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日誌「新しい果実」

自分の人生においてなくてはならないバンドが“GRAPEVINE”です。そのバンドのニューアルバムが発売されました。その名も新しい果実。前作と比べてどうこう、今回のサウンドはどうこう、というのは個人的にあまり興味がありません。つい会話の中で「1番好きなアルバムは?」などと言ってしまうことがありますが、その日のベストは決められてもオールタイムは難しいですよね。さておき、年々増すアダルトな雰囲気はそのまま、若いバンドのような勢いと溢れるフレッシュさをこのアルバムから感じました。まさに、新鮮なフルーツのよう。

何回かアルバムを通して聴いてみると、世の中への怒りや失望感、または変わらない日常や近くにある喜びを感じ取れました。他の音楽家でも楽曲に含むメッセージはそういったものが根底にあると言えますが、そこを直接的に表現しないところがGRAPEVINEの魅力だと思います。作詞をしているボーカルの田中和将氏が「楽曲はただの感情吐露ではいけない」と表していましたが、その1曲ごとのストーリーの内側に秘められている感情や引用元を考えることも楽しみ方の1つと言えます。

先行して配信されたシングル『Gifted』は、タイトルからしても深く考えさせられました。《若い私が見えないか 若い幾千の感受性を封じ込めて 》という歌い出しを、皆さんならどう捉えますか。私はあらためて歌詞カードを見つめながら、アルバムをゆっくり聴いていきたいと思います。

神様が匙投げた
明らかに薹の立った世界で
狩る者と狩られる者と
ここでそれを嗤っている者
どれもこれももういい
さよなら
- “Gifted” より -

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