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魔女の涙活レシピ

「何してるの?」
「誕生日だからケーキ作ってる!」
 ホットケーキ。
 私は思わず笑った。
「くみちゃん、やっぱ笑ったらかわいい! すぐできるから、ちょっと待ってて!」
 ソファに行くように促されたが、私は隣でふつふつと穴が開く生地の表面を眺めた。人和(とわ)はためらわず一気に裏返す。ふっくら膨らんだのを確認すると嬉しそうに、チョコレートソースで〝ハピバ〟と書いた。
「ココアでいい?」
 そう言いながら片手鍋にココアパウダーを入れ、火にかけると泡立て器でかき混ぜ始めた。部屋中が甘い香りに包まれる。少しずつ牛乳を足しながら混ぜ続けていた。
「カフェやってるの?」
 手際の良さに感心した。
「やろっかな~って、検討中」
 人和は注意深くかき混ぜながら、時々コンロから鍋を離した。私が覗き混むと次第に細かい泡が出てきた。火を止めるとマグカップにココアを注ぐ。最後に蜂蜜を加えた。
「はい! できあがり!」
 一口で優しい味が広がった。


「くみちゃん、ぎゅーってしよっか?」

 私は顔を上げた。

「おいで」

 人和は笑顔で手を広げていた。

「なんで・・・・・・」

「ココアだけじゃ物足りないって顔してるから」
 


 人生初の作品【魔女の涙活レシピ】
 全文公開しています。
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