光の隙間
シュルっと
繊維のようなものが喉にはいっていくのが
わかる瞬間がある。
気づいた時にはもう手遅れで
むせてしまってうまく息ができない。
苦しいはずのこんな時、
なぜだかぱっと光が広がる瞬間がある。
走馬灯に近しいなにか。
もし咳き込んだまま息絶えるのだとしたら
この光に包まれるんだな、と思う。
まあ現実はそんなにいいものではなくて
この世のご時世もあって
咳き込んでいるとウイルスに侵されていると
思われて肩身が狭い。
文章を書いている時、
特にすらすらかけない時に悶々と悩んでいる状態は咳き込んでいるのと似ている。
何かを書いては消して
面白くないな、と苦しんで
「あ、光だ。書ける。」
と思うとそれは幻で。
結局ただ疲労感に包まれる。
それなのに書き続けるのはなぜだろう。
いまはまだ喉に繊維が引っかかっている。
流し込んでも吐き出してもなくならない。
すっきりしたとき
何かが変わっているのかもしれない。
そんな気がする、だけ。
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