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『ユリゴコロ』沼田まほかる
普段はこういう本は読まない、というか、沼田まほかるさんの本はデビュー作を読んで以来、避けていた。
いわゆる「イヤミス」というジャンルは苦手。どうしてわざわざ嫌な気持ちになるために本をよまなきゃいけないのか。ではなぜこの小説を手に取ったかというと、テレビで芸能人がおすすめしていて気になったのと、あとはやっぱり、自分が今通常モードではない証なのかなあ。
ウイルスの件と自粛生活、時間のある生活は心身に影響があったし、いまも影響を受けているんだと思う。読書は、読む本を選ぶところから始まっている。その時に気になる本、手に取る本は、読むべき本。というわけで気になったので読んでしまった。
読み始めたら、途中でやめられない…。
怖くてグロい。こんなの途中でやめて眠れない。
というわけで一気に読みました。
読んでみての感想は、読後感は意外に悪くなったです。読んでいる間は怖かったけど。構成が上手で、先へ先へ、読まざるを得ないようになっている。誰にもいまいち共感できないけど、共感できないから読めたのかも。怖くて気持ち悪い描写のイメージが心の中に残ってしまって、それは消したい。でもいずれ忘れるだろうから、まあいい。こんなストーリー考えるのはいったいどんな作者なんだろう、ていうのが一番気になった。『彼女がその名を知らない鳥たち』も読んでみようかなあ。でも、もうちょっと時間あけてからにしよう…。
小説はおもしろい。心動かされたり、言葉をもらえるから楽しい。
そういう意味では、『ユリゴコロ』には心を動かされたというか、揺さぶられた。こういう感じもいまのわたしにはもしかしたら必要だったかもしれなくて、だから読んだのはよかったと思った。少なくとも最後まで夢中になって読めたしね。
『ユリゴコロ』はそれほど、イヤミス、でもなかった。怖さはあるけど、嫌な気分は残らない。わたしの現実から遠すぎるからかもしれない。映画化されているみたいだけど、それはちょっと観られないかもしれない…。怖いのが苦手なので。ストーリー自体はおもしろかった。怖いのとかグロいのは、文字だけでいい…映像は要らない…。
デビュー作を読んでから沼田まほかるさんの本は避けていたのだけど、その内容については詳しくは覚えていない。ただなんとなく重苦しい気持ちになったことだけ覚えている。『ユリゴコロ』についてもいつか忘れるのかな。忘れるような気がする。おそらく繰り返し読むことはないだろうし。読んでる間は夢中になれたけど、きっとわたしの中には留まらない。そんな小説だった。
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