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ある疑問

▼数日前,ふと思い立って過去の「拡大自殺」について少し調べました。

▼調べたきっかけは,拡大自殺の中でもいわゆる「無差別大量殺人」の容疑者は,自分がこれまで知る限り悉く男性ばかりであり,女性による犯行は果たして存在したのだろうか,という疑問を持ったためです。

▼もちろん,女性による複数人の殺人は過去にもありましたし,母親が子どもを道連れにするいわゆる「無理心中」も何件もありましたが,たとえば銃乱射事件や無差別大量殺人については圧倒的に男性が容疑者で,女性の手によるものは今のところ見つけることができていません。

▼また,見逃してしまったのですが,どうやらこの番組で扱われた容疑者も皆,男性ばかりだったようです。

▼さて,だとすれば,いったいなぜ,男性ばかりが「無差別巻き込み事件」を引き起こすのでしょうか。たとえば脳の構造に起因するのか,それとも,社会や文化によって期待される「男らしさ」の中に,そうした行動に向かわせてしまうような何かが存在しているのでしょうか。私自身,今,ここで何か明確な回答を持っているわけではありませんが,こうした事件の容疑者がこうも男性ばかりに偏っていると,そこに何か大きな要因があるのではないか,と思いたくなります。

▼しかし,こうした事件の報道や分析を見ても,ジェンダーという観点から分析を行っているものは今のところ,お目にかかったことがありません。たとえば,以下,ランダムにいくつか記事のリンクを紹介しますが,これらは社会における様々な問題点(アメリカの銃社会,自己責任を求める日本の社会など)を要因として挙げてはいるものの,容疑者が男性ばかりに偏っていることへの言及すらなく,当然ながら,私の疑問に答えてくれるものもありませんでした。

▼たとえば,以下のリンクでは,下に挙げるような説明が書かれています。

無差別大量殺人の背景には、自己愛性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害があることが多く、長期の欲求不満、経済的困窮の他、家庭問題や人間関係の悩みを抱えている場合もある。従って、孤立感・絶望感に苛まれ、抑うつ状態になっていてもおかしくない。そして、自暴自棄になり、自らを不遇な状況に追い込んだ社会全体を、最後にあっと驚かせ、一泡吹かせてやろうする。そういう意味では、自分自身を最後に際立たせ、輝かせたいという、自己承認欲求も含まれていると推測される。

https://www.kuins.ac.jp/news/2022/01/post_448.html

▼「自己愛性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害があることが多く、長期の欲求不満、経済的困窮の他、家庭問題や人間関係の悩みを抱えている場合もある」「自分自身を最後に際立たせ、輝かせたいという、自己承認欲求も含まれていると推測される」とあるものの,これらはおそらく,男女を問わず見られる現象のはずです。だとしたら,男性と同様に女性が無差別大量殺人を犯していてもおかしくはないはずです(もちろん,男女を問わず,そうした事件があってほしくはありませんが)。

▼男女の体格差や身体能力の違いはあるかもしれません。しかし,たとえば,ガソリンを入手して放火するという方法や,車で人混みに突っ込むという方法は,男女の体格差や身体能力の違いには関係がありません。だとしたら,男性だけが無差別大量殺人を実行に移してしまうのはいったいなぜなのか,逆に言えば,女性がそうした事件を実行しないのはなぜなのか,そこを突き止めて説明することが必要なのではないか,と思うのです。

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