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入試問題出典分析:2021年度早稲田大学政治経済学部

▼2021年度から早稲田大学政治経済学部では科目別入試を廃止し,一次が共通テスト,二次が複数の科目を横断した総合問題として出題することになりました。

▼この総合問題のうち,第2問は英文を用いた問題で,その出典は以下の通りです。

第2問

Peter Singer, Ethics across the species boundary, Nicholas Low, Global Ethics and Environment, Routledge, 2002, Chapter 9

▼第2問の著者の Peter Singer はオーストラリア出身の哲学者・倫理学者で,プリンストン大学教授です。彼の著作は大学入試問題でこれまでにも何度か出題されています。以下,その出題歴です。

① 2008年度共立女子大学文芸学部
② 2010年度埼玉大学前期日程(教育・教養・経済-昼)
③ 2011年度福島大学前期日程(人文社会-昼)
④ 2013年度東洋英和女学院大学人間科学部・国際社会学部
⑤ 2013年度新潟大学後期日程(人文)
⑥ 2014年度富山大学前期日程(人文・人間発達科・経済-昼主)
⑦ 2015年度上智大学神学部・総合人間科学部・経済学部・外国語学部
⑧ 2016年度秋田大学前期日程医学部
⑨ 2017年度上智大学理工学部
⑩ 2017年度法政大学デザイン工学部・理工学部・生命科学部
⑪ 2018学部群馬大学前期日程(社会情報)
⑫ 2018年度山口大学前期日程

▼このうち,③・⑥・⑪では以下の同じ著作から出題されており,⑥と⑪では同一の箇所が出題されています。

第3問

▼また,第3問では,以下の発言に対する賛否と,その理由を少なくとも2つ述べた1つのパラグラフを英語で書く自由英作文問題が出題されました。

"Peaceful protests should not turn violent even if protesters feel that their voices are being ignored."
(平和的な抗議活動は,たとえ抗議者が自分たちの意見が無視されていると感じたとしても,暴力的になるべきではない。)
(2021年度早稲田大学政治経済学部総合問題第3問より。和訳引用者。)

▼このテーマは,ひょっとしたら,2020年にアメリカを中心として沸き起こった "Black Lives Matter" を巡る動きを意識して出題されたものかもしれません。この問題に関連したニュースを読み,自分の意見を表現する練習をしていた受験生がいたとしたら,彼らには有利な問題だったと言えるでしょう。

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