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ベルリン・天使の詩



偶然の出会い

 ある日、小規模な映画館の予告にナチス・ドイツや戦争を芸術に変えて表現をしている''アンゼルム''というARTISTの映画があった。正確には、魅せられた。
 わたしは大学生の頃から美術館に行き、何かとアートに憧れを抱いていた。だから、今まで気になる展覧会があると行く方だと思う。しかし、アートに詳しくはない。ただ作品から感じてくる物や表現の仕方が好きだ。と私の事は少し触れたところで、なぜ気になったのかはお分かりだろう。

職場で知り合った60歳の友人

 ある日、60歳の友人というか職場の親しい人というか、仲がいい男性と一緒にホームで電車を待ってる時だった。「そういえば、こんな映画を観に行った時に予告で流れた映画が凄く面白そうでした」と話をして、詳細をHP画面を見せたら、「ヴィム・ヴェンダースなんだ!」と驚いていた。「ヴェンダース監督は面白い作品が多いよ、とくにベルリン・天使の詩が好きだね」ネット配信で観れるらしい、せっかくだから観よう。こんな事がきっかけで映画を観ることにした。

現代の感性と過去の感性

 白黒から始まるこの作品は、俺にとってはサッパリ分からず、天使が白黒でしか世の中をみることが出来ない。いかに空虚な世界観なんだとしか思えず、そのあとは飛ばそうという考えも湧き出てきた。感じたことは、天使から見る人間は頭の中で色々と思い悩んでるだけで、楽しいのか?と疑問に感じる印象を受け、自分自身も天使側から見たらネガティブな思考を繰り返し脳内で思い起こしてるのかもしれないと俯瞰してみれたのは大きな収穫だと思う。あとは、赤子のような新鮮さで物事や当たり前を見て、人生の楽しさを感じてる天使は人間味のある顔になってた。そんな感じだろう。でも、現代の感性で作品を作ってないということを忘れてた。そう、これは昔の状況・感性・世界観があり成り立つものだ。いまの感性では全くつまらないものにしか思えない。教えてくれた年配の友人には申し訳ないが、俺は少しの感想と解釈しか受け取れなかった。そこには心は動かなかった。

共有・共鳴

 映画の感性というのは、監督も同じ時を共有する人だ。自分が生きてるときに上映した映画は奇跡のような出会いだと私は思う。今はネットフリックスとかAazonPrimeVideoやU-NEXTなどで簡単に安く多くの作品を享受できる。なのでベルリン天使・詩を今見ることが出来るという素晴らしい面もあり、文明の進化を感じざるを得ない。しかし、そのネット配信があるから映画館で観なくてもいいやというのは辞めた方がいい。お金を払って、大スクリーンで、他の観客と一緒に同じ作品を観るのは、変えがたい体験であり、より作品に魅力が増すという。そして実際に観た方たちは、”当時はこう感じた”という心のスナップショットを語ることが出来る。これは変えがたい財産で、歳を重ねても覚えてることの方が多い。

面白いとも・感動的だなとも思わず
自分が映画を観た後に残った想いは、「この監督は作品を通して何を伝えたかったのか?」という問いだけが残った。この作品から気づけなくても、他の作品から分かると思う。なのでPERFECT DAYSを近いうちに観てみようと思った。

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