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【ポップス】🥁1960〜1970年代の名曲は、 『ハル・ブレイン』のドラムなしには完成しなかった。レッキングクルーの親分の名作を!

ハイ!今回は、ついてこれない人は寝ていていいですよ。
アメリカンポップスマニア、オールディーズマニア、ロックマニア、洋楽ファンの方だけにお贈りする「お中元ギフト」でございますから。

全盛期の激しいハルのドラミング。イヤホンをして音量最大で聴いてほしい!


「ハル・ブレイン」「フィル・スペクター」「レッキング・クルー」「カーペンターズ」「ビーチボーイズ」「バーズ」「島倉千代子」「ティファナブラス」「フィフス・ディメンション」「サイモンとガーファンクル」と聞いて、ピンっ!ときた人だけお読みください。

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ハル・ブレインの名前を知らなくても、この曲を知らない人は、少ないのではないでしょうか。
そう、AMラジオ「オールナイト・ニッポン」のOP曲、ハープ・アルバート&ザ・ティファナブラスの「ビター・スイート・サンバ」。

演奏名義は「ティファナブラス」になっていますが、スタジオミュージシャンとして「レッキング・クルー」のメンバーが演奏。軽快なドラムはもちろん「ハル・ブレイン」。


あと、「演歌ファン」の方ならご存知であろう島倉千代子こと「お千代さん」の「愛のさざなみ」。
このバックの演奏は、作曲家の浜口庫之助の意向がありアメリカで録音。いざ、演奏当日になって、レッキング・クルーのメンバーがやってきて浜口先生ひっくりかえったとか。
ということで、この、なかにし礼のシュールで不思議な歌詞の「愛のさざなみ」は、ハル・ブレインのドラムを前に、お千代さんが歌うという珍妙なことになったのでございます。

コーラスワークが素晴らしいですなあ。黒人コーラス隊を集めたという都市伝説があります。

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珍しくくつろいでいるフィル・スペクター。

ハル・ブレインといえば、フィル・スペクター軍団の傑作群、なかでも、
ロネッツの「BE MY BABY」のイントロで有名です。
フィル・スペクターが、アレンジャーのジャック・ニッチェに、
「この曲はやねぇ〜、初恋をした女の子の苛立ち、ときめき、不安、喜びをごった煮にしたようなサウンドにしたいんや。わかるか、君? 頼むで、しかし!」
と難題をけしかけた。
当然、困るジャック・ニッチェ。
「胃が・・・胃が痛い・・・」
胃薬を飲もうとハル・ブレインの前を通った。
「おい、ジャック。どないしたんや。顔色、悪いでぇ」
「実はな、かくかくしかじかで・・・」
とジャックは、ハル・ブレインにすべてを告白します。
「ハッハッハッ!フィルらしい、無茶な注文やなぁ。よっしゃ、ちょい待ち」
しばらく腕組みして思案したハル・ブレインは、
「よっしゃ!」といったかと思うと、
バスドラムを、

♬ドン!ドドン!タン!ドン!ドドン!タン!♬


「マイクを足元のバスドラの前にセットしてこの音を録音するんや」
「?」
「これはな、初恋におちた女の子のハートの動悸や。いきなりイントロで、この女の子は初恋でドキドキしとるいうんをバァーンと打ち出すんや」
「なるほど!いっぺん、実験、やってみよか」
「よっしゃ!」
で、録音したイントロのバスドラをフィル・スペクターに聴かせると、
「ええがな!これやがな!これが欲しかったんや!」
いまや伝説といわれる「BE MY BABY」の印象的なイントロが完成した瞬間である。


また、スペクター・プロデュース作といえば、クリスタルズ(実はダーレンラブが歌っている)「HE IS A REBEL」のラスト、フェードアウトしていくところを音量最大で聴くと、さまざまなフィル(おかず)で遊びまくっている。
「尻尾の先までたっぷりアンコの入った鯛焼きだ」といった某ジャニーズ系忖度ミュージシャンがいたが、まさに最後の最後まで、楽しい名曲を叩いてくれる。作曲は「ルイジアナママ」で有名な「ジーン・ピット二ー」。


