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【必読】 地域おこし協力隊になる前に知ってほしいこと

2021年11月〜現役の地域おこし協力隊が、協力隊目線でこれから協力隊を目指す方に向けて記事を書きました。。

これから協力隊の制度を活用して地方へ移住される方に向けて、少しでも参考になれば幸いです。

  • 協力隊に向いている人

  • 協力隊にやさしい自治体選びのポイント

  • 協力隊合格後に準備すること

  • 協力隊に着任して最初の1ヶ月で実施すること

  • 成果の出る協力隊としての考え方

大きくこの5つに分けて、お伝えします。

地域おこし協力隊と検索すると「ネガティブ」な情報も相当数出てきます。

個人的な意見ですが、これは仕方ない部分もあります。

協力隊の情報はやっぱり少なすぎます。その為、着任後に後悔したり、他の地域がキラキラ見えてしまいやすいです。


四万十川 中流風景

・協力隊に向いている人

協力隊は自らの力で切り開く(開拓者)スキルが最低限必要です。

基本的に協力隊は役場の担当者が、地方にない情報や知識・経験を都会から持ってきてくれるだろうと「過度な期待」し、協力隊を募集しております。

その為、基本的に仕事は与えられることはなく(もしくはごくわずか)、自ら見つける必要があります。

協力隊が行う主な仕事は、地域のお困りごと解決、商品開発、草刈り、消防団、地域の方と一緒にイベント企画、などなど…

どの自治体や役場・地域でも要望はあっても、具体的な指示は期待してはいけません。

協力隊に応募するからには、最低限受け身や指示待ちではなく、提案ができる人でありましょう。

この期待と現実のギャップが、協力隊はブラックだと言われる原因の一つです。

提案レベルは高くなくて問題はありません。

むしろ、協力隊に期待していることは簡単なことでも、少し地域の方の背中を押してくれる程度で十分です。

じっくり話合い、時間をかけて地域との距離を縮めていきましょう。


おまけで、面接の話です。

私の肌感ですが、協力隊の面接は難しくありません。

転職経験者であれば尚更です。
受け答えがしっかりでき、移住しても地域に馴染める人なら受かります。

さあ、協力隊として「成功の第1歩」を掴み取りましょう。


・協力隊にやさしい自治体見極めポイント

現在、協力隊を応募している自治体は1000以上あります。

つまり日本中、至るところで常に募集しています。

応募者はその中から自分に最適な自治体を選ぶ訳ですが、現実はそれが難しい・・・どこでも同じフレーズ(大自然・美味しい食・温かい人)これは本当に困ったものです。

そこで、協力隊にやさしい自治体選び、つまり協力隊になってから地域に入りやすい「ウエルカム」な雰囲気がある自治体を選ぶ方法を伝授します。

① 役場担当者が話を聞いてくれる

協力隊応募の窓口になってくれる担当者は、移住促進担当です。当たり前ですが自治体としては移住してくれる人を増やしたい、つまりお客様を増やし
たいのです。「移住者=お客様」はやや上からになってしまいますが、移住前で移住先を見極める時は、お客様として正しい目は持った方が良いでしょう。

ただし、実際に移住後に地域に入っていく時は、「移住者=お客様」は完全に捨て切ってください。この地域が大好きで色々学びたい、地域の方から教わりたいオーラを全面に出して、積極的に挨拶からスタートすると距離が徐々に縮まって楽しいです!

また、「移住者=お客様」という立場を考えると、協力隊選びの段階で役場担当者が一方的に話をしてくるのは危険です。

少しでも不安なことがあれば、積極的に質問して、嘘偽りなく対応してくれる担当者(自治体)は良い場合が多いでしょう。


② 協力隊を過去に20名以上受け入れており、その半数が地域に残って定住

協力隊制度が実施されて10年が経過しております。

これまでの自治体実績で20名以上受け入れがあり半数以上が定住してれば、おおよそ協力隊が地域に根付いていることが多いです。

自治体によって人数などを開示しているところもありますし、正直に役場担当者に聞いてみても良いでしょう。

協力隊という制度そのものは、やっぱり数は必要です。私も自治体を選ぶ時に、現在の協力隊数と卒業した協力隊数を調べた上で応募しました。

そして、協力隊になってからミッションが違ったとしても、同じ協力隊が近くにいるのは助かります。困ったことは色々質問できますし、役場の方は協力隊の教育までは基本してくれないので・・・

