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「忙しい人」って魅力的ですか?

先日、会社のメディアでこんな話を書いた。

元ネタは電通若者研究部がプロデュースするβutterflyという学生組織や、インターンシップで教えていた内容だったので、社会人に公開しても需要はあるかは少し不安だった。

しかし公開したところ、これが思いのほか好評。数年前、同じ内容を教えた学生からも「社会人になってから読んだ方がタメになった」とのコメントをもらった。

今日はこれに味をしめて、「実現力」をテーマにしたインターンで学生に伝えている内容をもう1つ公開してみようと思う。テーマは「タスク管理」だ。

■タスクが多い ≠ 忙しい

学生への講義はこんなスライドからはじまる。

ちょっと意地悪なスライドだが、そう思ったのにはきっかけがある。

数年前、同じサークルに所属して、同じアルバイトをして、同じようなリズムで生活をする2人に、同量のタスクを頼んだ。

しかし1週間後、Aさんは自分の状況を「忙しいです」と表現し、Bさんは「別に忙しくありません」と答えた。

もしかしたらAさんは(僕が知らないだけで)別のタスクを抱えていたのかもしれないが、少なくとも僕には「忙しい」という状態は、実際のタスク量とは必ずしも連動していないように見えた。

ただ、自らの状態を「忙しい」と表現する学生は実際かなり多い。そこで「忙しい」という状態について考えてみた。

■「忙しい」の正体

僕は「忙しい」という状態を(数学が苦手なわりに)1つの数式で捉えている。

このままではわかりにくいので、数字を入れて忙しさを数値化してみる。

この式は前半が「タスク量 / 処理能力」、後半は「自分が見てる範囲 / タスクの全体像」という構造になっている。

前半は比較的わかりやすい。例えば、上の図は「1」という処理能力を持つ人の数式、それに比べて下の図は「0.2」という処理能力を持つ人の数式だ。

小学生のような計算で申し訳ないが、タスクを処理する能力が違えば、感じる忙しさは5倍にまで膨れ上がることがわかる。

この場合は「忙しい」というよりも「処理が追いついていない」という表現の方が適切だ。忙しさを減らすためには、タスクを減らすことも必要だが、処理能力に焦点を当てないと本質的な解決にはつながらない。

■視野の狭さから生まれる忙しさ

次にタスクの処理は追いついているのに忙しいと感じる状態を表現してみる。この場合は大抵、視野の狭さが影響している。数式で言えば後半部分だ。

自分が抱えているタスクは、あるプロジェクトの一部分だとする。しかし、視野が狭くタスクの全体像が見えていない、考えられていないと人は「忙しい」と感じてしまうのだ。

イラストにすればこんな感じだ。

そりゃ忙しいだろう。

ただこれは「忙しい」というよりも「全体が見えていなくて不安」と言う状態の方が近い。一旦冷静になってタスクの全体像を把握しない限りいつまで経っても「忙しい」という感覚は消えない。

■忙しい ≒ パニック状態

このように「忙しい」とはタスクの量だけではなく、その人の処理能力と視野の問題が大きく関わってくる。
2つの問題が重なると、処理が追いつかない上に先も視えないパニック状態になり、文字通り心をなくしてしまう。これが「忙しい」の正体だ。

■忙しい人 ≠ 仕事ができる人 

忙しい状態、は決して良い状態とは言えない。
しかし、学生でも社会人でも「忙しい人 = 仕事ができる人」と勘違いをしている人が一定数いる。

仕事ができるから多くの人に必要とされている。だから「今、忙しくて」なんて言うことで仕事できるアピールをしたり、中には「あなたは暇だね」と言わんばかりにマウンティングするために「忙しい」と表現する人もいる。

しかし先ほどの式が正しければ「忙しい」の実態は自分の処理能力を把握できていなかったり、視野が狭いことで引き起こされることが多い。

そういう人は誇らしげに「忙しい」と表現する前に考えてみてほしい。

「忙しい人って魅力的ですか?」

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