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寺子屋には、どこからでも関われる。通過点だった地域が、目的地になる。そんなワークショップの芽ができたという話。

みなさん、GWいかがお過ごしでしょうか?
巣ごもりでGWを過ごした方々が多かったと思います。

僕はと言いますと、美幌町に行っていました。…オンラインで!

株式会社あしたの寺子屋として、先日こんなプレスリリースを出しました。

弊社では、寺子屋を通して地域間格差を解消する学びの場を全国につくることに留まらず、教育にまつわる様々な価値変容を起こしていきたいと思っています。

その一つが、「世界に開かれた寺子屋運営環境」です。

先日、ある地域の教育に関わるステキな方から「教育に片足突っ込むのは、なんだか無責任な気がして…」という言葉を、伺いました。

確かに教育には責任が伴います。でも、その時僕が思ったのは、「もっとみんなに片足を突っ込んでほしいなぁ」ということでした。

急にUIターンや移住して、現地に関われなくても、全然いい
週末などの限られた時間での関与しか出来なくても、全然いい
プロのように自分の特別なスキルがなくても、全然いい

全然いいと思うんです。

町の中にも外にも、あなたらしい関わり方をしてくれる人が、100人いれば、その町の教育はそれだけで彩り溢れたものになります。
あなたの人生は、あなたにしかないもので、それを見ることができるのは地域のこどもたちにとってはあたらしい刺激になるのです。

そう本気で思って、信じて。あしたの寺子屋には、地域内外のたくさんの人が関わってくれる余白と仕組みを作っています。

それが、今回の「テラコヤソン」です。

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一言で言うと、寺子屋での学びや運営に関わる課題を、全国の様々なメンバーで集まってハッカソン形式で解決する方法を模索・提案するイベントです。実際にイベント内で使用した資料を共有させて頂きますね。

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この第1回テラコヤソンを美幌町の寺子屋ALOP SCHOOLで実践してみましたが、「寺子屋には、どこからでも関われる。通過点だった地域が、目的地になる。そんなワークショップの芽ができた」と確信しました。

これが手段の一つとして、進化して、広がっていって、「世界に開かれた寺子屋運営環境」が、実現されるはずです。

鉄は熱いうちに打てということで、本日の振り返りを皆さんともシェアしたいと思います。読んでくださった方、ご意見いただけますと幸いです。

▽テラコヤソンの基礎情報

▼スケジュール(全日程オンライン)

5/3(月)
13:00-14:00:趣旨説明・自己紹介・ALOP SCHOOLでの困りごと相談
14:00-15:00:ALOP SCHOOL生徒と参加者での人生クイズ大会・交流
15:00-16:00:テラコヤソンのテーマのディスカッション

5/4(火)
終日各チーム作業

5/5(水)
13:00-14:30:発表会&相互フィードバック
14:30-15:00:3日を通した感想や学びのシェア

▼参加者
約10名(ワーク参加は、8名)

▽プログラムにおける発見と振り返り

<事前>

〇Keep
・「職業」「地域」「経歴」「年齢」といったバックグラウンドがいろんな人が集まるように募集段階で工夫する。場合によっては、個別での声掛けも実施し、参加者層にバラツキが出るように参加者属性に気を配る。

・今回のテラコヤソン中の、花田さんの印象的な言葉。

美幌町だと、大学生と一緒に何かやれる機会が少ない。

確かに、そうだ。
大学生も地域のことを知らない。地域にも大学生と関わる機会が少ない。
だから、お互いが知りたい・やってみたい・関わりたいという、ポジティブな関わり方をできる仕組みを作ることが必要だと感じたひと言でした。

〇Problem
・具体的にどんなことをやるか?が、事前に明示しきれていなかったので、参加ハードルが高くなってしまった。

〇Try
・バックグラウンドが多様な人が集まるように募集段階で個別の声掛けも実施する。
・今回のテラコヤソンから、PV動画を作成し、事前告知・募集の段階でプログラム全体の流れがわかるようにしていく。

