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#5 Sunday Morning 〜episode2〜

日曜日の朝。

特に予定もないが、朝早く目覚める。

今日は朝食にオムレツを作った。

フライパンに溶きほぐした卵液を入れ、じっくりと熱を入れていく。

返しもうまくいき、美しい黄色のオムレツができた。

来客用のグラスを出し、そこにミルクをたっぷりと注ぐ。

いつもは箸を使って食べるところだが、今日は銀のナイフフォークで食べよう。

ミラー仕上げを施された銀のカラトリーは、朝の光を反射し、まるでジュエリーのような輝きを放つ。

白いプレートにつや肌に仕上がったオムレツ、トマトとグリーンの葉のものを添え、銀のカラトリーも全てそろえた。

この世で一番美しい朝食。

ケチャップを準備し、席につく。

ハインツのケチャップは、日本のケチャップとまた違う。
酸味とまろやかな甘みが調和し、かすかなスパイシーさも感じる。

そんなハインツのケチャップをもち、それはそれは美しいオムレツに、赤い液体をかける。

そして、その瞬間は唐突に訪れた。



バブビュッッ



これまで流れていた時間に突然、氷河期が訪れる。

世界一美しいはずだった朝は、このハインツのケチャップの噴射によって、音もなく崩れ落ちた。

(いや、音はあったけれど)


さきほどまで美しいと思っていたオムレツは、今は殺傷事件を犯した殺人犯のように、大量の返り血をあびている。

さらに追い討ちをかけるように、このハインツのケチャップは、美しい朝を音で汚す。

ブオッツ

ブビュッ

ヒュー、ヒュー・・・


出かたもひどいが、音もひどい。

なんなんだ、このケチャップは。

長年この味を愛し、使い続けてきているが、ボトルの出口はあまり改良されていない。

これがカゴメ製なら、メーカーに文句を言いたいところだが、そこはメイドインアメリカのハインツ。

メイドインアメリカを「まぁいっか」という和訳に変えてやりたい。


日曜日の朝に話を戻そう。


こんなふうに、ぼくの日曜の朝は過ぎて行く。


朝食は、殺人風オムレツ。

家族はまだ布団の中。


愛犬はストーブの前で温まっている。


そんな中、ぼくは一人で特別な日曜日をはじめる。

そう、特別な日曜日を。

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