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#6 ラブホテルのボタンを作ったあなた様へ
とある特別な関係の女性と、とあるホテルに行きました。
彼女とは数回のデートを重ね、「お付き合いをしましょう」と契約を交わした上で、とあるホテルに行きました。なんだか言い訳めいた感じになりましたが、要するにそういうことです。
その時が、初めて彼女とホテルへ入って、そういうことをする日でした。
駐車場に車を止め、2人足並みをそろえてホテルの入り口を通る。
パネルに表示される南国風の部屋から一つ選び、ルームカードを受け取る。
上層階へ行くエレベーターに乗り込む。
ここまでの流れはスーパーのベテラン店員のレジのようにスムーズかつ作業的な流れで進んでいきます。
何も考えず、サッサッとね。
しかし、エレベーターのボタンを押す瞬間、妙に力が入るんです。
その瞬間、ぼくにはボタンの数字は見えておらず、「覚悟」という文字が書かれているように思えます。
ぼくは初めての相手とラブホテルに入ってボタンを押すとき、一種の「覚悟」のようなものを感じています。(男性のみなさんなら、共感してもらえるかもしれません)
これを押せば、天国のような体験が待っている。
しかし同時に、彼女の期待に応える必要も出てくる。
(他社に乗り換えはしません。わたしと長期契約をしてくれますよね的な)
そのような無言の期待の靄が漂う狭いエレベーターの中で、ぼくは力強くボタンを押します。
きっと、このボタンを作った工場の人は、そんな重要な意味をもつものとは思っていないでしょう。
たまたまその日に夫婦喧嘩をして、「もう俺はこの家に生活費なんか入れてやらねーぞ!仕事も辞めてやる!」なんて捨てゼリフを吐いて家を出た主人が作ったボタンだったかもしれません。
夢だった職に就くことができず、生活のために工場で働くことになった青年が作ったボタンだったかもしれません。
彼らにとっては、それはただのボタンにすぎません。
ライン工程で流れてくる幾千の中の一つのボタン。
作る楽しみも見出せない、世の中にありふれたデザインのボタン。
でも僕は伝えたいです。
君が作ったボタンがなかったら、ぼくたちの愛に始まりも終わりもなかったのだと。
こうして、何気なく始まりを迎えるメイクラブにも、いろんな人生が関わっています。
世の中捨てたもんじゃない。
ラブホテルの話ついでに。
昔、島田紳助さんがラジオで言っていたことを思い出しました。
ラブホテルに入るとき、男は真っ直ぐに前を向いて歩き、女は顔を下にして歩く。
しかし出る時になると、男は顔を下にして歩き、女は真っ直ぐに前を向いて歩くことが多いそうです。
ラブホテルの受付でバイトをしていたときに気づいたことのようです。
その行動パターンにどのような意味があるのかはわかりませんが、わかる気はします。
そこに働く心理、気になります。
どなたか、ぼくと一緒にラブホテルにまつわる行動心理学を研究してみませんか。
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