『問はず語り』を和歌から読み解く4 お持ち帰りされながら

和歌8 作者の心の中

鐘の音におどろくとしもなき夢のなごりも悲し有明の月

鐘の音で起きたのではなく、ただただ夢の中のような愛の名残に切なく思うの。有明の月が出てる。

初めて院に抱かれた作者が、院にお持ち帰りされてしまうシーン。そこで作者は自分のことを『伊勢物語』や『源氏物語』に登場する、男性に持ち帰りされてしまう女性キャラに重ねて、この歌を心の中で静かに詠みました。

夜が明け、院に純潔を奪われたけれどもなぜか愛おしい。しかも自分には実兼という恋人がいる…
作者は自分のことを悲劇のヒロインのように思っているようです。

そうして車の中で院に愛の言葉をささやかれながら、御所に到着しました…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?