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No.48 『エレコム』 逆境から学んだ変化の必要性

経営者の中には強烈な原体験を持つ人が少なくない。SHOWROOMの前田裕二社長は8歳で両親を失い、兄とふたりで必死に生き抜いてきた。路上でギターを弾き、投げ銭で生計を立てていたこともある。この体験がSHOWROOMのビジネスモデルの着想に繋がった。

エレコムの葉田順治社長も若い頃の逆境が同社の経営戦略に活きている。たしか実家の材木問屋が倒産する危機を経験しているのではないか。事業が決して永続的ではないことを学んだ。変わらないためには変わり続けなければならない。

エレコムのポリシーは、マウスやスマホの保護ケースなどデジタル周辺機器において「製品首位4割、年3分の1入れ替え、不振ならすぐ生産中止」。汎用品の宿命である価格競争と利幅低下に抗するため、年4千もの新製品を世に出している。商品化までの意思決定プロセスを極力簡素化し、「まずは世に出し、売れなければすぐにやめる」高速な新陳代謝で移ろいやすい時代に対応できるのがエレコムの強みだ。

家電事業に迷えるパナソニックなどはエレコムから学ぶべき視座が多いように思う。とりあえず製品化して、ダメなら次を考える。アジャイルな開発思想がコンシューマ製品にも必要であろう。そのためには、一人当たりの裁量が極端に限定されている現状の体制ではダメで、現場への権限委譲と意思決定権者のスリム化がパナソニックに関しては課題ではないかと思う。

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