NEZマガジンがセレクトしたナチュラルフレグランスの紹介(全16ブランド) [NEZ 2021年6月4日]
NEZ Magazineに掲載されたNatural Perfume特集を日本語に翻訳しています。
前回までで8名のNatural Perfumerのインタビューが終わりました。
今回は、NEZマガジンがセレクトするオススメのナチュラルフレグランスについての紹介です。
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By Jeanne Doré
2021年6月4日
Nezがセレクトしたナチュラルフレグランス
このテーマに関する調香師のインタビューを読んだ後は、本題に入りましょう。私たちが注意したブランドといくつかの作品の紹介です。(もちろん、全てを網羅しているわけではありません)
Aftelier
Mandy Aftel は、アメリカのアルチザンと天然調香の女王と見なされることが多く、30年にわたってこの仕事に携わってきました。彼女のクリエーションは彼女自身に似ています。つまり、寛大で自由で、制約がなく大胆です。探求する分野は時に冒険的で、慣習にとらわれず、常に調和または違いによって特徴づけられる2つの素材間との会話として構築されていきます。
2015年につくったVanilla Smokeは、顧問を務めた展覧会のオープニングのためのもので、Museum of Food and Drink(MOFAD)で開催されました。 黒くしわの寄ったバニラの鞘が(CO2エクストラクトの)正山小種茶と合わさり、燃える寸前の茶色いキャラメルとともにピートウイスキーのグラスを握りしめているようです。ほとんどのバニラフレグランスのクリーミーで甘いバニラと対照的に、あえてすべてをむき出しにし、スパイシーでウッディで樹脂のような特徴を明らかにしました。これは非常に珍しい香りを生み出し、完璧な存在感と持続性で締めくくります。
Honoré des prés
2010年、Olivia Giacobetti(Natural Perfumer特集でインタビューする予定でしたが、残念ながら個人的な理由で中止となりました)は、このパリのブランドをスタートさせました。「自然の純粋な抽出物」というジャンルを改めて始め、以前の道から遠く離れて、手頃な価格にしました。ニンジンやシャーマンのレシピからなる7つのオードパルファンの中で、Vamp à New Yorkはバニラアイスクリームコーンに浸したような驚くべきクリーミーなチューベローズで、飾らない誘惑と子供のような間を行き来しています。
Acorelle
2006年にRégisLelongによってAgenで設立されたAcorelleは、何よりもまずオーガニック化粧品ブランドであり、過去10年間に渡りフレグランス(Cosmos Organic認定)を発表してきました。 Katell Plissonが、香料の調達元であるStéphane Piquartと協力してつくり、バニラ、ティアレ、ティーなどの主要成分を中心に、シンプルでわかりやすい嗅覚の方向を探ります。少ない容量で非常に手頃な価格で提供され、さまざまな濃度、幅広い流通ネットワークがあり、ナチュラルフレグランスのIKEAのような感じです。 2019年に発売されたEnvolée de néroliは、プチグレン、ミント、レモンのほのかな香りがするフレッシュでグリーンで爽快な始まりから、徐々にパウダリーでフローラル、やわらかなウッディになっていきます。
Hiram Green
Hiram Greenのフレグランスには、常にある種の露骨さがあります。
荘厳で直接的な何かです。複雑で強烈であり、変化しファセットが多いですが、常にコントロールされてバランスが取れています。
2019年の Art&Olfaction Awardsを受賞したHydeは、ハーブティーを飲みながら(もしくはリキュール?)暖炉のそばで古い革張りのアームチェアに座って読書をしたり、猫が膝の上で喉をゴロゴロ鳴らしたりするような、感動的で人の心を惹きつける香りです。
最近発表されたVivaciousは、パウダリーなミモザの太陽のような香りとアイリスの大胆なエレガンスを組み合わせ、蜂蜜のアクセントがわずかにレトロなバイオレットを形成し、ヘイと刈り取られた草の中間にある野菜やアーモンドのノートに囲まれています。
Eve & Daphnée
Muriel Folmard-Kahnによって設立されたEveet & Daphnéeは、「持続可能で刺激的な生活の芸術」を支持し、クリエイティブプロセスをゆっくりと進めるという原則を完全に受け入れていて、2015年から発売されたフレグランスは1つだけです。Delphine ThierryによるTentation 1 – Contre luiは、シナモンでスパイスを効かせた美しいローズで、パチュリ と樹脂のラブダナムに優しく寄り添い、アイリスの雲に包まれ、穏やかな繊細さを帯びた嗅覚の豊かさをもたらします。
