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松尾豊 「日本が取るべきAI戦略〜世界で勝つために必要なこと」 2019/07/25 ~メモ~

ゲスト:松尾豊さん

AIが発揮する人間にはない「発想力」

AlphaZero
将棋棋士が使わないような動かし方をする
王将を中段に持っていく戦法を取る。

人間は思考を節約したい生き物
変数を少なくしたがる。

AIを3つに分類

1. IT系:従来からあるIT技術の「擬人化」
- マーケティング用語として。電卓ですら、「人間の解けない数式を理解し、高速に解をはじきだす人工知能」といえる。
- RPA(ロボットプロセスオートメーション)、フィンテックにおけるAI
1960年代、1970年代からの技術
2. マシンラーニング系:機械学習や自然言語処理を中心とする技術
- 統計、ビッグデータ、検索
- IBM ワトソン、日立 H、NEC the Wise、富士通 Zinrai等
- 1990年代からの技術
3. ディープラーニング系:「眼」の技術、画像処理と機械・ロボットの融合
- アルファ囲碁、医療画像の診断、自動運転による認識
- 日本は製造業との融合に大きなチャンス
- 2012年頃からの技術

技術的な革新が起こっているのは3だけ

ディープラーニングとは


・入力を出力に写像するために、簡単な関数の組み合わせで表現力の高い関数(「深い」関数)を作り、そのパラメータをデータから推定する方法。
・途中の階層には、入力を変換した「特徴量」が学習されている。

近年のAI = ディープラーニング
「認識」「運動」「言葉の理解」

Google翻訳がDeepLearning方式になったのは2016年から。(格段に精度が高くなったのはこの頃から)

ディープラーニングの原理

ディープラーニングとは
・一言でいうと、「深い関数を使った最小二乗法」
・あるいは「重回帰分析を重ねたもの」

最小二乗法とは
・最小二乗法とは、測定で得られたデータの組を、1次関数など特定の関数を用いて近似するときに、残差の二乗和を最小とするように係数を決定する方法。
・「気温」と「冷たい飲料の売上」の関係を考える。(単回帰分析)

最小二乗法:変数を増やす
・「気温」から、飲料の売上を予測する。

重回帰分析とは
・複数の要因がそれぞれどの程度関わっているのか関数の形で数値化して将来の予測を行う統計手法
・重回帰分析→猫の写真、画像診断

ディープラーニングが持つ「深さ」の意味


1層(浅い)

深くするとなぜいいのか?
Ex)料理

関数を重ねることで最終出力の精度が上がる。

加工して良いのが1回だけは制限が大きい。
何度でも加工すればできるようになることが大きい。

なぜ、急に深い関数を使えるようになったのか?

あとから振り返ってみると
- 計算機のパワーが上がったこと(特にGPUの活用)
- データが増えたこと

できないものだという思い込みのほうが強かった。

・その後色々と効率的に計算するトリックが見つかった

ReLUが使われている。

関数を「飛ばす」ことで精度を高める

ディープラーニングでAIは人間になる?

生物の進化に匹敵するディープラーニング

眼の誕生
カンブリア爆発が起きたのは眼ができたから

これからのロボットは眼を持つようになる

既存事業でなぜ人が必要だったのか
眼が必要だったから。

既存事業の発展
労働集約的な産業が自動化される

農業:収穫判定 
建設:測量
食品加工:振り分け確認
組み立て加工:目視確認の自動化

機械が「眼」を持ち変わっていく産業構造

認識ができる家電具が出てくる

日本にチャンスがあるのが「食」
超巨大市場

インターネットでいうと1998年

インターネットと比較したディープラーニングの歴史

ディープラーニングの課題はビジネスモデルの構築

ディープラーニングにしかできない価値の出し方
ビジネスモデルとのマッチの仕方

ディープラーニングで画像診断をして
10~100のものでスコアリングする。

ディープラーニングの真骨頂
人が判断できないことを判断

ディープラーニングの認識と
「大量・高速・常時」を組み合わせる。

今後の展開予想①


「世界」を認識する

今後の進展:世界モデル
・画像の認識はできる
・映像からの行動認識等もできる
・画像や映像からの深さ算定もできる

今後の展開予想②


「言語処理の向上」
次に来るのが記号(シンボル)の謎の解明

シンボルVSパターン

知能の全体像:知覚運動系と記号系の2階建て

知覚運動系のみ(動物)
知覚運動系と記号系の2階建て(人間)

抽象化した思考・行動ができるのが人間

言葉によって何かを「想起」できるのは人間だけ

目の前にあるものを想像するのは人間だけ

GAFAが強い世界

ディープラーニングの学び方

日本の問題点は多くの人が過小評価している点。

日本ディープラーニング協会(JDLA)

ジェネラリスト(G検定)
ディープラーニングの基礎的な理解を元に、実ビジネスに活かす人材

新しい技術的な技術が出たときはそれを使える人を教育しなければいけない。

日本のITの原因は発注者のリテラシーが低いこと。

ディープラーニングへの理解が乏しい企業が多い。

ビジネスを作り出す側が理解していないといけない。

G検定

中身を理解したいなら「プログラミングをやれ」

Keras
ディープラーニングのライブラリを使って簡単にプログラムを書くことができる

まずはやってみることが新しいことにつながっていく。

Couseraのコンテンツがいい。

高専生の可能性


20歳で機械、電気、DLができる人材ができる

ソフト・ハード両方強い人材は貴重。

ディープラーニングと機械学習の違いは?


深いかどうか

AIはスーツケースワード(何でも入る言葉のこと)

ディープラーニングは深いということが言いたい。
ヒントン先生はディープと呼ぶ

データマイニング:たくさんの情報を掘ってくる

AIは仕事を奪うのか?「歴史」から考える

時代が動いていく
リスクもあればチャンスもある
どちら側に回るか

作る側に回るか、使う側に回るか、取られる側に回るか

AIで儲けたいなら勉強せよ

AIが感情を持ち、娯楽を覚えることはあるのか?

知能と生命は違う
知能:問題解決
生命:生き残るが目的

AIは「生命」に由来することはできないので感情を持たない

SFで描かれるAIはありえない。

AIが集団を形成する生き物ではない。

教育のためにAIはどう活用できるのか?


年齢による区別は適切ではない。

心が柔らかな老人もいる。

たくさんのデータを使うことにより学びやすいコンテンツの最適化が可能。

松尾流!良い人材の育て方

みんな尖っている。どんどんぶつかること(議論すること)。
イノベーションを起こすには「寛容さ」が重要
どこまでも寛容であればあるほど人は動き出す。


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