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【ショートエッセイ/赤ちゃんが母体から出てくるタイミング】

ユヴァル・ノア・ハラリ氏の『サピエンス全史』によると、人間の赤ちゃんは、他の哺乳類よりもかなり未熟な状態で出てくるという。四つ足ではなく二足歩行を選択したため、二足歩行で必要な体のスリムさを取った結果、子宮が小さくなり、赤ちゃんが成熟しきるまで保持できなくなったようだ。だから人間の赤ちゃんは、お腹から出てきてから誰かに世話をしてもらわないと生きていけない。他の多くの動物はそれができるのに。

「出産予定日」というのは、妊娠がわかるとすぐに医師から伝えられる。最終月経日から40周目のその日、だ。この日を過ぎても生まれないと、生まれるよう促進する薬、妊娠促進剤を投与されるようだ。母体の子宮に居座り続けられると、二足歩行になった動物は、耐えられなくなってしまうのだろう。
一方で早く生まれすぎてもだめで、予定日より大幅に早く生まれてしまいそうな時は、生まれないように絶対安静にするように言われたりする。子宮のなかは無菌状態で栄養も自動供給される楽園だから、胎児はできるだけ子宮の中に留まっておくべきとのことだ。

この遅すぎてもだめ、早すぎてもだめ、の間を取ったのが「予定日」なのだろう。人類の進化とともに、この「予定日」は変わっていくのだろうか。

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