2017/10/22『リチャード三世』@東京芸術劇場【400字演劇レビュー】
こんにちは、演劇ソムリエのいとうゆうかです。
2017年、私が大学2年のとき、「現代日本における公共劇場の役割」というテーマで観劇をしていました。
というのも、大学で観劇助成金をもらうため。観劇助成金をもらえる対象者に選ばれたら、1本400字程度のレポートを提出する必要があった。
その一連の観劇レポートのひとつに、2017年10月22日東京芸術劇場にて上演された、シルヴィウ・プルカレーテ演出、佐々木蔵之介主演『リチャード三世』で書いた評があったので、蔵出ししますね。
なぜ今なのかというと、シビウ国際演劇祭2020のラインナップにこの作品が入っているからです。今年のシビウ国際演劇祭はオンライン開催となり、6月12日から21日まで毎日12時間ウェブ上で映像が配信されていました。
そして、『リチャード三世』の配信は18日の2:00と14:00に行われて、また観た人が増えたかなと思ったのでこのタイミングで出すことにしました。
以下、「公共劇場の役割」というテーマに(ちょっと強引に)絡めて400字にまとめた観劇レポートです。
こんな『リチャード三世』を誰が想像しただろうか。
ルーマニアから招聘された鬼才、プルカレーテの演出は、斬新でありながら、ただ奇をてらっただけでは決してなく、凄まじい衝撃と新しい表現の可能性を東京という地にもたらした。
また、イギリス人であるシェイクスピアの戯曲を、日本で、日本語を用い、日本人の俳優が、ルーマニア人の演出によって上演するという、何とも混沌とした、しかしこれからの日本に必要な国際観を突きつけるような試みであった。
そして、その演出に堪え得る実力を持った俳優陣にも賞賛を送りたい。鑑賞前は、佐々木蔵之介が不具で醜いと称されるリチャードに見えるのか気にかかっていたが、それは全くの杞憂であった。
極悪非道でありながら、脆く人間味のあるリチャード。彼が野心に突き動かされやがて破滅していく様を、佐々木は確かな演技力と妖艶さで人間の愚かさと美しさを炙り出すように演じていたように思えた。
高いレベルの文化経験を上演し、多くの人々に感動を与えることや、国際交流の機会の提供といった、公共劇場における重要な役割の数々を果たす、極めて意義深い公演であった。
DVD化熱烈希望!もっとたくさんの人に観てほしい、衝撃的な作品です。
近日中に詳細なレポートを投稿する予定…!本当に素晴らしかったこの公演についてもっと語ります。それでは今回はここまで!
【2020.07.07追記】
ここだけは言いたい…!という3つのポイントを中心に、この作品の魅力についてもっと踏み込んで書いた記事がやっとできました。
こちらも併せてどうぞ!
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