✳︎堕天使 ニース✳︎(9)
✳︎心が温かくなる堕天使と少年の物語です✳︎
9ページ✳︎
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「お前!悪魔だなっ!何をしに来たっ!」
ニースは眠っているルイの前に立ちはだかり、大きく羽を広げ威嚇した。
「なんだ、お前こそ堕天使じゃないか!?地上に堕ちたてなのか…?」
からかう様に小悪魔は言うと、馴れ馴れしく話しはじめた。
「懐かしいな白い羽、尻尾も生えていないんだな」
その小悪魔が言うには、
もとは自分も堕天使で、一人行くあてもなく地上を彷徨っている時に、
悪魔族と出会いその仲間になったらしい。
地上で見つけた自分の居場所…。
悪い事をすればする程羽が黒くなり、
立派なしっぽが伸びてくる。
堕天使が、さみしさから居場所を求めて悪魔へ変わろうとしているのだった。
この小悪魔がここに立ち寄ったのは、
悲しみの匂いを嗅ぎつけてターゲットを見つけたからだと言う。
「悲しみの匂いって…、何だ! お前、ルイに悪さをするつもりじゃないだろうな!」
ニースは怒りの声で小悪魔に言った。
「おい、悪さってふざけるなよ!お前も悪さして堕天使になったんだろう。お前はまだ、堕ちたての堕天使だから判らないだろうけど、地上で一人ぼっちの生活をずっと続けてみろ、どんなに寂しい事か。悪魔でもなんでも仲間がいるだけでどれだけ心強いか、お前もそのうち直ぐに解るさ!」
小悪魔は、まだ生えたてのしっぽをピーンとたて、当たり前のことの様にニースに言い返した。
「じゃあ、堕天使はみんな悪魔になっていくのか?」
「知らねーよ、だけどおいらはなる!一人だったあんな寂しい思いはもう嫌だからな。仲間といると楽しいんだ。悪いなって思う時もあるけど、手柄を立てると仲間が褒めてくれる。羽が黒くなっていく事も、しっぽが生え出した時も、自分の事みたいに一緒に喜んでくれるんだ」
白い羽のニースを見つめながら、
少し寂しそうに言う小悪魔は、
自分を正当化している様に見えた。
「人間には俺達は見えない。地上では悪魔しかオレ達を構ってくれる奴はいないんだぞ」
寂しそうにそう言ったあと、
ニッと頬を上げ、張り切り声で楽しげにニースを誘ってきた。
「おいらが言うのも変だけど、お前はラッキーなんだぞ!堕ちたばかりでこんなに早く、おいらに会えたんだからな。ここで一緒に手柄を立てて、おいら達の仲間になればいい」
この小悪魔、まだ澄んだ心が残っているのだろう。
地上の事が何もわからない堕天使を憐れんで気遣っている。
(9ページ)
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✳︎ここまでお読み頂きありがとうございます✳︎
堕天使ニースは、2014年頃に執筆をしたものです^^。
noteで読みやすいように、少しづつ校正を加えながら、
アップしていこうと思っています。
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