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市内RPG 62 副賞は退魔の剣

小原合戦武道大会の開会式。

紺のスーツ、七三分けの男の人が会を進める。
「それでは、加治山沙織市長からのご挨拶です。」

うすいピンクのジャケットにパンツ。メガネのフレームもピンク。そしてピンクの口紅。
そのピンクまみれの女の人は、マイクの前に立った。

「ご紹介に預かりました加治山にございます。小原武道大会の開会にあたり、一言ごあいさつ申し上げます。ここに集まりし勇者諸君、魔王の力は絶大です。ぜひとも、仲間と力を合わせ、力と技を磨き、子郡市の安全と平和のため、力を尽くしていただきたい。この大会の副賞は、退魔の剣です。きっとお役に立つことでしょう。それでは、健闘を祈ります。」

最後は深々とお辞儀をした。そして、足早に去って行った。

「市長は公務がございますので、これで失礼します。」
司会の男の人が言った時には、もう加治山市長はいなくなっていた。

それから、諸注意などの説明があった。

それよりも、みんなが気にしていること、、、、退魔の剣。

司会の後ろの本部席に、退魔の剣が包まれているらしい袋が見える。刀掛けに大切に飾られている。
紫の袋には金の刺繡が施されている。模様ははっきりしないが、とても高価そうな袋だ。

退魔の剣とは、一体どんな剣なのだろう。みんなが注目しているのが、わかる。みんな、ねらっているんだろうな。

「それでは、1回戦を始めます。」
司会の七三分けの男の人が力強く言った。

「ワイワイホークス対馬場―ズ。両チーム、闘技場へ。」
少し、間を空けて、さらに力強く言った。

会場に緊張感が走る。

ぼくらの出番がやって来たのだ。

「さあ、行こうか。」
戦士ヤスが魔法使いヒラの背中をどんとたたいて言った。
「おおおおう。」
ヒラは、少しむせながら言った。
「ぎったぎたにしてやる、、、わ。」
僧侶のカナも屈伸しながら、つぶやいた。
みんな、闘志がみなぎっている。

闘技場とは、どうやら体育館のバスケットコートのことを指しているらしい。

ぼくらは、コート、いや、闘技場のの中に入った。

(続く)


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