<3DAYS全体>

〇Keep
・寺子屋長が、参加者の発言やアイデアを称賛する・褒め合う土壌があって、発言をしやすかったり、参加者の貢献意欲が上がりやすかった。
・参加者同士の教育観が似ていて、前提が共有できた。
・参加者はお互いのことを覚えられる20名以内を目途に。

・今回のテラコヤソン中の、参加者(あしすたーず)の印象的な言葉。

美幌町に行きたくなった。
通過地点だった美幌町が、目的地になりそう。

こういう言葉をオンラインでも生み出せるのか。いや、オンラインだから生み出せるのか。とも思ったような時間でした。多くの「顔の見えない町」が、「会いたい顔が浮かぶ町」になる。そんな未来の端緒を見た気持ちになりました。

〇Problem
・「花田さんと、生徒たちに会いたいから、美幌町に行きたい」となったが、せっかくの美幌町の資源・魅力・空気を感じることが難しかった
常識を打ち破る意見や、遊び心が出やすい場の設計をできてはいなかった。(実際は、アドバイザー(大谷さん)のおかげで属人的に「無責任なアイデア」を出してもらえたのは良かった。)
・寺子屋側の機材と生徒の導線は事前に確認すべきだった。

〇Try
・「土地の魅力詰め合わせセット」を事前に送付し、みんなでその土地を味わう時間を「飲み会兼交流会」をDAY1に作ることで、「寺子屋長」・「生徒」・「その土地の魅力」の3つを知り、さらに当事者性・一体感をもってテラコヤソンに臨むことができる設計にする。
【参考とするイベント設計の例】

・遊び心の発言が出やすいように、楽しいムードを演出する運営を行う。
①:イベント開始までは、アップテンポのBGMを流す
②:アイスブレイクなどでの反応用に、SEを準備(拍手・ピンポン、等)
③:仮想背景は、テラコヤソン用のものを発行し、統一感を出す。
④:司会は複数人で役割分担を行う(盛り上げ係&冷静に整理する係)
⑤:寺子屋長のキャラが引き立つようなファシリテーション
⑥:最低限一人、常識はずれのような発言ができる運営メンバーが参加

<5/3(月) 趣旨説明・自己紹介・ALOP SCHOOLでの困りごと相談>

図3

〇Keep
・各自のバックグラウンドがわかるような自己紹介の時間を入れた。
・寺子屋長が事前に準備してきた「美幌町の紹介」「ALOP SCHOOLの設立背景・寺子屋でやってきている/やってみたいこと」のプレゼンをした。
・上記に対して、全員から気になることを引き出す・聞き出す質問を行った。

〇Problem
・本質的な悩み事をこの時間で引き出しきることができず、各チームに分かれた後の作業の中で、「本当に解決したい悩み」が炙りだされてきた。結果的には良かったが、限られた時間だと「本当に解決したい悩み」が見えている状態で、各チームの作業に入れたらよかった。

〇Try
「本当に解決したい悩みは何か?」を寺子屋長と事務局のコミュニケーションの中で、より明確にした状態で、テラコヤソンに臨む。

<5/3(月) ALOP SCHOOL生徒と参加者での人生クイズ大会・交流>

図2

〇Keep
・「この画面の中の誰から話を聞きたい?」と指名してもらい、自己紹介と自分ならではのクイズを出してもらった。生徒が「指名して話してもらう」形式は生徒から好評。「次は、僕が選びたい!」などと、意欲的な姿勢が見られた。
・参加者(あしすたーず)の海外に関するクイズには、小学校2年生・5年生の2人の子供が釘付け。こういったところから、自分の見たことのない世界への興味の扉が開くのだろうという実感があった。
・海外のことであれば、興味を持った国について、Google Street Viewを使って、疑似海外旅行をやってみれば?などというアイデアも出た。
・子どもたちが、いろんな大人たちから聞いたことを、「何が面白かったか?」など、自分なりに振り返りを行ったり、気になったことをインターネットで調べる経験のきっかけにもなった。
・具体的な生徒の顔が見えて、学びが生まれている様子を見れたこの時間があったことによって、当事者性をもってテラコヤソンを進められたと感じた。

