相米慎二監督「ションベン・ライダー」のDVDを鑑賞。2回目だが、これほど凄まじい映画だったとは!
前回DVDで観たときは、うかつにも眠ってしまったので、今回はブラックコーヒーを手に。。。
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完成したら4時間になったので、泣く泣く相米監督が2時間にまで切ったので、ストーリーでわかりにくいところが多々ある。
冒頭の寺田農夫婦の借金話なんか、ゼッタイに不要。あの5分は切るべき。そのかわりに、メインストーリーを増やすべきだったと思います。
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主人公たちのなかの「いじめっこ」=「デブなが」の父親が自営で薬剤師を営んでいるのですが、それは表の顔で、裏では「覚醒剤」を精製して暴力団に横流ししている。
で、暴力団のいざこざで、敵対暴力団のチンピラふたりが「デブなが」を誘拐して、横浜〜熱海〜名古屋へと珍道中。(チンピラのうち関西弁をまくしたてる桑名正博が好演)
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そのころ、同じく「デブなが」を追う3人組の同級生がいた。
いじめられた仕返しをするために。
女の子だけど自分のことを「ボク」と呼ぶブルース(河合美智子)。
自転車から軽トラックの荷台に飛び移るジョジョ(永瀬正敏)。
仲間2人に比べるとやや気が弱い性格だが、ここぞと言う時には度胸がある。カナヅチで泳ぎが苦手な辞書(坂上忍)。
以上の3人が走り、暴れ、相米慎二にいじめられる(笑)。
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なかでも、ブルースこと河合美智子(役名をそのまま芸名にしたらしい)の体当たり演技がすごい!
銭湯の男風呂に、普通の長さのタオル2枚だけで入ってくるし。(簡易ビキニ状態!)
朝の浜辺で突然「初潮」を迎え、どうしてよいかわからず、海のなかに歩いていき、そのとき、片方の乳首が透けて見えているし。
もう、相米慎二は、河合美智子が親の仇かのように絞って絞って絞りつくす。それにこたえる河合美智子は、「もう、自分でもなにをしていたのか覚えていない」という精神崩壊状態。劇団にもタレント事務所にも入っていなかったらしいから、そうなりますますわなぁ。美智子ちゃん、ようやったわ。えらい。
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もうひとりの「相米慎二被害者の会」、アラレ先生こと「原日出子」。
はじめは橋から10mの川に飛び込む河合美智子を橋の上から「あがってらっしゃい!」と声をかけるだけの役が、橋の上まで連れてこられたとたん相米慎二が「生徒が溺れてるのに、先生が助けにいかねえわけねえよなぁ」と、予定変更で10mの川に飛び込ませたり。
デブながを追って、5mもある電信柱に「命綱なし」でスカート姿で上らせたり。
相米への怒りを爆発させた原日出子は、助監督に後ろからはがいじめされながら、相米慎二の腹に蹴りを入れ続けたそうだ。
パワハラやセクハラでうるさい、令和の撮影現場では、想像もできない「ハチャメチャ」さだったようであります。
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とにかく、「狂った映画」「無茶苦茶の映画」を観たい人にはおすすめです。
あ、そういえば、坂上忍が一番、おとなしかったなぁ。
さらに。主題歌と挿入歌を河合美智子が歌っているのですが、これがなかなか上手い。のちにNHKの「ふたりっ子」でオーロラ輝子を演じる素地が、かいま見える。
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