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1960~1990年代の「サブカルチャー」について。

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1960~1980年代の「サブカルチャー」についてご紹介いたします。音楽なら、テクノポップから筒美京平、大滝詠一など。シティポップからGS、アイドル歌謡曲まで。アート、文学。ゲー…
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#映画感想文

『何が正しいかは自分で決める』

【ヤング・ウーマン・アンド・シー】最近鑑賞した中では1番のお気に入りです! 史上初、英仏海峡を泳いで渡った女性スイマーの実話に基づく物語です。主役のデイジー・リドリーが凛としていて美しい!そしてストーリーも感動でした(^_^) 1900年代初頭、ニューヨークにトゥルーディ・イーダリー(演:デイジー・リドリー)という少女がいました。幼い頃は体が弱かったのですが、姉のメグと共に地元の海辺で泳ぐようになります。女性が水着を着て泳ぐことは一般的ではない時代でしたが、母の努力もあり、

女王蜂と大学の竜(1960)

女王蜂と大学の竜(1960、新東宝、81分) ●監督:石井輝男 ●出演:三原葉子、吉田輝雄、万里昌代、天知茂、浅見比呂志、沖竜次、水原爆、杉山弘太郎、大友純、近衛敏明、吉田昌代、加藤欣子、扇町京子、菊川大二郎、原聖二、宗方祐二、嵐寛寿郎 石井輝男監督、新東宝時代の一品で、DVD化はされてるようだけど配信はされておらず、もう終わってしまったけどシネヌーヴォの「新東宝映画まつり」で観た。 タイトルだけでは中身がよくわからないが、昔ながらの組の親分の娘(三原葉子)、身寄りのない

【カルト映画】🎥『カジノ・ロワイヤル 日本語吹替版初収録スペシャル・エディション』《幻のテレビ吹替版》3バージョンを発掘&初収録─新装ブルーレイを注文してしまう

こんな“ジェームズ・ボンド映画”ってあり!?  「007」原作の正式な映画化……なのにおバカ・コメディ超大作!! 『007/カジノ・ロワイヤル 日本語吹替版初収録スペシャル・エディション』  吹替3バージョン搭載で2023年12/27(水) よりナイル大商店(nile-store.jp)にて独占販売!!(ネットでは、アマゾン内に店を構えています) ピーター・セラーズ、ウディ・アレン、オーソン・ウェルズほか名優続々登場の伝説的カルト作! ●爆発! アクション! 200

【訃報】「わたし、死んじゃったんですぅ〜」。独自の女性独白文体を生んだ『宇能鴻一郎』さん、逝く。心不全。90歳の大往生。「本当は腹上死がよかったんですぅ〜」と本人は思っていたのかしらん?

橋本治が「桃尻娘」を書くにあたって参考にした、といわれる独自の文体の官能小説を多く残した宇能鴻一郎先生。 私も高校生のとき、読みました。 宇能 鴻一郎(うの・こういちろう)さんは、1934年北海道生まれ。 東京大学国文科卒業後、同大学院に入学。博士課程満期退学。在学中、1962年「鯨神」で第46回芥川賞を受賞。 その後、官能小説の書き手として一時代を築く。  「鯨神」は大映映画で、勝新太郎主演で特撮映画として、公開されています。 「大魔神」をつくった特撮スタッフが、

【映画】相米慎二監督「東京上空いらっしゃいませ」を鑑賞。特撮は、円谷プロ出身のスタッフ。

いやあ、この頃の牧瀬里穂ちゃんは可愛い。 ため息が出るほど可愛い。 なぜ、私と結婚してくれなかったのだろう、などと妄想してしまうぐらい。 どこまでも嘘しかないおとぎ話なのに、それでも観客にこの映画を信じたいと思わせてしまう牧瀬里穂の凄さ。 きっと、相米“こどもいじめ”慎二が、牧瀬里穂をいぢめていぢめていぢめぬいたんだろうな。いまだと、ハラッサーだと非難されるんだけど、相米慎二みたいな厳しい監督がいなくなったから、オモシロイ日本映画がなくなったんよな。 https://w

アナログ派の愉しみ/映画◎ベルイマン監督『野いちご』

過去の女たちが 夢に現れる理由とは このあいだの夢に、もう30年以上前に世を去った母親が出てきてぎょっとした。とくに何か口にするわけでもなく、ただ上目遣いでじっとこちらを見つめていた。また、はるか昔に恋仲だった女性が当時の姿かたちのまま現れて手と手を取りあったこともある。立て続けにそんな夢と出くわしたわたしは、そう言えば似たような情景をイングマール・ベルイマン監督の映画『野いちご』(1957年)で目撃したことを思い出した。   スウェーデンの首都ストックホルムに暮らす78

