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相米慎二監督「雪の断章ー情熱ー」を鑑賞する。

何やら、物故された原作者が「この映画をDVDにしないで」という遺言を残したという噂がありましたが、今回。無事にDVD&ブルーレイになったので鑑賞できました。

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冒頭の十数分間、ワンカットで幾つもの場面と時間をまたぎ、「ヒロインの幼少期」というひとつのシークエンスをひとつなぎで見せてしまうところから、一気に引き込まれた。
編集とは、観客の想像力をつなぐこと。
目に見えるAとBをつないで、目に見えないCを想像させるモンタージュ。それをワンカットで斬新にこなしている。美術担当者は苦労しただろうなあ。。。美術担当は、小川富美夫さんです。

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斉藤由貴、初々しい!
子どもだったのが「良い女」になる手前をよく演じてる。
鏡の前でポーズを決めるシーンにグッとくる。

ラストの「キスして」と言う台詞の後ろ、画面ど真ん中で、ピエロがふよふよしてるのにはオイオイオイと口に出たくらい面白かった。ありきたりなシーンにしたくなかったのだろう。

雨や雪や桜を降らせたり、水に反射する光を暗い部屋に入れたりと、何かと情景演出にも凝っていて楽しい。

殺人事件を扱っているのに「なぜ殺したのか」は重要ではないというのも、特殊な物語だと思った。

斉藤由貴以外に興味のないカメラと、からっぽで意味不明な物語が最高に面白い。こんなにも演出だけで何も言わせない作品ってあるのかね。

松田聖子にバービーボーイズ、中山ラビ、笠置シヅ子。選曲だけで目眩してくる素晴らしさ。

演出は別として、物語として好きな場面は、自殺しようとする大介が「一緒に生きてくれるか」と迫る場面。伊織が育ての親二人に持つ感情は正直言って、男女の愛ではないだろう。しかし、そんなことはどうでもいいのか、よく分かっていないのか、男たちは伊織を自分のものにしたい。そのめちゃくちゃさ。愛やら運命やら、最後は欲望か?どうして斉藤由貴は儚い顔して、こういうのが似合うんだ?

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佐々木丸美さんの原作本です。読むと、映画とかなり違うことがわかります。

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