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焼き菓子の力を信じてみる。

明日の朝はあれを食べようと
楽しみを作って新しい日を迎える為の
自分を支えるアイテム。

私は食いしん坊なので
好きなお菓子屋さんの焼き菓子やパンが
自分を支えてくれる事が多々ありました。

明日が来てほしくない時でも、
その小さなアイテムが私を新しい日へと導いてくれていました。

今年小学四年生になった小さな常連のお客様。

彼女が初めて来店してくれたのは、
幼稚園生の頃でした。

うちの焼き菓子やケーキを気に入ってくれて、
特にバニラのねこクッキーはいつもストック用に
たくさん購入してくれていました。

しばらくして彼女のお母さんからお手紙を頂きました。

彼女が生まれつき持っている特徴の事、
繊細さゆえに今まで入れるお店がなかった事。

他のお店だと店の前まで行っても扉を開けることが出来なかったのに、私の店は自ら扉を開けて入って行けた事。

お店で家族の時間を過ごせるなんて思っていなかったので旦那さんと一緒に喜んでいる事。

手紙の内容からは今まで娘さんを想い、たくさん悩んで来られた事がヒシヒシと伝わってきました。

私は繊細な彼女に、店を選んでもらえた事がとても嬉しくて、

その素直な心にこの店は役に立てたのかと、
反応してくれた彼女の感性に感謝でいっぱいになりました。


遠足に行けないと言っていた彼女が
ねこクッキーをお守りに遠足に参加できた事、

小学校に入学して不安定になった時も
ねこクッキーを食べて落ち着くことが出来た事、

色んな場面で彼女の役に立てた事を
お母さんはその都度教えてくれました。

今はしっかりお姉さんになって、
お母さんが居なくても一人でもカフェで過ごせますし、

年下のお友達にはここの店の先輩として
おすすめの本を見せてあげたり、
私は彼女の成長が見られることをいつも嬉しく思います。

小さな彼女は私が作るものたちが、
誰かの役に立てることを教えてくれる存在なのです。

今は特に日常が不安定な時。

いつも出来ていた事が当たり前ではなくなり、
その変化に心を保つのが必死であることを、
お客様を見ていて日に日に強く感じていきます。

お仕事の休憩の僅かな時間に
カフェに来てくれたり、

店が定休日の前日には、その間に食べる為の焼き菓子をいくつも購入して下さるお客様たち。

今の生活の癒しですと
気持ちを伝えてくれるお客様達の為に
私は何が出来るんだろう…。

いつかの私がそうだったように
明日を迎える為の支えとなれるならば…

そうやって私は今、
自分の事を考えるより
誰かを想うことで不安がありません。

そんな風に思わせてくれるお客様達に
少しでも喜んでもらいたいとなった時、

むくむくとアイデアが浮かんできます。

作ろう作ろうと
後回しにしていた
お酒と合いそうな焼き菓子。

季節限定にしていたけれど
今作っても良いじゃないか人気のブラウニー。

お家型の可愛い箱に
色んな焼き菓子を詰め合わせて
ステイホームを楽しんでもらおう。

あれもこれも作って
焼き菓子のコーナーを賑わそう。

そこで少しでも笑顔になれるなら、
小さな店に出来ること。

今私が出来ること。

焼き菓子の力を信じてみようと思います。

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