フィルたちの「ガールグループ・ブーム」が終わったあとも、アメリカン・ポップスの世界で活躍し、6年連続でグラミー賞を受賞した。

1966年:Herb Alpert & the Tijuana Brass"A Taste of Honey"
1967年:Frank Sinatra "Strangers in the Night"
1968年:The 5th Dimension "Up, Up and Away"
1969年:Simon & Garfunkel "Mrs. Robinson"
1970年:The 5th Dimension "Aquarius/Let the Sunshine In"
1971年:Simon & Garfunkel "Bridge over Troubled Water"

この中で、私が超個人的に好きな2曲をご紹介しましょう。


■サイモンとガーファンクル「ミセス・ロビンソン」

ミセス・ロビンソン」(Mrs. Robinson)は、ポール・サイモンが作詞・作曲したサイモン&ガーファンクルの楽曲。

1967年12月公開のアメリカ映画卒業』のサウンドトラックで初期のヴァージョンが使用された後、翌1968年2月2日にフル・コーラスで録音され、4月発表のスタジオ・アルバムブックエンド』に収録されるとともに、シングル・カットもされた。

BMI調べによる「20世紀アメリカのテレビやラジオで最もオンエアされた100曲」のランキングでは、600万回以上のオンエアで7位にランクインされた。


■輝く星座/フィフス・ディメンション

ミュージカル「ヘアー」の挿入歌「輝く星座/レット・ザ・サンシャイン・イン」。この曲で、フィフス・ディメンションは、ついに1位の座を射止めグラミー賞最優秀レコード賞を受賞することになった。

ちなみに、清涼飲料水「アクエリアス」のCMソングではない。


◆◇◆

さて、ここらへんで、「ハル・ブレイン」のドラム技術が最も発揮されている「ドラムがあるからこの曲がある」というべき隠れた名曲をお届けしましょう。

■ティファナブラス&ダーレンラブ「メキシカン・ドラマー・マン」

」もう。ハル・ブレインがノリにノッて、ドラムを叩きまくっています。
ジャッキー吉川も脱帽でしょう。
スタジオは、フィル・スペクターご愛用の「ゴールドスター・スタジオ」。
勝手知ったるスタジオで、勝手知ったる仲間たちと、
「一曲、やっか!」
と一発録りしたかのような勢い、迫力、パッション。
これぞ、ハル・ブレインの真髄です。

これが「ドリーミング・ポップス」が量産されて伝説のゴールドスタスタジオ。

◆◇◆

さて、カリフォルニアで、「ハル・ブレイン」をはじめとするレッキング・クルーを尊敬していたミュージシャンといえば、
ジャン&ディーン」と「ビーチボーイズ」を忘れることはできません。

・・・

ジャン&ディーン は、ジャン・ベリーとディーン・トーレンスによるアメリカ合衆国の男性デュオ。1959年にデビューし、1960年代前半にサーフィン&ホッドロッド・サウンドで人気を博した。1966年にリーダーのジャン・ベリーが自動車事故を起こし脳を損傷、右半身麻痺や言語障害など後遺症が残り、活動停止を余儀なくされた。まさに「DEAD MANS CURVE」だ。

ベトナム戦争前の幸せなアメリカンビーチライフですねえ。

ジャン&ディーンは、プロデュースを「ハル・ブレイン」に依頼するぐらい彼を信頼していた。
ハルがドラムを叩いた曲は名作揃いだが、これも超個人的な好みで2曲紹介します。

■ジャン&ディーン「ライド・ザ・ワイルド・サーフ」


■ジャン&ジル・ギブソン「IT'S AS EASY AS 1, 2, 3」

ジャンが、恋人の「ジル・ギブソン」と一緒につくってデュエットまでしたイチャイチャソングであります。羨ましい限りです。
Bメロで突然「ワルツ」になるのは、ジルちゃんのアイデア。センスいい
ふたりを祝福するかのように、ハルのドラムも弾けています。

「IT'S AS EASY AS 1, 2, 3」を日本語にすると、「恋をするのなんて、子供が、123…を覚えるのと同じぐらい簡単なことよ」と、彼氏を挑発する女子の大胆さを表現しているようですなあ。さすが、アメリカ。大胆素敵!