100Bon
2017年にChristophe Bombana(エルメス香水の元インターナショナルディレクター)によって立ち上げられた100 Bonでは、バラエティが多く、価格が安く、2つの原料の組み合わせからアロマコロジカルなコンポジションまで誰もにふさわしいものが揃っています。
私たちのお気に入りのFleur d’oranger & Lilas délicieuxは、温かく心地よいフレグランスミストで、ネロリの刺激的なフレッシュさとアーモンドのようなライラックの甘さを組み合わせた香りです。シンプルで中毒性があります。
Histoires de parfums
2018年、ブランド創設者のGérald Ghislainと調香師のSylvie Jourdetは、単独または重ねて使用できるように設計された2つのフレグランスを考案しました。THIS IS NOT A BLUE BOTTLE 1/.4 は100% ナチュラル、そして 100% 合成のものは同じ名前の 1/.5です。
フルーティーでリキュールのようなダバナが、きらめくわずかにビターなアコードでラベンダーとカルダモンに包まれ、ラブダナムとベンゾインを帯びたパチョリに進化します。
Ormaie
「感情と記憶に満ちた詩的な香水」としてデビューしたOrmaieの作品は、ユニークで幾何学的なブナ材のキャップがあしらわれた素晴らしいボトルも際立っています。
Michel AlmairacとSerge de Oliveiraは、ラベンダーのオマージュとして2018年にLe Passant をつくりました。トンカビーン、バニラ、クリーミーなウッディなど太陽のような香りを放ち、洗練された気品と優しさで香りを温めます。Irene FarmachidiによるCarbon Paperは、カルダモンやリコリス、ナツメグが、アンバーとバニラ、パチュリ を背景にガイアックウッドと調和して贅沢にブレンドされています。
Tolteca
2018年にAurélie Anthenaによって設立されたこのブランドは、アステカの祖先であるトルテック文明にインスピレーションを受けた神秘的な世界を提案します。製品はCosmos Natural認証されており、天然香料が使われていて、シャーマンの儀式で伝統的に使用されている成分も含まれます。
男性用のフレグランスにはStéphanie BakoucheによってつくられたOcelotlがあり、これは古代トルテック族の言葉で「ジャガーの戦士」を意味します。きらめくシトラスフルーツとハーブティーのような乾燥したラベンダーが強力なバルサムアコードへの道を開き、ミネラルやスモーキーなガスのようなインセンスレジン で肌を包み込み、高い持続性をもたらします。
Voyages imaginaires
長年Goutal Parisで働いた後、Isabelle DoyenとCamille Goutal は2020年に自分たちのブランドを立ち上げました。
5つのオードパルファンは、2人の調香師にとって大切な嗅覚のテーマを探求し、はっきりした個性と複雑で細かいファセットのある構造を備えています。
La Couleur de la nuitは、グリーンラベンダーとヘイノートで始まり、パチュリ やベンゾイン、樹脂のダークで非常にテクスチャーのあるファセットと、見事なアンバー、バニラ、バルサムが調和しています。
Floratropia
Karine Torrentによって設立されたこのブランドは、2020年から「ワイルドを香水に変える」を掲げていますが、最初はコンポートパウチに似た詰め替えパッケージで名を馳せました。しかし、Delphine Thierryによってつくられた4つの洗練されたフレグランスも有名です。
Le Ciel は雲のように浮力のある残り香があります。しっかりとしたゼラニウムで始まり、グリーンとアーシーを強調するキャロットシードとアンブレットシードで飾られたアイリスが現れます。そしてパウダリーノートをわずかなオードヴィーとともに甘さに包みます。春の朝の新鮮な空気のように、無重力の美しさを表現しています。
Corps volatils
Æther を設立し、Le GalionをリニューアルしたNicolas Chabotが始めた新しいブランドは、天然香料と合成香料を対等な立場に置き、合わせて12の作品を発表することにより、それぞれの美しさを強調することを唯一の目的としています。
