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インタビューする人が「聞く」ことについて考える (2020/03/31)


話を聞くこと。それは苦労せずにできる人もいたりトラウマになるほど苦手な人がいるにせよ、多数の人にとって日常的に割と無意識に行われている行為だ。そして日常的なものでもありながら、カウンセラーやインタビュアーなどプロフェッショナルの領域も存在する。私にはそんな聞くことの奥深さと汎用性を興味深く感じているし、その難しさに苦労させられた一人でもある。

私は人のいろんな面に興味があって、記事にしないインタビュー活動をしている。ここではただ書きたいことを書く。



聞く時に行われる作業と聞き方の癖


話を聞く時に自分の中ではどんな作業をしているだろうか。大まかな段階に分けてみる。


相手が言葉や文章を口にする。

①音声情報を知覚する。
② a.意味を状況に合わせて解釈する。b.心で解釈や状況を味わう。c.直感したことを言語化する。d.解釈した情報を加工して自分の意見を作る。e.どう対応するかを判断する。

反応・対応を決断する

反応・対応する。


数字がふってある部分が話を聞く作業だ。二段階にしか分けられていないが、②の解釈の部分は複雑だ。a~eの作業はそれぞれ干渉し合いながら行われる。②の作業を簡単に分類すると、「認識」「反応」「思考」となる。これらの作業のどこかに偏りが大きい人は、それが性格と呼ばれるほどの特徴になるだろう。


例えばbの作業を優先する癖があり、論理的な検証が疎かになっている人は感情を重視する人だ。反対にbを全く経ずにdとeに集中する人もいるだろう。そんな人は論理的な人と評されるかもしれない。


勘違いがもっと少ない世界が良い


②の中で私が重視しているのはa〜eの各作業の妥当性を検証することだ。それは勘違いや思い込みをしないようにするためだ。私はこれからずっと、世界から「勘違い」と「思い込み」をなくすために活動して行きたいと考えている。その問題の大きさを身近に感じているからだ。それは自分自身がそれらの被害者であり加害者であり、それを克服してきたことが大きい。


勘違いや思い込みを放置していて良いことは、それが楽だったりその思い込みが自分のありたい姿や心の弱い部分が守られたりすることだ。そうせざるを得ない状況の人も多いと思う。だから人に思い込みをなくす努力をするようにとは望まない。けれど自分が100%自信がある解釈でも10%くらいは間違いの可能性があると思うくらいはすべての人がやっていて良いんじゃないか。


「この人は自分を馬鹿にした」とか「この人は戦争が好きだ」とか「彼女は私のことを嫌っている」というような解釈で気分を害して、もっと大事なやりとりができないのはもったいないことだ。


勘違いしない聞き方


ほぼ確実に勘違いしない聞き方がある。これは以前のnoteでも紹介した方法で、相手の内面を旅するような聞き方だ。それは上で紹介した聞く作業のbのみを行う方法で、ひたすら聞き、感じ、感じたことを適度に表現する。全く解釈しないので勘違いがなく、感じたことを伝えるだけなので決めつけることもない。


この方法と論理的な聞き方を、相手の発言に合わせて切り替えて使うことができるととても便利だ。これをやるようになって相手の話を歪めて解釈することが減った(と思う)。少なくとも楽に聞けるようになった。


私はできる限りたくさんの人が歪みなく話を聞けるようになって欲しい。そのためには歪みなく話を聞いてもらう経験がいい助けになるだろう。友達でもプロでも、できそうな人に聞いてもらってそのやり方を学べばいいし、私にできることがあれば連絡してくれてもいい。


でも勘違いしてもいい


今まで勘違いがなくなれば良いようなことを言っていたが、まだ言っていないことがあった。それは私は勘違いを失敗や間違いだと思っていないことだ。心が邪魔したり、苦手なことがあったりして解釈が間違うことがあるのは当然のことで非難されることではない。ただ、それを指摘されたら考え直してみたり、結論を保留にしてみたり、こっそり意見を変えてみたりすることをみんながして欲しいと考えている。


話せば分かってくれるという信頼がないと、その相手と気持ちよく付き合えないじゃないか。私は周りの人ができるだけ気持ちよく生きていて欲しいんだ。




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