同じ自治体の協力隊が協力してこそ、地域貢献・活動につながることも多いです。参考までに、私の所属している「高知県四万十町」の協力隊19名です。ちょっと多い気もしますが、地域も広いですしミッションも多彩なので以外にちょうど良い感覚もあります。

協力隊OB・OGの方も近くにいるとさらに助かります。自分の卒業後のイメージが付きやすいです。


③ 協力隊が住める住居が快適

こちらは田舎あるあるです。

空き家はあっても住める家は本当に少ないです。

たとえ住めたとしても簡単に貸してくれません。
その為、協力隊が住める家の選択肢はかなり狭まります。

  • 協力隊を迎え入れたくても貸してくれる家がない

  • 移住者向けの家があっても協力隊は入れない

  • 空き家を改修してくれる人もいない

そんな苦労がある中でも、協力隊が住める家を確保してくる自治体はきっとやさしいです。

余談ですが、
協力隊になってから自ら空き家を改修して引っ越すことも可能です。

地域の方も見知らぬ人に家を貸すくらいなら、協力隊に住んでもらいたいという人も多いです。

例え、自治体が用意してくれる家がイマイチだっとしても、1年くらい住んで引越す選択肢も入れて良いかもしれませんね。


・協力隊合格後に準備すること

見事、協力隊に合格したら移住の準備を始めましょう。
移住前に引越しなどなどありますが、その他に地方移住あるあるをいくつか紹介していきます。

① 公共料金の支払いに苦戦

移住して都会とのギャップに気付かされたことは、お金の支払い方法です。電気はなんとかクレジット引き落としができましたが、水道・水道はゆうちょ・JA・地方銀行が引き落とし口座が対象。四万十町はケーブルテレビでネット契約しておりますので、こちらもクレジット非対応・・・

お金の管理が全く都会と感覚が違いました(笑)なので、移住前に引き落とし口座を確認し、なかれば早めに作っておかないと振り込みの嵐です。さらに、近くにコンビニがない場合は振り込みする場所も苦戦します。なんとか支払いはクレジットもしくは口座引き落としに、振り込み用紙での支払いはゼロにしましょう。気軽に現金での支払い場所は、田舎はないと思っておくのがベストです。

② 車は大人ひとり1台必須

田舎暮らしには車が必須です。しかし、移動手段として車を使用するので高価なものは必要ありません。軽自動車や箱バンと呼ばれる商用車で十分です。私は移住した高知県四万十町でも、すれ違う車の半数が箱バンなので普段の移動には全く問題ないです。

箱バン イメージ

③ 通信キャリアは楽天・ソフトバンクは要注意

電波は日本全国に飛んでいます・・・が地方では通用しません。自宅と屋外(移動中)に分けて話をします。

自宅:新たにネット回線を引く or 既存(光回線・ケーブルテレビ)を活用

古民家だとネット環境はまずありません。

自治体によっては各世帯にケーブルテレビ回線でネット環境が整っているところもあります。

四万十町ではケーブルテレビがありました。

問題の通信速度と月額費用は、30Mbbsで月4000円ほどなので、幾分お安いかな。ですが、夕方になると徐々に遅くなり平日19−21時は1Mbbsくらいです(汗)まあ、その時には仕事をする時間ではなく、ゆっくり夕食を食べたり、お風呂に入ったりする時間に当てれば良しとしましょう。

ネット回線は田舎生活で必須です。

都会感覚で携帯電波と同じ「設置するだけネット」だと、山陰と重なり電波状況が悪い場合があります。

光回線やケーブルテレビであれば、比較的安定した速度が出ます。住む前に必ず確認しましょう。

新たに回線を引く場合は、近くの電柱に線が届いているか、届いていないかで費用が大きく変わります。

新たに回線を引く時も賃貸であれば大家さんに確認しましょう。費用を負担してくれる場合が多いです。

自宅用Wi-FiはAmazonで1万円から購入できます。これはご自身で用意するのがベストです。ネット回線業者レンタルは高くつきます。性能は住む家に合わせて調べてみましょう。

私が現在使用している機種はこちらです。平屋の4LDKなので実際は1台で十分でした。はなれで作業する時を想定して念の為、2台持ちです。 

屋外:楽天・ソフトバンクは山の中で圏外!?

