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学校で教えないクソ面白い【古事記(前半)】岩波文庫チャレンジ91/100冊目
聖書を読んだ次はこれだろう!日本のビブリヤ「古事記」。
あれこれしなさいと教えを説く聖書と違い、何かをしなさいという事が全くない。教えはないが、信仰がないわけではない。争いや謀略もあるにはあるが、なんとなく全体的にほんわかしていて、まこと日本らしい。
世界のどんな神話も面白い。「古事記」は建国の歴史でもある。にも関わらず、学校で教えないから?ほとんどの日本人が知らない。自分もその1人だった。
クソほど面白いのに!
*クソとは汚い言葉としてでなく、古事記に基づいて記載しております。日本の神様は屎(クソ)だって出される。
天武天皇が命じて、天才稗田阿礼が誦んだものを、安萬侶が筆録「臣安萬侶、誠惶誠恐、頓首頓首」、持統・文武天皇を経て712年成立。
上中下3つの巻からなり、上巻は神話、中と下巻に天皇の系譜や地名の由来が続き、天地開闢から推古天皇までを扱う。面白すぎてあまり省きたくないので、上巻を前半、中と下を後半として2つに分けて記載します。
・衝撃的なイザナギとイザナミの国産み
・「絶対に開けないでください」系昔話や竜宮城の原型
・やたら出てくるクソの話
面白いというより微笑ましい。
一生に一度は読んでおきたい「古事記」です。
ラフカディオ・ハーンが「これほど不可思議な物語は聞いたことがない。足元にも及ばない」と言ったのが頷ける。
全部面白いけれど、あえてのおすすめに★つけました🤩
★読んで面白かったら、他のも読んで欲しいです♪
(読む前に)
・高天原(天上界)、葦原中國(現実世界)、黄泉(シ者の世界)
・伊邪那岐命、伊邪那美命のように「命」とも書くが、最後「神」とも書く
古事記では「神」は宗教的、「命」は人格的意義として区別
伊邪那岐神、伊邪那美神表記は神代七世誕生まで
上つ巻:天地開闢から神武天皇誕生まで
1、天地開闢
「天地初めて開けし時、高天の原に成れる神の名は〜」で始まる「古事記」。「國稚く浮きし脂の如くして、海月なす漂へる〜」とあり、天地は未だどろどろとしている。
*序文に「乾坤分かれて」と言う記載がある。乾坤一擲という四字熟語だけ知っていて、乾坤=天地なのを初めて知りました
生成力や成長力の神格化、国土・泥・砂などを神格化した神様が連なる。ここまで誕生するのは、男女対でない五柱の独神。
2、伊邪那岐命、伊邪那美命
・初めて男女神が誕生
・天つ神(五柱)は二柱に「この漂える国を固めなせ」と言って矛を渡す
・二柱が矛を逆さにして海水をこをろこをろ(コロコロ)と攪き混ぜると、矛の先からしたたった滴が島になった
・この時の矛を天之瓊矛、天之逆鉾と言い、宮崎県高千穂峰に祀られている(坂本龍馬、新婚旅行の地)
*以後、便宜上イザナギ、イザナミ(続く神様も2度目以降カタカナ表記)
3、国生み★
イザナギ「汝が身は如何にか成れる」
イザナミ「吾が身は、成り成りて成り合はざる所一所あり」
イザナギ「我が身は、成り成りて成り余れる所一所あり」
故、この吾が身の成り余れる所をもちて、汝が身の成り合はざる所にさし塞ぎて、國土を生み成さむと思ふ。
イザナギがイザナミの体について聞く。
イザナミ「私の体には凹があります」。
イザナギ「私の体には凸があるので、合体させて国を生もう❤️🔥」
イザナギが柱を左回り、イザナミが右回り*に回る。
イザナミ「あなにやし、えをとこを」(あれまあ、良い男)
イザナギ「あなにやし、えをとめを」(あれまあ、かわいい女)
*「福音書」で若干触れた左右の概念。イザナギ(男)が左、女は右。神社では、左(向かって右)が上位、右(向かって左)が下位。左大臣は右大臣より上
そうこうして、|大八島国《おおやしまぐに》:淡路島、隠岐島、九州、壱岐島、対馬、佐渡島、本州が生まれ、その後も海の神、大綿津見神など、どんどん国が生まれていく。
国にはそれぞれ神様の名前がついている。
その一つ、四国を紹介したい。愛媛ってヒメから来てたんですね。
伊予國は愛比賣、讃岐國は飯依比古、粟國は大宜都比賣、土佐國は建依別と謂ふ。
4、火之迦具土神から建御雷之男神誕生
・イザナミは火の神カグツチを産んだ際、火傷を負って神避る(シぬのではなく、表舞台から去る)
・イザナギはイザナミを比婆の山(広島県比婆郡に伝説地)に葬り、十挙剣でカグツチの首を斬った
・カグツチの血から刀剣制作の順序で八神が生まれる
・その一人が建御雷之男神
5、黄泉の国(根の国)、決してのぞいてはいけません★
・イザナギは、イザナミに戻って欲しくて黄泉の国を訪れる
・イザナミ「黄泉の国の食べ物を食べたからもう戻れないけれど、黄泉神と相談してきます。”決して覗いてはいけません”」
・待ってはいたが、我慢できずに覗いちゃったイザナミ・・すると
・衝撃姿のイザナミが!全身蛆に覆われ、頭から足まで雷神が纏う恐ろしい姿
・一目散に逃げるイザナギ
・イザナミ「よくも恥をかかせたね!」(見〜た〜なぁ〜!!)