Jean-Christophe HéraultによるEnhanced Pepperでは、マダガスカルのブラックペッパーエッセンスがタバコとアーモンドのファセットを備えたトンカビーンの温かみのある滑らかさに包まれています。それはシダーウッドとダークでスモーキーなパチュリ と一緒になり、清潔でミニマルなシプレのようです。
Acqua di Parma
François Demachy によってつくられ、2020年に発売されたColonia Futuraが示すように、ビッグブランドもナチュラルに手を出しており、99%天然成分のフレグランスに成功しています。ラベンダー、バーベナ、ベルガモット、セージがリードし、半分フゼア、半分コロンのエレガントな構造を構築してから、パチュリ とモスの美しくクリーンなシプレーベースに進化します。
Bastille
ワイン生産者の娘である30歳のMarie-Hortense Varinと、元エバリュエーターから独立コンサルタントに転向したAnne Bouvelleとの出会いによって生まれたBastille は、ISO 9235規格に準拠したクリエーションを行い、「オリジナリティと品質への挑戦」に応えるため、95%ナチュラルという形をとっています。Bastilleの香りは、ナチュラルフレグランスのような香りはなく、確かにかなり独創的で、マジパン、ミルク、またかなり官能的なチュベローズなどの驚くべきファセットを生み出しています。(間違いなく、5%の非天然香料が関係しています!)また、各フォーミュラに含まれる天然・合成香料の全成分リストをウェブサイトで開示するという重要で非常に珍しいことを行なっています。透明性を約束することは尊敬に値します。
Caroline DumurによってつくられたDemain Promisは驚くほどスパイシーでミルキーなアコードを浴びます。バラはカルダモンとシナモンで飾られ、パチョリとモスがブレンドされたウッディシプレーベースを中心に、微かにロードイッセイを思わせます。
Æmium
2020年にEmmanuel Rocheによって設立されたÆmiumは、Cosmos NaturalまたはCosmos Organicのいずれかに認証された7つの香水のコレクションを発表しています。 Karine Vinchon SpehnerとSerge de Oliveiraによってつくられたフレグランスは、サンプル用のコルクストッパーやポプラの木箱など、詰め替え可能なボトルとプラスチックを含まないパッケージが使われています。Rouge Confidenceは、暗く複雑で樹脂の世界を探ります。パチュリ 、サンダルウッド、ベンゾインがインセンスとレザーに囲まれ、チェリーとラズベリーのフルーティーでアーモンドのようなトーンとともに、リップスティックのキスのようにパウダリーで大胆なレイヤーでコーティングされています。
Ffern
Owen MearsとEmily Cameronによって設立された若いイギリスのブランドであるFfernは、2019年の冬から季節ごとに異なるフレグランスを発売しています。オンラインで登録してメンバーになるだけで、次のシーズンが始まると新しい香水のボトルを手に入れることができます。登録する人の数が生産数を決定するので、無駄や売れ残りを防ぐことができるのです。
Ffernのパッケージを受け取ると、何よりもまず見た目が素晴らしいです。すべてがリサイクル可能または堆肥にできるものですが、よく設計されていて落ち着きがあり、優雅です。そして、François Robert と Élodie DurandeによってつくられたSpring 21をスプレーすると、完璧な美味しい香りがします。ベルガモット、オレンジ、マンダリンとほんの少しジンジャーが混ざったフワフワの雲が、花弁の抱擁のように柔らかく美しいオレンジの花を温かく迎え入れます。甘くもなく、子供っぽくもなく、贅沢でもないこのオープニングは、ゆっくりと消えていくベチバーに溶け込み、スモーキーでドライなファセットを明らかにし、フレッシュで透明な水にまったく新しい次元を与えています。
次のフレグランス、Summer 21は6月21日、夏至の日に公開されますが、現在予約は受け付けています!
あなたの好きなナチュラルフレグランスはどれですか?
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原文はこちら
https://mag.bynez.com/en/reports/natural-perfumers/parfums-naturels-la-selection-de-nez/
(画像:NEZ THE OLFACTORY MAGAZINE)
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