「失われた時を求めて」読み終えた総括&読もうか迷う人へのアドバイス
一大長編を読み終えて、今とてもすがすがしい✨
岩波文庫チャレンジとして、作品ごと、本作は2冊ごとにアウトプットしているのだが、各回がそれなりに長いにも関わらず、残したい事が収まりきらないので、ここに総括を設けた。
YouTubeで紹介されていた“アルゴリズムが弾き出した世界名作ランキング“で1位を獲得していたのが、本作を読もうと思ったきっかけ。
古典や名著に触れてこなかった人生を反省して、現在の岩波文庫100冊チャレンジを開始したわけで、どうせならランキング1位を読んでおきたかった。(ランキングは末尾)
読み終えて
読破したのは岩波文庫版。完訳まで10年、2019年に最終巻が出たばかりとまだ新しい。翻訳と思えない読みやすさと普段全く気にしていない校訂までもが凄いと思えた力作。
長い!7974ページはものすごく長い。
ただし
これだけの長さだからこそ、
タイトルが回収された時の心地良さ、カタルシスが半端ない✨
新しい考え方、これまでになかった視点を提供してくれる本が良い本だとすると、間違いなく良書。
読み終えたばかりなので、なおさら「無意識的記憶現象」、匂いや感触がとある記憶を呼び覚ます現象に出くわすと、違う作品でもついついプルーストが出てくる症候群に見舞われてます(マルハナバチからもプルーストがw)。
とはいえ、正直13巻までは総合評価★4かなと思っていた。所々に凄い!良い!と思える場面はあっても、よく分からないだけでひたすら長いと感じる場面もあったから。
が、
13巻で全てが繋がった時、ただ長いと思われた場面にも物語に繋がる意味があったと分かる。★5以外あり得ない(個人の感想です)。
全てが一つに収斂されたうわぁぁ!となる感動もあるが、本書の特徴の一つ、後々説明されるため、最初はよく分からないと思っていた事が、最後によく分かる気持ちよさもある。
「コンブレーの教会は、時間を含む4次元の空間を占めていた」、最初何の事か分からなかったのだが、「無意識的記憶現象」と繋がると、時間と空間(場所)、過去の出来事が違う場所で再現される事だと分かる。
タイトルが美しいと思う小説に「月と6ペンス」があるのだが「失われた時を求めて」もこの部類に入れておく。物語を表す感動的なタイトル✨
少し余談になるが、文章が美しいと思った作家に、三島由紀夫とかワイルドとか(プルーストも)がいるのだが、この作家にはとある共通点が・・普通とは違う人には普通の人にはない感性があるのかな?(普通とは何か、は主題でない)
★読もうかどうか迷う人へのアドバイス★
長い物語に手をつけようか迷っている人へのアドバイスは一つ。
1巻にプルーストの代名詞と言われる紅茶とマドレーヌの挿話(P111〜117)がある。ここに感動したなら、是非続きを読んでほしい。そして13巻までは頑張って読み続けて欲しいと思う。
マドレーヌにピンとこないなら、おそらく時間の無駄になろうと思うので、読まないことをお勧めする。
かくいう自分も、最後まで読んでまたマドレーヌが読みたいと思った。なぜなら本小説は円環小説でもあるから。(チャレンジ49&50冊参照)
もしくはこちら「プルーストセレクション」で味見をされても良いかもしれない。(途中まで無料)
再読シーン(読了した方向け)
本文でも何度か言及され、また読んでみたくなる箇所:岩波版
・紅茶とマドレーヌ(①,p111〜)・・やっぱりココが好き
・サンザシの香り(①p303〜)
・鐘塔(①,p384〜)
・バルベックの街道の木(④,p177〜)・・読み返すとココも良い
噴水の描写も割と好きなのだけど、メモできたのが今の所これくらい。
引用作品
最後に、本作が名作と言われる理由の一つに膨大な引用もあると思っている。全て網羅できていないかもしれないが、あまりにもその幅が広く、作家の知識にも感動したので、メモした作品を残しておく。
この他に引用された寓話や童話。
寓話なれど侮るなかれ、ちょっとした会話や講話で使われると教養が伺えます。
イソップ寓話(リンクでWikiに飛びます)
・王さまを欲しがるカエル・・人に任せると失敗する
・粉ひきと息子とロバ・・周囲の意見に流されず、自分の意思を持つ事
・キツネとぶどう・・負け惜しみ
+
・鳥無き里の蝙蝠・・優れた人が周囲にいない所で、権威然とする事
織田信長が長宗我部元親を揶揄して言ったとか。本文では「盲人たちの国では片目の人も王」”盲人たちの国での話で、ここでは片目の人に過ぎない”として使われている。
世界名作ランキング
まとめた記事はこちらから(自身のブログへ飛びます)
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