アナログ派の愉しみ/映画◎熊井 啓 監督『海と毒薬』

いつか罰を受けるやろ え、そやないか? 「ばってん、俺たち、いつか罰を受けるやろ。え、そやないか?」   医学部研究生の勝呂(奥田瑛二)が夜の闇のなかでタバコを吸いながら、そう問いかけると、同僚の戸田(渡辺謙)はせせら笑って答えた。   「罰って世間の罰か? 世間の罰だけやったら何も変わらへんで。俺もお前もこんな時代のこんな医学部におったから捕虜を解剖しただけや。俺たちを罰する連中かて同じ立場に置かれたら、どうなったかわからへんで。世間の罰など、まずまず、そんなもんや」

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997🇺🇸)

原題: GOOD WILL HUNTING(1997、アメリカ、127分) ●脚本:マット・デイモン、ベン・アフレック ●監督:ガス・ヴァン・サント ●出演:マット・デイモン、ロビン・ウィリアムズ、ベン・アフレック、ステラン・スカルスガルド、ミニー・ドライヴァー、ケイシー・アフレック、コール・ハウザー、ジョン・マイトン、スコット・ウィリアム・ウィンタース 単純に、純粋に掛け値なしに良い映画。 メインとなるのはマット・デイモン演じる数学の天才青年ウィルと、彼のカウンセラー役

アナログ派の愉しみ/映画◎トリュフォー監督『アデルの恋の物語』

文豪ユーゴーの 実の娘が辿った恋の道のり 1863年、イギリスの植民地だったカナダの州都ハリファックスの港に、商船からひとりの淑女が降り立った。彼女は英仏海峡に浮かぶガーンジー島で両親と暮らしていたが、そこに駐留した第16英軽騎兵連隊の将校と恋愛関係になり、間もなく連隊がハリファックスへ移動すると、両親の反対を押し切って追いかけてきたのだ。   フランソワ・トリュフォー監督の『アデルの恋の物語』(1975年)はこんなふうにはじまる。主人公の淑女アデル(イザベル・アジャーニ

お花畑 わたしはだぁれ? ここはどこ?

ロンドンに住む高齢の父親とその娘の物語、映画「ファーザー (The Father '20年)」を観ました。 アンソニー・ホプキンスが2度目のアカデミー主演男優賞に輝き、またアカデミー脚色賞も受賞した本作の素晴らしさは私が語るまでもないので、ストーリーのほんの一部を紹介しながら個人的な感想を述べたいと思います。 父親のアンソニーは81歳で認知症を患っており、自分のこともよく分からなくなるほどで、娘のアンの世話になっています。 アンは嫌がる父親を施設に預け、パリで恋人と新生

【バットマン死亡説】99%の人が気づかないダークナイトライジングがバッドエンドである理由【オッペンハイマー】

ノーランの新作が『オッペンハイマー』であることを考慮すれば、『ダークナイトライジング』はただのハッピーエンドではないことが見えてきます。 *本稿はかなりシリアスな解釈をしていますので閲覧にはご注意ください。 #ネタバレ ▼あらすじ(99%の一般論):ベインがゴッサムシティで中性子爆弾を起動します。バットマンはゴードンやキャットウーマンと協力してベインとタリアを倒し、中性子爆弾を入手しますがもう爆発は止められません。起爆装置を単体で解除できるパヴェル博士をベインが殺害して

人食いスライムの恐怖

「人食いスライムの恐怖」は1980年代半ばに制作された15分くらいのSFパニック映画です。言うまでも無く「マックイーンの絶対の危機」(人食いアメーバーの恐怖)にインスパイアされたというかパクったものです。制作したのは当時の大和高校生たちです。友人の伝手でビデオで視聴しましたが、隕石が落ちてくる。高校生が隕石を自宅に持ち帰る。隕石から孵化したスライムがしみ出してくる。持ち帰った高校生が飲み込まれる(サランラップに巻かれて綠の照明を当てられるだけ)。高校生の自宅を飲み込む(ミニチ

アナログ派の愉しみ/映画◎レオ・マッケリー監督『めぐり逢い』

男と女が真実の 愛に出会うためには 若い時分にはぴんとこなかったのに、この歳になって胸を打たれるという映画がある。わたしにとって、レオ・マッケリー監督の『めぐり逢い(An Affair to Remember)』(1957年)もそのひとつだ。   確かに、いま観ても少なからず安直なストーリーだと思う。ヨーロッパからアメリカへ向かう豪華客船で、名うてのプレイボーイの画家ニッキー(ケーリー・グラント)と元クラブ歌手のテリー(デボラ・カー)が出会い、とうに分別をわきまえた年齢で

アナログ派の愉しみ/映画◎工藤栄一 監督『十三人の刺客』

暗殺団の首領は そのとき「地上げ」を命じた 工藤栄一監督の『十三人の刺客』(1963年)は恐ろしいチャンバラ映画だ。それは、13人対53騎という非対称の抗争劇が、黒澤明監督の『七人の侍』(1954年)以上のリアリズムで描かれたことだけが理由ではない。モノクロームの映像内に留まらず、現代の日本社会に生きるわれわれに対しても背後から切っ先を突きつけてくるような、ただならぬ気配を漲らせているからだ。   江戸時代末期の弘化元年(1844年)、ときの将軍・徳川家慶の異母弟にあたる