・醜女にイザナギを追わせる
・イザナギは桃の実(悪霊邪気を払う)に助けられ、無事逃げ切る
・離縁を言い渡されたイザナミ「1日1000人◯す」、ここから別名黄泉津大神
・イザナギは「1日1500人産もう」(=生とシの起源)
6、三貴子★
・穢れた國のイザナミは、身を清めるため禊をする、と14柱の神が生まれる
・その中に住吉の3神*(海の神)あり
・左目を洗った時に天照大御神(日の神)、右目を洗った時にツクヨミ(月の神)、鼻を洗った時に須佐男命(男神、嵐の神)が誕生
「アマテラスは高天原、ツクヨミは夜の国、スサノオは海原を知らせ(治らせ)」
*神功皇后(後半)を三韓遠征の勝利に導いたことから、海上の安全を守る神として信仰を受ける。遣隋使・遣唐使派遣の際に必ず公的な参拝がなされた。
*住吉大社の本殿は、境内に浮かぶ船団のように配置されている
7、スサノオの誓約
・黄泉の国の母イザナミに会いたくて泣き続けたスサノオ
・泣いてばかりで、知らさなかったので国が荒れる
・怒ったイザナギは、スサノオを高天原から追放、自らは多賀へ鎮座(多賀神社)
・スサノオは、高天原にいるアマテラスに相談へ
・アマテラスはスサノオが高天原を奪いに来たと誤解
・疑いを晴らしたいスサノオは誓約*を提案
・結果はスサノオ勝利、野心がないと認められて(なぜか)調子にのる
・アマテラスの田の畔を壊し、溝を埋め、お供え物を供える御殿に屎をまきちらす
*女の子が生まれたら邪心、男の子なら清心とする吉凶判断
*アマテラスはスサノオの持ち物から女神三柱(宗像三女神)を生み、スサノオはアマテラスの持ち物から男神5柱を生んだ
8、天の岩戸
・スサノオの乱暴を大目に見ていたアマテラス
・ついに服織女がシんでしまうと、天の岩戸を開いて籠ってしまう
・日の神が隠れたので、常夜が訪れ災いが続く
・アマテラスに出てきてもらおうと、試行錯誤する八百万の神
・天宇受賣命が、乳を出して踊ると笑いが起こる
・何事かと、アマテラスが少し岩屋戸を開いた時、怪力の神が引っ張り出す
9、五穀の起源(尻から生まれた大豆)
・八百万の神はスサノオの髭を切り、手足の爪を剥いで追放
・空腹のスサノオ、大気都比売神(食べ物の女神)に食物を求める
・食物を用意する様子を伺うと、鼻、口、尻から食物を取り出して調理している!
