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20230603 : 上界のスティグマ(千賀健史)

最近は写真の展示はほぼ見にいけない。以前は「写真の勉強のため」「自分の仕事に何かできないか(8000books)」というものがあり狂ったように週末は行っていた。でも、写真の勉強とかどうでもいいし、仕事もアルバイトが忙しくて全部契約も引き払っている今の私は義理も恩もなく「見たいものだけ見に行く」という当たり前の生活になりつつあります。

 で、展示は時間ができたら「1つ」くらいいくようになってる。

今月末からバイト先の諸事情により、また6月−7月はまた違う仕事を受けたので時間がないので 週末時間空いたので急に展示を見に行った。今回見に行こうと思ったのは下記2点

・ギャラリー229であること
→実はこの前片柳さんのおすすめで見に行った作家があってかなりこの場所といいカフェのセンスといい気になっていたのだ。
→以前見た作家の展示と今度は千賀さんはどうやるのか?気になった。・いつものホーム(PRS)でやらない理由はなんだろう?
→それも興味があった

 行ってみましたよ。

 結論から言うと

「かなり興味深かった」 まる。以上。

これでは展評(?)にはならないので詳しく

 千賀さんのtwitterで「湿気がすごくて」「壁に開けた穴から屑が」「水がすごい」「サンプル本が湿気でカールして」とあって、あれ?ギャラリーだろうがと思って狭い階段を降りていくと。。。。。。

 びっくりした。

何が?

 床に水が溜まってるのだ。

そしてびちゃびちゃとした水滴の音が響いてる。

(何これ昨日の雨の影響?)と思って恐る恐る展示を見る。

千賀さんは前にいた男性とずっと話していた。

展示を見て回ると
水音、溶けたペーパー、そして前の展示では見えなかったギャラリーの奥の狭い場所にも写真が展示してる

まあ、写真も「写っているもの」が何とかそういう問題じゃないような写真だし、額も微妙に歪んでいる。

(なんだこれ、誰かの頭の中なのか?)

しかもギャラリー(というか地下室)の壁は黒いし、剥き出しの器具が出ててしかも床には水溜りがある。。。

(随分とまあチャレンジングなインスタレーションだな水溜りって)と話を聞こうとしたらガヤガヤと人が降りてきた。

(ああ、話すチャンスあるかな)と心配してたら

先頭にいた品のいい紳士がこちらを見てニコニコして両手を上げて

「榎本さーん☆ あえてよかった。今日ラッキーだよジム(・キャスパー:レンズカルチャー)も一緒だよー」とハグしようとしてきた!

こんなことをしようとする人は日本人で私の知り合いで速水様しかいないのがすぐわかったのだが

一瞬

(コロナだよな、スルーしたほうがいいのか)と

思ったが(その間2秒)

とりあえずハグを受ける。(フリーハグ)

まあ速水さんは外国での生活が長いのと「売れっ子ホスト並みの相手が喜ぶ脊髄反応する方」なのでさすがだよなと納得する。(ええと 後でどこにお金を払えばいいのでしょうか・・違)話がそれた、展示の話だ。

速水さんと団体様一向に向けてギャラリートークを急遽やってもらう。(頼んだ)
・水滴はインスタレーションでなく本物
・響く水音は効果音で以前の自分のアパートの水漏れの時
→twitterで知ってたが、彼の上の階の人が宗教的に何か儀式?をやらかし水を撒き散らして下にも被害がすごかったらしい
・最初は違う展示をしようと思った でも、この地下室ギャラリーを見たときにこれを作品を展示したいと思った

 すごいな。

元々、千賀さんは美術系の大学卒でなく、作品も綿密な調査のもとに行うフィールドワークの発表論文みたいな作品が多いので、今回ももうちょっと突っ込んで聞いてみると(作品解説も読んで小説も読んでみた)

写真は今話題の「A I」を使用して画像を作ってると言うのだが、ただ話題のと言う意味ではなくて

現実にないものを写真に映し出すこと。

つまり

☆「現実とは何か」「社会的スティグマ」とは何か☆

をみる人に問いている

 作品の発端は現実にあった水漏れ事件(上の階の方も宗教だったみたいで)らしく、それをそこまで(ここまで)作品にまとめ上げてこの人すげえなと思った。ええ思いましたよ。そこからの考え方の展開がすごいと思う。まじすげえです。(言葉が貧弱)

行ったら必ず初小説の「上界のスティグマ」も購入してください。面白かったし、この作品の図録的な意味もあると思う。

ギャラリートークの中で質問してみた
「なんで今回小説もあるの?」
答えは「自然に出てきた」とのこと。

この小説もすごく読みやすくていい。

これは現実のようでもあるし、全く空想のものでもある
そうAiが作る写真みたいに。

現実はどこにあるのか?
写真は現実を写すと言うのは本当ではないでしょ?

最近、清水穰先生の本を読んでて
「写真は常に何かの写真であり何かが写ってるだけでそれ以外のものを抽象的に象徴的に読み砕くのはナンセンスだろうが(意訳で要約)」というシャーカフスキーの批判の引用を読んで

「写真に写ってないるもの、いないもの」を考えてる。

スティグマ=精神疾患など個人の持つ特徴に対して、周囲から否定的な意味づけをされ、不当な扱いことをうけること

国立研究開発法人国立精神・神経医療センターHPより

 この展示は何を
みにきた人に見せてるのか?

写真に写ったものではないと思う。
上の階で神に祈ってた人の現実(本当のこと)は
私たち一般人の本当のことと何が違うのか

 写真もそうなのか スティグマなのか。

ふとまとまらないですが考えておりました。

千賀さんの展示はここ
https://www.tokyoartbeat.com/.../229-gallery/2023-06-03

追伸
・小説の中に出てくる猫は「ベーコン」だろうなとか思ったり
zoomで嬉しそうにtwitterのことを聞いてたのはSさんだろうなとか勝手に思っておりました。ベーコンはカワイイ。
・千賀さんも知ってるフランスにいた日本人の作家友人も「違う世界に」いっちゃって戻ってこれない人がいたなと思った。彼は生きてるのかな。

48歳からの写真作家修行中。できるかできないかは、やってみないとわからんよ。