移住するとこれまで電波の心配はしませんでしたが、本当に圏外になる機会が増えました・・・

山奥のキャンプ場や小学校跡地・、四万十川中洲のキャンプ場。人があまり住んでいない地域は特に「楽天・ソフトバンク」はつながりません。体感では、集落に人が住んでいれば「ドコモ・au」であればつながります。ただし、道中は圏外なことが多いです。

その為、大手キャリアと契約する必要はありませんが、格安SIMを使用する場合、接続通信キャリアは「ドコモ・au」にしましょう。安心度が全く違います。

話はそれますが、私はネット社会になっていなかったら移住をしていません。別にいつもネットを使用して仕事をしている訳でもないですが、これは本当に強く感じます。

ネットがあるから都会と変わらぬ暮らしができる時代になりました。都会と田舎では情報格差があるという意見は否定しません。が、情報は21世紀は溢れすぎてます。都会にいることで情報シャワーを浴びすぎ、もしくは何も感じていないパターンは点在します。

正しく取捨選択ができれば、別に都会にいる必要はありません。人と人との繋がりを大切にしながら、必要な情報を取捨選択できるスキルを田舎では身につけられます。特にこれから育つ子供達には、このスキルを身につけてほしいです。


・協力隊に着任して最初の1ヶ月で実施すること

移住が完了し、協力隊として無事に着任したらホッとするのも束の間。初日から様々な方を紹介頂けます。が、ほとんど覚えられません。なので、これは無理せず割り切って良いと考えております。

もちろん一般的な名刺交換はします。名刺管理アプリに登録もします。

ここでポイントは、協力隊と企業へ就職の大きな違いは、仕事ではなく地域に溶け込むことの方が重要だということです。

ある程度直感を信じて「一緒に仕事をしてみたいな〜」「この人面白そうだな〜」という感じで接してみてることをおすすめします。

要するにガツガツいかなくて平気だということです。

じっくりと気長にいきましょう。

これを繰り返していくと、自然な流れで点が結びついていきます。気づいたら地域に溶け込んでいけるでしょう。

田舎には季節の行事がどこでもあります。

基本的には年間サイクルで動いているので、ざっくりと1年間地域と関わることで感覚は掴めます。

外に出歩き話を聞くことに徹し、わからないことはどんどん質問していれば、地域の方には自然に好かれていくでしょう。

最後に、野菜など「おすそわけ」で食料をいただいたら、次に会った時には必ずお礼の言葉を忘れずにしましょう。

決して全て物でお返しする必要はありません。

  • 「この間の”みかん”とっても甘くておいしかったですー」

  • 「”さつまいも”を子供と一緒に焼き芋しましたー」

  • 「あゆを人生はじめて塩焼きにして食べましたー」

大げさなくらいがちょうどいいです。忘れずに感想を伝えましょう。

田舎コミュニケーションは決して難しくありません。

最悪、建物の中にいないで外を散歩するだけでも、コミュニケーションが取れます。

協力隊として最初の1ヶ月はデスクではなく、どんどん外に出歩きましょう!