・「そんな汚い物を食べさせていたのか」と怒ってその神を殺してしまう
・すると神の頭から蚕、目から稲、耳から粟、鼻から小豆、陰部から麦、尻から大豆が生まれ、神産巣日御祖神が回収して種とした(五穀の起源)
10、ヤマタノオロチ
・追放されたスサノオは出雲国の河上に下る(島根県、船通山)
・河で老夫と老女が童女、櫛名田比賣を挟んで泣いていた
・八人いた娘が八岐大蛇に食われているという
・スサノオは、クシナダヒメをもらう代わりに退治を承諾
・ヒメの安全のため、ヒメを櫛に変えて自分の髪にさし、酒を用意して待つ
・酔って寝てしまったオロチを、十挙剣で退治
・オロチの尾を切った際に出て来た大刀を草薙の剣*(ナギ=蛇)という
・須賀に着いたスサノオ「我が御心すがすがし」(雲南市、須我神社)として最古の和歌を詠む
「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」
(盛んに沸き起こる雲が八重の垣をめぐらしてくれる。新妻を守るために八重垣をめぐらすことよ。あの素晴らしい八重垣よ)
*日本書紀では天叢雲剣が後に草薙剣となったとあるが、古事記では最初から草薙剣
11、因幡の白ウサギ
・スサノオとクシナダヒメは結婚し、たくさんの神を産む
・この時生まれたのが大穴牟遅神(後の大国主神)
・オオナムヂ、大勢の兄弟(八十神)と因幡の八上ヒメを嫁にもらう旅に出る
・兄弟達はオオナムヂに荷物を運ばせ、自分達は先に行く
・道中、裸の兎が伏せている所を通りかかる
兄弟神「海水で洗って山の上で乾かしなさい」
・オオナムヂが通りかかった時、兎は皮膚にヒビが入り、痛くて泣いている
・兎「島を渡る手段がないので、ワニに数勝負をしようと偽って、ワニが並んだ所で背中を伝って渡ってきた。「や〜い騙された」と言ったらワニが怒って衣服を剥がされてしまった(だから素兎)
・オオナムヂ「淡水で洗って薬を塗って寝ていれば治る」
・治った兎「兄弟ではなく、オオナムヂがヒメをもらうだろう」
・兎の言う通りヒメはオオナムヂに嫁ぐ
・怒った兄弟、オオナムヂを殺めるも、母神の願いで生き返り、根の国へ逃れる
12、大国主神&反省の芥川
・黄泉の国へ逃れたオオナムヂ、スサノオの娘須世理毘売と互いに一目惚れ
・父スサノオ、オオナムヂに数々の試練を与える(蛇、ムカデと蜂、火攻め)が、スセリヒメの助けで全て乗り切る
・スサノオ最後の試練は蚤取り、頭をよく見ればなんとムカデだらけ!
・オオナムヂがムカデを噛み潰していると思ったスサノオ「うい奴(可愛い奴)」と思って眠ってしまう(本当は噛み潰しておらず、ヒメの助けでそう思わせただけ)
・その隙に武器を奪って二人で逃げる
・去り行くオオナムヂに向かって
「その武器で兄弟を追い払い大国の主となれ、この奴(このヤロウ)」
・その後、無事に兄弟をやっつけて葦原中国の国作りを始め、大国主神となる
!!
これはいつぞやに読んだ芥川短編「老いたる素戔嗚尊じゃあ〜りませんか。
芥川小説で試練を与えられた醜男とは、オオクニヌシの別名=葦原色許男神だった!
*名前wとか言って笑ったりして大変失礼致しました。芥川は神話に忠実だっただけでした(ここに訂正いたしますm(_ _)m)。
13、国譲り
・オオクニヌシは多くの妻を娶り、多くの子を産む
・誰と国を作ろうか悩んだ時、大物主大神が降臨、三輪山に*祀るよう神託を下される
*三輪山は大神神社の御神体
・アマテラス「稲穂の美しい葦原中国は、わたしの子が治める国である」
・ちはやぶる(荒ぶる)葦原中国に天菩比神を派遣
→オオクニヌシに媚びて3年帰らず
・次に天若日子を派遣
→オオクニヌシの娘を娶って8年帰らず
・次に天鳥船神を、建御雷之男神をお共に派遣
・二柱、剣を逆さに立てその上にあぐらをかいてオオクニヌシに言う
「汝がうしはける葦原中國は、我が御子の知らす國ぞ」
・オオクニヌシはこれに答えず、自分の子に答えさせる
「恐し。この國は、天つ神の御子に奉らむ」*1
・その後、建御名方神がやって来て
「誰だ。わたしの国でひそひそ話をしているのは。力競べをしようではないか。」
・タケミカヅチの手をとると、その手はたちまち氷柱となり剣の刃となった
・手を引き寄せると、タケミカヅチに逆に投げ飛ばされてしまう*2
