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大手物流企業で働いた話①


私はここ数ヶ月間、大手物流企業の仕分け作業の仕事をしていた。会社員を辞めるまで自分がやるとは思ってもみなかった仕事だ。

社会を支える物流の裏側や、そこで働く人にも関心はあったが、お金があればやろうと思わなかっただろう。


SNSのようなシステムで企業と求職者をつなげるマッチングサイトを利用した就活が不調に終わったとき、生活資金が足りないことに気がついた。いや、やっとそこに目を向けた。

時間の融通がきき、給料の支払いが早い仕事を探すと、大手物流企業の仕分け作業の仕事がHITした。


駅近く、薄暗いビルの4階だったか。派遣会社の一部屋しかないオフィスで簡単な面接をした。

担当者は、私が応募した仕事は募集が少なく紹介できないといい、代わりに大手物流企業の仕分け作業の仕事を紹介した。

表面上の条件は同等だったので、私はその提案を受けた。
後から考えると、物流の仕事が募集の本命だったのだと思う。


職場には自転車で30分弱かかる。
電車で最寄駅まで行けば送迎バスがあるが、家から職場までの距離1kmあたり10円の交通費では電車代をペイできない。

職場につき待合室に入ると、椅子が並び仕事前の作業員たちが思い思いに過ごしていた。派遣会社の担当者にヘルメットや安全靴の説明を聞き、始業時間前に作業場に向かった。

5社ほどの派遣会社の社員たち40人ほどがそこに集まっていた。職長が指示を出し、会社ごとに整列させられる。

先日の成績と今日の作業内容、作業の注意事項についての説明があり、派遣会社ごとに持ち場を指定される。
作業員たちはそれぞれの持ち場へ向かい、初心者は残され、作業の説明を受けた。




私たちの仕事は「仕分け」といい、それは担当域内各所から運ばれてくる荷物を送り先別に積み直す仕事だ。
ベルトコンベアの上流は到着した荷物が集まり、中流から下流には木の枝のように、配送地域ごとに分岐がある。
分岐の先には数カ所の送り先が割り当てられた台車があり、当てはまる荷物はそこに積み込まれる。

仕分けの仕事は、自分の担当する分岐に流れてきた荷物を引き込む仕事と、台車に積み込む仕事がある。

私の最初の仕事は積み込みだった。

(続く)


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