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森谷司郎監督「放課後」を鑑賞する。

大森一樹監督は、森谷司郎監督の「赤頭巾ちゃん気をつけて」や「放課後」に感銘を受けて「恋する女たち」を創ったといわれている。それぐらい、キュンッ!となるカワイイ映画、それが「放課後」である。

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思春期の高校生の心の綾を掬い取って見せる“思春期ムービー”で、冒頭の井上陽水の「夢の中へ」に乗せたモノクロ群像画面が、ヒロイン:栗田ひろみの登場と共にカラーになるオープニングから、高校生という蒼い季節の不安定な愛憎心理を活写していきます。



複数の家庭が同居している複雑な家屋の中での、恋愛心理の未熟な女子高生の年上の男性へのあこがれと現実を描くー「悲しみよこんにちは」の日本版といった主旋律ストーリーに、同じく同居している男子高校生の大人の女性への想いと一人前への焦りも加えた思春期劇で、井上陽水の挿入歌:「いつのまにか少女は」や、ちあきなおみの「喝采」、三善英史の「雨」も効果的に使われています。

数年しか活動しなかった栗田ひろみの青春の輝きを井上陽水のメドレーに乗せて映し出した青春映画で、当時は高校生でもヌード撮影に参加できたことも分かりますよ!

挿入歌、井上陽水の「いつのまにか少女は」とストーリーがもの凄くマッチしてて、いいなあと思う。
風景は昭和なんだけど、唄も栗田ひろみの魅力も古びてない。
その他流れる「夢の中へ」「喝采」(ちあきなおみ)も、聞き馴れた唄だけど古びてない。

栗田ひろみの、子どもっぽい表情と、大人びた表情が、猫の目のようにクルクル変わる所に引き込まれる。三つ編みの髪を解く所とか、パッツンパッツンではち切れそうなジーンズの後ろ姿とか、ほんとドキドキする。
彼女自身の素材の良さというのもあるんだろうけど、それを余さず撮った森谷司郎も上手いよなあと。
高校生の他愛ない青春だけども、飽きない。


地井武男が、憧れの年上の男を演じていて、良い具合いに色っぽくて、こんな役もやってたんだなあとちょっと驚いた。
宮本信子は、伊丹映画の宮本信子のまんまで、演技の幅の狭さというか、もうこの時点で完成されてたんだなあとちょっと驚いた。

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