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雨がふらなければ鬱にならなかったかもしれない




中学1年生、4月が終わる頃私はソフトテニス部に入部した



2つ検討していた部活があったが、小雨の中活動していたのはソフトテニス部、小雨の中走り回る先輩達が楽しそうにみえたのだ




後々 私はあの日雨が振らなければ鬱病にならなかったかもしれないとも思うのだけれど





入部してしばらくすると準備などを後輩の私達がやるようになる

ネット張り

ボールの空気入れ

ラケットの用意

体調は前の記事で書いたようにずっと悪かった

けれど私が準備をしないとだれも準備や用意をせず、先輩の視線が冷たく刺さるので、積極的に準備片付けはしていた




夏が近づき、熱くなってくる

炎天下、一人ネットを張っている私と日陰で日焼け止めを塗っている同級生


先輩の声が聞こえると、姿がちらつくと、一生懸命に手伝ってくれた


先輩がまだ来ない時の同級生は、だいたいは日陰で日焼け止めを塗るか、空気が入ったボールの空気を抜いては入れることを繰り返していた



先輩が来るまでの間、体を動かすのが好きな私はネット打ちをしていた

軟式のボール特有の、打ったときのスパンという音がコートに響き渡るのがとても気持ちが良かった





部活がはじまる


………

やけに私の体に同級生の放ったボールやラケットが当たる気がした

雨の降った日にはよく私は飛んでくる水でびしゃびしゃになった

私が個人練習をしているスペースに急に来る同級生、打ったボールが当たってしまう

「痛ッ」

悪いのは、私だった

刺さる視線、謝る私



片付け、同級生は先輩と話しながらラケットをしまって日陰で話している

私は草むらにボールを拾いに行っていた

部活で使う倉庫の鍵の返却、交代制だったがやっていたのは毎日私だった



先輩と仲良く話している同級生、先輩がいなくなると一瞬で口を噤む

更衣室はだいたい会話がなかった

あるとしたら自由服期間、私服の私を見て

「毎日同じ服?」「変な組み合わせ」

それくらいだった

おしゃれには疎かったけれど、毎日のように言われると苛立ち、ストレスになった

黙る私をみて

「何か言ったら?頭おかしいんじゃない?精神科行きなよ」

既に心療内科にかかっていたのはしらなかっただろうな



同級生は地元が一緒で、通学路は全く一緒

行きも帰りもよく鉢合わせていた


東京、朝の満員電車

詰め込まれる人 人 人


ぎゅうぎゅうの人混みでよろけたのか私の足を踏む

人に押されたのか肘でお腹を突く

他の同級生と話ができない距離まで一人追いやられる

友人と話していても割り込んできて、手を繋いでどこかへ引っ張っていってしまう

孤独感が強かった


一人で帰ろうとしても、彼女はいつもいる

まちぶせをしているのだ、しらじらしく「あっ、まだいたんだ!」なんて言ってついてくる

結局踏まれたり押されたり、部活の文句を言われたり


毎日だった




ボールが当たるのも、準備片付けの大半を私が担うのも、満員電車を理由に押しやられるのも、なにかにつけ文句を言われるのも


ぜんぶ つらかった


でも同級生が、

「たまたまボールが当たっちゃって…私ヘタでごめんね」

「電車で人に押されちゃって…」

「悪意なんてないよ」

「ごめん、わたし口悪くて!」

そんな言葉を言えば皆納得して私は被害妄想野郎になる、そんなグレーゾーンの陰湿な嫌がらせだった

「きにしすぎだよ」

そう言われたら黙るの一択だった



毎日部活はあって 勉強もあって

湧いてくる苛立ちや不満を曖昧に濁して 

誰にも言わず日記に書いて

学校へ行って、部活の準備は淡々と毎日して、家に帰った




派手に目に見えず、相談もしづらい


じわじわと私の心を蝕んでいった、毎日の記憶







文字に起こすことで精算しているような気持になります