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コーチと選手2足のわらじ

高校3年の夏、九州大会。
表彰式前に並んで待っていた時だった。
「君、高校3年生⁇」
突然話しかけられてびっくりしたが、一瞬で
あっ、この人強いってわかった。
短髪で金髪、道着もキマっている。
オーラが違った。
やはり私の勘は当たっていた。
この人はその年、全国3位になる。
「君、けっこう強いね。試合観てたよ。高校3年なら進路もう決まってる?」
「いえ、実はまだ決まってないです。」
私は当時、テコンドーで日本一強いと言われていた東京のとある大学に進学を希望していた。だが、親からは学費も出せないし仕送りもできない。無理だから諦めなさい。そう言われて断念し、進路どうしようか迷っていた時期だった。しかも、親は進路相談の時にあなたは高校卒業したら働いてくれると思ってたとか言ってた。あなたは3人兄妹の長男。下の子がいるし、お金がかかるから公立高校じゃないとダメ。そう言われて、家から近い(自転車で約10分)公立高校に推薦で入学した。定期代もかからない、帰宅部。そこまでしてて、なんで文句言われないといけないのか。
子供の人生を何だと思ってるのかと。ちょうど反抗期も重なってたのもあり、親とかなり喧嘩した記憶がある。ちなみに、そのテコンドー部の主将が2代続けて、自分が通っていた道場の先輩だった。その先輩はともに個人で日本一になっている。 

進路が決まってないことを告げると、
「え、マジ!じゃあうち来なよ!
サークルだけど、結構楽しいからうちの大学受かったらおいで!」とそんな感じで軽く誘ってくれた。
だが、偏差値的にその大学に受かるかどうかは実に微妙なラインだった。
結局、推薦入試を受けて合格し、サークルに入ることになった。
大学生になってからは道場とサークルを掛け持ちして競技活動を続けていく。

入学後、私はサークルに入ることが決定していたので勧誘期間から練習に参加していた。

しかし、いきなり問題が発生する。
先輩と合流し、練習場所に行くと誰もいない…ま、あとからぞろぞろ来るやろ。
そう思い、ストレッチしたりして待っていたが、時間が経てども経てども全然来ない。

結局、その日練習に来た人は私と先輩を除いて、2人だけだった。

実はさ…うちのサークル、経験者少ないし、幽霊部員多いんだよね😅
もし、練習来たりしたらテコンドー教えてあげて!

⁈⁈⁈

普通、逆じゃね⁈
まあ、指導者の資格持ってるしいいけど…

そうして、プレイングマネージャーになった私はコーチと選手の2足のわらじを履いて学生生活が始まった。

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