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遠くであなたが見つめてる



虚空に浮かぶ小さな青い点が見えますか。

1990年2月、宇宙探査機ボイジャー1号が約60億キロ彼方から地球を撮影した画像。地球の姿はほんの1ピクセルにも満たない小さなサイズなので、その名もペール・ブルー・ドットとしてこの写真は広く知られるようになりました。

私たちが日々あくせくと働き、思い悩み、喜び悲しんでいるその姿がこの微小な点に凝縮されていると思うと、なんとも言えない気持ちに包まれます。

広大な宇宙から見れば、人間などまるで微生物、いや物質を構成する分子や原子のようにとても小さな存在のようです。こんなドットの中で何を悩んでるの。吹けば飛ぶよなこんな世界で、争ったりしてる場合じゃないよね。こんな風に言われているような気もする。存在の微細さを再認識するとともに、謙虚であらねばとの思いを新たにします。

けれど一方でこの点の大きさ、重さも感じます。私たちひとり一人が抱えているものは、決してちっぽけなものではないとも思えてならないのです。この小さな点の中で何十億の人間の複雑な思いが、無数に交差し綾を織りなし、一秒の中を駆け抜けていく。私が目を凝らして見つめるこの一点に、とてつもない重さを感じて途方に暮れてしまいます。ふっと消し飛んでしまうかもしれないこの孤独な星の抱えているものはなんと重いのだろう、そうも思うのです。


ボイジャー1号は地球から最も遠くに到達した人工物として、今もまだ旅を続けています。










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