・タケミナカタ神、逃げ去る
「この葦原中國は、天つ神の御子の命に隨に獻らむ」*1
・タケミカヅチがオオクニヌシに問う
「子二柱はアマテラスの命のままにと。汝の心はいかに」*1
・オオクニヌシもここに同意(国譲り)、宮殿に祀って欲しいと願う(出雲大社)
*1 話し合いで解決したこと、二神の服従は出雲の支配を皇室に譲る事を意味する
*2 最古の力くらべ、相撲の起源ともされる(人間同士の相撲としては「日本書紀」野見宿禰と當麻蹶速が天皇の前で力比べをしたことが起源とされる
14、天孫降臨
・タケミカヅチ、葦原中國を平定した事をアマテラスに報告
「邇邇芸命に、葦原中國を任せよう」
・アマテラスはニニギに3種の神器(八尺の勾玉、鏡、草薙剣)を授ける
「この鏡を私の御魂と思って、私を拝むように敬い祀りなさい」
・ニニギ、筑紫の日向の高千穂*に天降る(天孫降臨)
*霧島山とも、宮崎県高千穂とも言われる
(ナマコの話)
・ニニギの道案内をした猿田毘古神を送り帰す時、魚を集めてニニギに仕えるか聞いた。多くの魚が仕えると答えた中で、ナマコだけが答えなかった。「この口は答えない口か」と言ってナマコの口を裂いてしまった。それで今でもナマコの口は裂けている。
15、コノハナノサクヤ
・ニニギ、麗しい美人、木花の佐久夜比賣に出会い求婚
・コノハナノサクヤ、父よりお答え致します
・大喜びの父、姉の石長比賣とも結婚するよう申し出
・しかし姉は大変醜かったので送り返し、コノハナノサクヤとだけ結婚
・悲しみの父、姉は長寿(石のように硬い)を意味し、妹は花のように栄えるがもろくはかないことを意味する
・妹だけをお留めになったので、ニニギ命は短いご寿命になるでしょう(天皇に寿命がある理由)
16、海幸彦と山幸彦
・コノハナノサクヤ、1晩で妊娠
・ニニギ、1晩なら自分の子でなく國つ神の子だろう
・國つ神の子なら無事に生まれない、天つ神の御子なら無事に生まれるはず
・そういって家に火を放ち、コノハナノサクヤは燃える家で子を産んだ
・火照命、すなわち海幸彦と火遠理命、すなわち山幸彦の兄弟が生まれた
・弟山幸彦は兄海幸彦にせがんで獲物を獲る道具を交換してもらう
・山幸彦が海で釣りをしていると、一匹も釣れない内に、釣り針を海に落としてしまう
・海幸彦はどうしても落とした物を返せと迫る
・困った山幸彦に、潮道の神が来て、魚鱗の如造れる宮室、綿津見神の宮を教える
17、海神の宮でトヨタマヒメと★
・山幸彦、海神の宮殿で豊玉毘賣に出会う
・父(海神)も喜んで2人を結婚させ、山幸彦は3年宮で暮らす
・ある時、宮に至った理由(兄の釣り針を無くした)を思い出して嘆く
・心配した海神、大小様々な魚を集めて釣り針はどこかと聞くと、あっさり見つかる
・ワニの背に乗って兄の所へ戻る
・海神に言われた通り「この釣り針は貧しい釣り針だ」と言って返すと、兄はどんどん貧しくなった
・怒った兄、弟に戦いを挑むも、海神が与えた力に敵わず頭をさげる
「あなたに仕え、夜も昼もあなたの守護人となりましょう」
・トヨタマヒメ「子を産む所を決して見てはいけません」
・山幸彦(やっぱり)覗き見してしまう
・トヨタマヒメは恐ろしいワニの姿でウネウネ
・驚いて逃げる海幸彦
・トヨタマヒメ、本当の姿を見られたのが恥ずかしく、子供を置いて海の宮へ帰る
・山幸彦への恨みはあれど、恋心には耐えられず
・子供の養育のために妹の玉依姫を地上へ遣わす
18、神武天皇誕生
・トヨタマヒメの子、鵜葺草葺不合命は、妹タマヨリと結婚
・生まれた子が、若御毛沼命
・別名を神倭伊波禮毘古命
・すなわち神武天皇、第1代天皇で皇室の祖先とされる
一旦ここで区切りです。
前半の最後に、
「古事記」では「八」という数字をたくさん見かける。八百万しかり、八岐大蛇しかり。
今では末広がりだから子孫繁栄、幸せなどと結びつくことが多い。調べてみると、古代日本の「八」は聖数(世界的に8がラッキーナンバーは珍しい)。大八島国、八雲、八千代などなど。数字と言えば「八」が出てくるのも面白い。
続く後半(中つ巻・下つ巻)では、神武天皇の東方遠征、ヤマトタケル、神功皇后の新羅征討、聖帝仁徳天皇などが登場です。
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