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「すし哲本店」のすし哲物語@塩竈

 9月最初の週末、昨年に続いて仙台の「定禅寺通りストリートジャズフェスティバル」に出かけた。昨年3年ぶりの開催だったが、会場は限定、人数制限もありでかつてのにぎやかさとはまだ落差を感じた。今年は会場も増え人数の制限や規制もなかったようで、ようやく本格開催というところかと感じた。仙台に着いて去年は会場がなかった広瀬川ぞいの西公園にむかう。広い敷地のあちこちで大小さまざまな編成のバンドが張りきって出演していて、市民がのんびりと演奏を楽しんでいる。広瀬川からの初秋の風が心地よく、といけばよかったのだけれど、今年の猛暑はそんなに甘くはなかった。
 暑さに耐えながら定禅寺通り、勾当台公園と演奏を冷やかしながらぶらぶらするうち夕方になる。行きつけの「バーアンダンテ」でほっと一息、ジントニックを2杯。ビーフィータ―と、2杯目はご主人のおすすめで、東北の日本酒蔵元発のクラフトジンにベースを変えてもらう。いわゆる松ヤニ風の香はすくなく、なめらかな味わいを楽しむ。夏バテが続く体調を考え夜の街には出ず、お気に入りのウェスティンにチェックインして、夕食はインルームダイニングでバーガーをとる。
 1年ぶりの仙台、ひさしぶりに「ザ観光」を楽しもうと思い立ち、翌日朝から仙石線で松島方面へ。松島海岸駅で下車しすこしだけ瑞巌寺の洞窟遺跡群を歩いて、観光船の乗り場にむかう。いい時間に塩竈に行ける船があり、1300円払って乗船。冷房が強すぎるくらいに効いた船室から松島湾の島々の景観を楽しんだ。約50分の船旅で「マリンゲート塩釜」に到着。予想以上に楽しい「観光」だったなあ。
 今回の塩竈での目的は「すし哲」一択。マリンゲートからぶらぶら歩いて本塩釜駅の反対側の本店に。仙台駅にも支店があり全国的な人気店だが、13時過ぎだったこともあり、すぐにカウンターに座れた。ラッキー! 人気メニューの「すし哲物語」をオーダー。すこしだけお酒もいただきつつ、港町の名物握りを堪能する。
 ご主人も若い職人さんたちと変わらずカウンターに立たれており、すこしお話をすることもできた。東日本大震災の翌年、このお店を訪れてご主人の話を聞いたことがある。1階の天井あたりまで海水が来た、という生々しいエピソードを話されていたことを思い出す。営業再開にはさまざまなご苦労があっただろうと思うのだけれど、いつも淡々としておられるように見受けられる。震災から12年。くりかえし東北に来ておいしいお酒と鮨などをいただく。無力な私にもできるほんのわずかな心ばかりの応援ではないかと、じつはすこしだけ僭越ながら勝手ながら思っている。

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