マガジンのカバー画像

令和5年のフットボール

23
運営しているクリエイター

#大江健三郎

文芸批評を読む。『群像』2023年9月号

文芸批評を読む。『群像』2023年9月号

工藤庸子「文学ノート・大江健三郎」『群像』2023年9月号

1970年代からの蓮實重彦を読みながら、大江健三郎とも絡めて批評を解説している。批評を読んだのは久しぶりで、話題がなだらかにスライドするので捉えにくいところがあったが、少し時間をかけて集中して休憩しながら読んだ。やっぱり紙の雑誌は良い。いずれ反時代的と言われるのだろうが。

後半で蓮實と大江が、フロイト、マルクスを拒否しながら彼らの営為

もっとみる

大江健三郎

大江健三郎は『「雨の木」を聴く女たち』が最初に購入した本だったが、コンテクストが分からなかった。それで『死者の奢り・飼育』を読んでみたが、これもピンと来なかった。面白いと思ったのは『洪水はわが魂に及び』で、安部公房『方舟さくら丸』にも通ずる閉塞感とその回復の模索とでもいえるテーマだったのかと思う。
大江は平井和正の影響があったともいわれているが、饒舌で改行の少ない文章は筒井康隆に親しんでいたので面

もっとみる