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公務員を辞め、勉強カフェを札幌ではじめたわけ(③教育委員会時代〜退職・起業へ)

指導主事としての仕事に、教員1年目の先生の授業を参観し、それに対して指導をする「初任者指導」というものがあります。また、学校経営が計画通り進んでいるのかを確認するための学校訪問&校長・教頭へのヒアリングなどもします。学校を訪問した際、基本的に授業を参観することが多いのですが、自分が教員時代に知っていた先生などもいて、その人の授業を異なる立場から見るわけです。そこで感じたことは

教員自身が勉強していないのではないか・・・

国がこれからこういうことを大事にしていきましょう、と発信したことや、研究者がインターネットや本などで発信している情報を知らないことが多いのです。日々の業務の忙しさもあり、情報収集をする余裕がないのかもしれません。しかし、授業を通して子どもたちに指導をするという行為は、教員の最も核心的な部分なのに・・・という気持ちもありました。教員対象の研修などでは、国や研究者の最新情報を伝えたりもするのですが、「そんなん実際には無理や」という反発も多く、苦労することがよくありました。

大人は日々子どもたちに「しっかり勉強しなさい」と言います。「どうして?」と聞かれると「大人になった時に必要な〜」云々と説明し、子どもを勉強に向かわせます。でも大人は・・・?  国が行った調査によると、日本人就業者が自己研鑽等のために費やす時間は1日平均6分だそうです。これは先進国の中でもほぼ最下位レベルです。もちろん仕事をする中で学ぶことがあり、そのことを通じて成長していくことはあります。しかし、それとは別に、自己投資としての勉強時間をどれくらい確保しているかということです。でも一人一人話を聞くと、「もっと○○をしたい」とか「時間があれば○○したいなあ」と言います。誰もが、成長という変化を望んでいるはず。何歳になっても。勉強とは本来、自分自身の成長を実感できるとても楽しいものだと思っています。でも、あまりにも強制的にさせられてきたことが多いから、勉強に対して肯定的に、また気軽に取り組めないのではないか、それを変えたいと思うようになっていきました。

勉強とは成長という変化のために行う全ての行為

成長という変化を実感するのはとても楽しい。勉強が生活の中に普通に、そして何の負担感もなく、当たり前に存在していて、毎日成長を実感して楽しく生きることができる。こうなったら本当に最高だよな・・・と思うようになりました。僕自身それを楽しいと感じていたし、だから勉強のために大人が思う存分過ごせる場所があったらいいのに・・・と考えていました。これまで、役者や英語の指導に没頭してきましたが、その時は四六時中そのことを考えていたように思います。それこそ夢で授業をしたことなど数えきれません。よく海外勤務をするビジネスマンが寝言で英語を喋るとかいう話がありますが、僕の場合、夢で英語の授業をしていたので寝言で教科書を音読してたりしました(笑)。自分でもびっくりしましたが・・・。そして平日と休日はオン・オフではなく、ハイ(高)かロー(低)だけであって、仕事のことが常に頭にありました。これは授業に使えるな、これは生徒が興味を引く題材だな、とか。でもそれが楽しかったのです。こんなふうに、自分が本当に心から没頭して、好きで続けられることをまたやりたい、そう思った時、大人のための勉強場所を作る、という考えとつながったのです。

勉強カフェとの出会い〜退職

大人が落ち着いて思う存分勉強できる場所・・・既に誰かが作っていないんだろうか、と思って調べたところ、まさにイメージ通りの場所が存在していました。それが勉強カフェです。大阪に店舗があったので、すぐに連絡をとり、オーナーの方に会いにいきました。すると、東京で勉強カフェの創業者がいるので、話してみませんかとご提案をいただいたので、連絡をとり、創業者である山村宙史さんと東京でお会いしました。いろいろと話をする中で、ぜひ自分も勉強カフェをやりたい!と強く思うようになりました。でも大阪にはすでに複数店舗がある、どこで・・・?実は北海道にはまだ勉強カフェがない。特に札幌は人口が200万人近くいる大都市なのに、そういう環境がまだ整備されていない。北海道・・・。大学で大阪に来て以来20年以上眠っていた道産子魂に火がついた瞬間でした。よし、地元北海道でチャレンジしよう!と決心しました。勉強という最高に楽しい行為が日常に普通にある生活を提案したい!勉強って、もっと自然に私たちの生活に溶け込んでいていいはず、そして小さくても成長という変化を実感できた時の楽しさは何ものにもかえがたい、それを自分なりに伝えたい!妻に起業のことを伝えると最初は驚きましたが、最終的には「あなたがやりがいをもって生き生きと働いてくれることが一番」と言ってくれました。誰よりも安定を求める性格の妻がこう言ってくれたことが本当に大きかった。このままいけば、公務員として何の不安もなく、経済的にもある程度恵まれたままで生きていけるのに、それを辞めて起業するという選択を応援してくれたことが、本当に大きかったと思います。

勉強はエンターテイメントだ

勉強って本来楽しい。生活の中に普通に存在し、人生を楽しくさせてくれる最高のツールの一つであり、この時代にぴったりのエンターテイメントだと思っています。勉強を通して毎日を楽しく過ごせる人を一人でも増やしたい。同時に、日々の仕事を抱えながらも、目標のため頑張っている人たちの応援をしたい。自分もずっとそうでしたから。仕事を抱えながら勉強をすることは本当に大変でしたが、それがストレス解消になっていた部分もありました。勉強カフェでは会員様同士、または会員様とスタッフとのコミュニケーションが発生する場所ですが、無理に人と繋がらなければならないわけではありません。自分一人でじっくりと勉強したいという方も大勢いらっしゃいます。しかし、勉強カフェに行けば、頑張っている人たちがいる、そんな空間ってとても素敵だと思うし、自分も頑張ろうと思わせてくれます。そうやって互いに高め合い、成長し、そしてほっと一息つける、そんな学びの文化の発信源となれば本当に最高です。勉強カフェ札幌大通スタジオを、私自身やスタッフ、そして会員様と一緒に成長させていきたい、これもまた最高のエンターテイメントです。




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