば、当時使ってたカメラって、何だっけ・・・」みたいな、子どもの頃を走馬灯のように思い返しているうちに、当時のカメラを手に入れたい、という欲求が出てくるようになりました。

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当然、30年前で、かつ、別にカメラ小僧ではなかったので(ただの撮り鉄でした)、機種名なんて覚えている訳もないのでいろいろ調べました。「カメラカバーに目のようなマークがあったな・・・」とか、「なんか『X』って文字あったな・・・」みたいな、おぼろげな記憶をたどりにネットを調べていると、ありました、たぶんこれ!という機種。

ということで、今回購入したのがこちら!

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PENTAX MXです。レンズは、smc PENTAX-M 50mm/F1.4がついていました。某フリマアプリで見つけて、ちょっと高いかなぁ、と思いつつ買ったんですが、届いた機材はとてもきれい!レンズも全くくもりもなし!「何これ?ほんとに中古?」というくらい。

「いやー、こんなに小さかったかなぁ、まぁ、小学生だったしなぁ、へへへ」、みたいな、他人が見てたら見て見ぬ振りしたくなるようなニヤニヤ顔で、しばし眺めていました。

そして、その足で(?)、自由が丘にあるフィルム好きな人はご存知、ポパイカメラさんへ。フィルム買いついでに、自由が丘周辺をスナップして、ちゃんと写るか試そうではないか、ということで行ってきました。

30年振りのフィルム撮影

フィルムも、長らく買ってないので、まぁ当日よりは高いんだろうなぁと思いつつ(当時の金額も覚えてないけど)、どれどれと見ていたら、「なんじゃこりゃ、高すぎやろ!」とびっくり。まぁ、そりゃそうですよね、こんだけフィルムが衰退しているのだから、そりゃ高いはずです。仕方ない。需要と供給。

って、ことで、「まぁ、試し撮りだし・・・」と震えながら手頃な価格のFujifilmのE-TRA400を購入。店を出ながら、30年振りのフィルムセット。もちろん覚えてる訳もないので、しっかりYouTubeでフィルムの入れ方もチェック済みです。手慣れた手付きでフィルムを入れ、何度かフィルムが噛まなくて空回りするも、「こういうことあるんだよねぇ〜」みたいな顔して必死にセット完了。緊張しつつ、30年振りにフィルムカメラのシャッターを切ります。PENTAX MX特有の(他を知らんけど)、「パチン!」みたいなシャッター音。なんか、機械感あっていい!とテンションも上がります。

なんか、フィルムで撮ると、じっくり構えて、露出を決めて、ピントを合わせる。そんな時間がいいんですよね・・・

と、少し前の自分なら「は?寒!」と思ってしまうような気持ちになっていることに気付きます。

「やっぱり、フィルムええやん・・・」

すっかりフィルムのよさにはまりました。お恥ずかしながら。いい歳したおっさんが、すいません、ほんと。エモいとかは言ってないし、許してください。

時を忘れて、たぶん3時間くらいですが、自由が丘から九品仏まで撮り歩き、夕陽に染まる聖学院の十字架を怪しい目を向けられながら撮ったりしながら(女子校です)、24枚を撮りきりました。

そして再びポパイカメラさんに戻って、現像に出します。はじめてなので、USBを買わされたりなんやかんやで結構なお金を気づいたら払ってましたが、フィルム撮影の楽しさと、ちょっとした特別感と、そっちに行ったよ感みたいなのが重なって、気持ちよくお会計。現像に3週間かかると言われて、「あぁ、いいですよ」なんておおらかな気持ちにさえなっていました(後日、「早くなんないすかね・・・」と相談して1週間早めてもらいましたが…)。

で、上がってきた写真が、これまたいい!「あー、撮りたかったのは、現像で目指していた感じは、これだったんだな」ということをしみじみと感じました。

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こちら1枚目。自由が丘わかる方からすると、ポパイカメラから、この熊野神社まで結構距離あるのがわかると思いますが、そのくらい、最初のシャッター切るまで時時間かかりました。1枚の重み、みたいなものが、なかなかシャッターを切れないんですよね。デジタルならこの間に30枚くらいは切ってます。いやー、その感じがまたいいんですよねー(うざい)

何枚かアップします。

熊野神社

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自由が丘駅周辺

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九品仏

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↑ちなみに、この3枚目、やばくないですか… 個人的にはこのロールで一番いいと思ったカット。これだけ写るなら十分、いや最高と思いました(たぶんあんまり共感されないと思うけど…)。買ってよかった・・・

例の聖学院…

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これからもフィルムと共に

とまぁ、自己満足のスナップばかりではありますが、個人的には満足です。そして、何度も言いますが、フィルム、好きです。あれだけ斜に構えてみていた自分を殴りたい。早く買えよと。しかし、ようやく巡り会えたフィルム。そしてなによりも、30年前の自分が使っていたのと同じ機種で撮っている、ということの、なんとも言えない気持ち。これをエモいというのでしょうか、そんな気持ちになれるのが、僕にとっては最高の体験なのです。

このカメラ、1976年に発売されているのですが、僕が生まれたのは1977年。恐らく父が、僕が産まれて写真を撮ろうと思って買ってくれたんだろうと思います(ワンチャン、前年だから母を撮るためかも知れないけど)。いずれにせよ、家族を撮るために買ってくれたカメラ。それを、30年の時を経て、もちろん個体は違うけど、こうして使っている。今度、実家に帰ったら、僕が父と母を撮ってあげよう。そして、その写真を残していこう。そんな気持ちになっています。

そうした、いろいろな人、それぞれの歴史や感情も、フィルムカメラはまとっているのかな、なんておじさんは思いました。これからも、この古いカメラと共に、新しい歴史を刻んで行きたいと思います。

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