・成果の出る協力隊としての考え方

いよいよ最後の章になりました。成果の出る協力隊の考え方を紹介します。

ご承知ですが、協力隊の任期は3年です。つまり3年の間で成果を出し、4年目には起業もしくは就職という流れになります。

卒業を見据えて1年目から、何をすれば良いかを紹介します。

もちろん起業・就職以外の選択肢でも構いません。

成果の出る協力隊は「地域の強み×自分の得意」を組み合わせ、上手にブランディングできれば上出来です。

ポイントを3つにまとめました。

① 起業を考えているなら、協力隊着任後6ヶ月で小さく起業すべし

協力隊として着任し、卒業後に起業を少しでも考えている、もしくは起業に興味がある方は協力隊の任期内に事業を立ち上げましょう。

リアル店舗、ECサイト、イベント出店なんでもOKです。

とりあえず事業を回すことが重要です。

よく「PDCA」で表現されますが、プランばかりしていても成功しません。

実行を繰返すことで成功します。

協力隊として田舎で起業のメリットは、失敗してもダメージが少ないことです。

さらに、協力隊として活動範囲内で事業を立ち上げれば、費用は自分持ち出してはありません。

本当なら起業資金を銀行や親・友人にお願いするところを、協力隊なら年間100万円ほど自由に使えます。

使えますと言いましたが、自治体によってルールが違います。
さらに、協力隊としての活動範囲に限られます。ここは注意してください。

協力隊の任期中に事業をどれだけチャレンジできたか、成功できるイメージは立てられたかが重要です。

なので、起業は協力隊に着任して6ヶ月以内がベストです。

ちなみに私は、協力隊着任して8ヶ月目で「月商80万のリアル店舗」を運営しております。

事業は本当になんでもよいでしょう。

自分で作ったドリンク1種類でも良いです。
地域イベント(マルシェ・お祭り)に協力隊として出店しましょう。

協力隊資金で出店したら、売上は自分の懐に入れてはいけませんが…

協力隊の名前だけ看板に掲げて、自分で原材料・出店料を負担すれば、売上は全て自分のものです。

地域によって温度差はありますが、協力隊という看板は3年間フル活用できます。

少なくとも役場が認めた人材であるということは地域の方も知っております。

協力隊という看板を前面に出して商売ができるうちにドンドン商売して、自分の名前と顔を覚えてもらいましょう。

② 事業承継も独立の選択肢に入れるべし

田舎には瀕死の中小企業、個人事業主はいっぱいおります。

瀕死は言い過ぎですが・・・本当に自分の世代で終わらせたくないけど、自分の子供は継がないので、仕方なく廃業を検討している方は必ずおります。

また、財務三表が揃っていない企業、税理士さん任せの企業などなど問題がありながら事業を継続している企業も必ずあります。

ここにチャンスが眠っております。このチャンスを活かしましょう。

私の住んでいる高知県には「事業継承・引継ぎ支援センター」というところがあります。

県が事業継承をサポートしてくれます。このような場所は全国各地にありますので、ぜひ活用しましょう。

事業継承のメリットはなんと言っても「0→1」ではないところです。

0からスタートすることは当然ながらリスクが伴います。事業継承ならば利益は少ないか、問題を抱えている場合はありますが、すでに事業は立ち上がっているので難易度はグッと下がります。

顧客、取引先、従業員、金融機関・・・事業があるということは様々な関係が構築されております。この関係性を保ち見直すことで、新たな事業を展開していく。これが事業継承の最大のメリットです。

個人的には大手企業に務め課長クラスの経験がある方は、起業より事業継承をおすすめします。なぜなら課長クラスのマネジメント経験があれば、様々な問題解決手法をすでに持っているからです。

しかし、残念ながら地方の中小企業の社長さんは、マネジメント経験を持っている方は本当に少ないです。仮に持っている方であれば、事業が上手く回っております。これは私が住んでいる四万十町でも当てはまっております。

時代は良くなり事業継承という言葉には、ネガティブ要素が少なくなりました。事業を引継ぐ形で地域に貢献し、ゆくゆくは自分のやりたい事業を展開していく形も、協力隊として成功する方法の一つでしょう。

③ 地域に就職 もちろんOK

田舎でも「介護・看護・建設」の仕事は必ずあります。

さらに、アルバイトよければ「コンビニ・ホームセンター・ドラックストア・スーパー」など働く場所はいくらでもあります。

独り身であれば、野菜など自分で食べる分は自分の畑で作る。

その他、不足する分のみ稼げば月10万円程度で十分でしょう。

協力隊のうちに古民家を改築することも十分にありです。

地域の方と仲良くなると空き家を紹介してくれるようになります。

古民家を改修し自分で住んだり人に貸すことも立派な事業です。

就職したとしても、複業がいくらでもある田舎生活はやっぱり楽しいですね。

さらに、就職のメリットは社会保険です。

個人事業主になると保険料は全額自己負担ですが、社会保険であれば半分は会社持ち…

テクニックの一つですが、本業の年収を200万にコントロールしながら、復業を400万稼ぐことで保険料を低く抑えることも可能です。

週4日勤務で社会保険入れる就職先を探し、田舎生活を楽しむ。このような形でも十分に協力隊卒業後、成功と言えるでしょう。

番外編 最悪、地域に住まなくてもOK

最近は「関係人口」という言葉も出てきました。

例え、協力隊として活動していた地域に住まなくても、引越しした先で地域と関わりが続いていれば良しという考えです。

地域のものを買ってくれたり、友人・知人に紹介してくれるだけでも十分に価値があります。

定住することだけが、地域貢献ではないということです。

もちろん定住してくれる方が良いですが、今では町長など自治体のトップの方の考えも変わってきております。

人口減少はどうやっても歯止めはかからないので、住む場所を変えても地域に想いを寄せてくれたら良し。この考えが浸透してきつつあるので、協力隊として着任した地域に一生定住する必要は決してありません。


いかがだったでしょか。ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。

地域おこし協力隊という制度はスタートして10年。

今では様々な成功事例も出ており、国としてもより多くの人材を地方へ届けようとしております。

地方移住を検討されている場合、協力隊制度は非常に有効です。

制度を活用し上手に地域に馴染めば、本当に暮らしやすい世界が待っております。

田舎暮らしのお手伝いが少しでもできるよう、引続きどうぞよろしくお願いします。


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