〇Problem
「こんなクイズがおすすめ!」などといったガイドを出しても良かったかもしれない。答えにくいクイズや、もっとこういう風にすると盛り上がるかも?といった場面も見受けられた。
生徒達からクイズを出してもらうことを、事前に伝えておけばよかった
・クイズでたくさん情報量があったはずなので、この後の生徒達との振り返りのやり方を、事前に寺子屋長とすり合わせておければよかった。これができていれば、「今日の話を子どもたちがどう感じたか?」をあしすたーずのみなさんにもフィードバックできた。

〇Try
・クイズの正解/正解に近い/不正解のSEを用意しておく
・クイズの例題や、リアクションのルールなどを事前に一度アイスブレイクの中で練習しておく

<5/3(月) テラコヤソンのテーマのディスカッション>

画像8

〇Keep
・テーマは、比較的すんなり決まった。
・花田さんの悩みの一つの「クラウドファンディング」は、今回扱うことはできなかったが、それはそれでアリ。すべての課題を解決するというよりは、「このメンバーで」「いまの状態でも」「解決できる」問題にフォーカスして、テラコヤソンを行うことが良かった。

〇Problem
・発表会の進め方などを、事前に説明できていれば、準備もしやすかったかもしれない。

〇Try
・5/5の進め方やゴールをディスカッションの最後に共有する。
<共有内容:5/5の進め方の全体像>
①:チームごとにテラコヤソンの成果を発表する
②:発表内容に対して、別チームからコメントや質問
③:全体に対して、アドバイザーからフィードバック
④:成果を基にした、これからの寺子屋アクションを寺子屋長から発表
⑤:3日間を通じた各自の学びを共有する

<5/4(火) 終日各チーム作業>

〇Keep
・各チームが作業しやすいように、FBメッセンジャースレッドを作成。

<5/5(水) 発表会&相互フィードバック>

図4

〇Keep
・発表内容に対して、寺子屋長とファシリテーターが深堀。具体的に寺子屋長がアクション出来るか?という観点で、問いを投げかけ、成果物をさらにその場でブラッシュアップを作ることができた。
・これらのアクションを受けて、寺子屋長が今後行うアクションも共有した。
・全体に対する、アドバイザーからのフィードバックの時間では、常識を破るようなコメントやアドバイスが出て、参加者の発想が広がるような時間もあった。

〇Problem
・問いかけの内容として、「もっと常識を破るとしたら?」「ありきたりと思われないためには?」「今これだけやる1つのことを選ぶとしたら?」など、議論の前提を敢えて揺らすような発問も行えればよかった。(役割分担でも良いのかもしれない。)

〇Try
・あえて、議論の前提を揺らすような発問をファシリテーターも行うよう、心がけてみる。

<5/5(水) 3日を通した感想や学びのシェア>

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〇Keep
・あしすたーずのそれぞれの学びや気づきをシェアしてもらえたのは、全体として「今回の活動の良さ」の振り返り・共有もできただけでなく、あしすたーず個人の変化や気づきについても言葉にできるきっかけになり、良かった。
・上記に対して、寺子屋長から一人一言感謝の言葉を述べることができて、寺子屋長とあしすたーずのきずなが深まった瞬間があったように感じた。

〇Problem
・あしすたーずが、自分自身の学びや気づきにフォーカスして言語化したり、それを外部に発信することをそれとなく促す時間があっても良かったかもしれない。

〇Try
・気付きをまとめる一枚の紙を「土地の魅力詰め合わせセット」に入れておいて、気づきを自分の言葉にして、物理的に手元に置いておくことができるようにする。

さいごに

テラコヤソンは、まだまだ発展途上のワークショップです。

次回はどこの寺子屋で、テラコヤソンを実施しようか。
面白いと思った方は、次回は一緒に参加して、今日生まれたこの芽を大きくしていってくれればうれしいです。

そして、「世界に開かれた寺子屋運営環境」を、一緒に実現していきましょう。




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