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みんなで選挙の話でも

仲宗根優介(96年生まれ 沖縄市泡瀬出身)

 先月、自宅の作業机を掃除したときに一つの束を見つけた。
 それは20歳で選挙権を得てから、これまでに投票した一票の証である『投票証明書』だ。小さく裁断されたこの証明書の束を手に取ると、当時の記憶が思い出される。
 参議院選挙の投票から始まり、県議会議員選挙、衆議院選挙、県知事選挙、県民投票にも一票を投じた。

投票証明書の写真

 選挙の話を大学の友人(関東圏出身でひとり暮らし)に話すといつも「そんなに選挙って大事?」みたいな反応をされる。その度に「んー。沖縄が好きだから投票するんだ」みたいなこと言って茶を濁すが、内心は沖縄で投票し意見表明することで得られる自己満足だった。
 一票を投じることの重さ、政治に関心を持ったのは、2013年の仲井真知事の発言だ。

 当時の私は高校生。ラグビー部で楕円球を追って泥だらけの毎日だったので「政治って分かんない。投票出来んし」って感じで触れてこなかった。
 しかし毎日のNHK夜の定時ニュース、県紙朝刊のテレビ欄、1面は読むようにしていた。2013年に、当時の仲井眞弘多沖縄県知事が、それまで普天間飛行場の県外移設を打ち出していた姿勢を一転させ、辺野古の埋め立て申請を承認したことがきっかけで、新聞やテレビのニュースをよく見るようになったのだ。「いい正月になる」発言は特に鮮明に覚えている。報道をみて私自身も呆きれや憤りを感じたのだが、私以上に周りの大人、メディアが怒っていた。なんでみんなあんち(そんなに)怒ってるの? なぜだか知りたい。そう思ったのが始まりだ。
 埋め立て承認の翌年、2014年に任期満了による沖縄県知事選挙があった。名護市辺野古への新基地建設の是非が大きな争点だったと記憶している。当時はまだ高校生だったので投票が出来ず悔しさを感じていた。
 政治に興味はあるけど、興味があると表に出すのが恥ずかしくてモヤモヤして過ごしていた2018年。選挙権を得てから初めての県知事選挙がやってきた。
 これは選挙権を持っているからそう感じたのかもしれないが、両陣営で私と同世代の支持者が若者チームとして選挙を盛り上げているのがよく見えた。意見は違うが政治課題を自分ごととして考え、活動する光景が頼もしく思えた。今思えば両陣営に足を運び話をすればよかったなと今でも後悔している。

 現在告示されている県知事選挙の投票先はすぐ決まったので、前回の後悔を晴らすべく、職場の同僚や友人とライトな感じに「今度の選挙どうする?」と聞いてみた。内心ドキドキしながら聞いたのだが、思ったよりラフな感じで選挙の話や政治の話が出来た。読んで頂いている皆さんもまだ聞いた事ない人はぜひ聞いてみてほしい。発信していないだけで、選挙や政治についてひとりひとり考えを持っているから聞けたときは楽しいよ。

 沖縄で投票する私の一票は沖縄の未来を決める一票で、大和に意思を示す事につながると私は思う。私は投票はまだだが、投票先は決めた。沖縄が日本の主権下に復帰してから50年であり、14回目の県知事選挙だ。コロナ禍での選挙で表立った盛り上がりにはかける印象だが、せめて個々人の周りだけでもアツい選挙になってほしい。明日は投票日だ。

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