・・・

次に「ビーチボーイズ」。
といっても、レッキング・クルーや、フィル・スペクターにイカれてしまったのは、ブライアン・ウイルソン君でして。
ビーチでサーフィンをするどころか、スタジオに籠もって、録音に没頭する日々でした。

他のメンバーは、全米にコンサートツアーに行っていたけど、どこふく風。

■ビーチボーイズ「I Get Around」


■ビーチボーイズ「Do You Wanna Dance?」

⇧「踊ろよベイビー」は、私の「ビーチボーイズ・ベスト1」です。
ハルのドラムが素晴らしいですし、ブライアン・ウイルソンの編曲もイイ!


◆◇◆


ここいらで、すこし箸休めを。
みんなも知ってるヒット曲を集めてみました。
どれも、「ハル・ブレイン」がドラムを叩いているのですよ。

■ザ・カスケーズ「悲しき雨音」

⇧某百貨店は、外で雨が降ると、店内のこの曲が流れます。すると一階の店員は急いで、入口付近でビニール傘を並べます。商魂たくましいですね。


■ボビー・ヴィー「燃ゆる瞳(The Night Has A Thousand Eyes)」

歌詞: あなたは暴走する恋人だと言われます
君はそうじゃないって言うけど
でももしあなたが私を別の理由で下げたら
わかるよ、信じて、わかるよ

夜には千の目があるから
そして千の目は見ずにはいられない

あなたが私に誠実なら だから、
小さな嘘をついたときのことを思い出してください

夜には千の目があるということ

電話すると家にいるって言うんだよ
そして、あなたがどれだけ気にかけているか
寂しいって言い続けてるのに
誰かがそこにいるかどうかわかります

夜には千の目があるから

そして千の目は見ずにはいられない

あなたが私に誠実なら だから、
小さな嘘をついたときのことを思い出してください

夜には千の目があるということ

そのうちあなたは後悔することになるでしょう
あなたのゲームを私がプレイするから
そして実際に試してみなくてもわかるでしょう
私のキスが迷うたびに

夜には千の目があるから
そして千の目が私を見通すだろう

そして、私が何をしても
私の小さな白い嘘をすべて隠すことはできませんでした

夜には千の目があるから

だから、小さな嘘をついたときのことを思い出してください

夜には千の目があるということ ♬


■ザ・バーズ「ミスター・タンブリンマン」

「タンブリングマン」はクスリの売人という意味があるとかないとか・・。


■バリー・マクガイア「明日なき世界(Eve of Destruction)」

⇧ 1965年ぐらいになると、反戦歌が登場します。原題の「Eve of Destruction」を、google翻訳で訳してみると「破滅の前夜」 本当に恐ろしいタイトルです。いまの令和の日本を表しているといってもおかしくないでしょうね。



■ジョニー・リバース「秘密諜報員」

イギリスドラマ『デンジャー・マン英語版)』のアメリカでの放送時(『Secret Agent』と改題)の主題歌として用いられ、1966年に全米3位を記録した。


■グラスルーツ「今日を生きよう」

⇧ 日本ではGSのテンプターズの持ち歌でした。ボーカルは「萩原健一、ショーケン」です。かっこよかったなあ。


■ママス&パパス「夢のカリフォルニア」

⇧ 確か同じタイトルの映画があって、深夜放送でみて、泣いた覚えがあります。コダックフィルムのCMソングに使われていたような気がします。


■ペトラ・クラーク「MY LOVE」

⇧ イギリスで「ダウンタウン」を大ヒットさせた苦労人ペトラクラークの軽快なポップス。いい曲ですね。やはり、トニー・ハッチの作曲ですね。さすがです。
Producer: Tony Hatch
Composer: Tony Hatch


■カーペンターズ「トップ・オブ・ザ・ワールド」

⇧ カーペンターズのなかでも人気の高い曲です。ハルの軽やかなリズムが多幸感を運んでくれます。


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ということで、アメリカンポップスを支えた天才ドラマー「ハル・ブレイン」のことをわかっていただけただろうか。

さらに詳しく知りたい方「レッキング・クルーのいい仕事」という本を読んでください。


ドキュメンタリー映画にもなっています。



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